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36.王都観光


翌日、俺はグンター、ルーリー、イーヴォ、ハッツェンの四人で中級区に来ていた


何でそうなったのかと言うと


万が一のことも考え早めにセレクトゥを出発した結果、国王陛下との謁見、その後の誕生パーティーまで1週間も時間が出来てしまったので、無難に観光でもしようということになったからだ


また、何分チビが多いのでここまで馬車で送ってもらった、帰りも送ってもらう予定だ


「アル様、どこから見ていきますか!あっちには商店がありますよ、あっ!あっちにも、見たことのないものばかりですね!あれは何だろう?あそこには―――」


「、、、ぐんたーうるさい」


興奮して暴走気味になっているグンターを止めたのはこの中でも最年少であるイーヴォだった。


いつもは静かなイーヴォが注意するとは珍しい


ただそのイーヴォもどこか落ち着かない様子。彼もまた初めての王都にテンションが上がっているのだろう。


「あぁ、すまんイーヴォ。アル様もすみません。興奮しちゃって、、、恥ずかしいな」


「別に構わんさ、ルーリー君もどこか行きたいところはあるかい?聞いてもいないのにグンターは今の短時間で3つも候補をあげたよ」


グンターを出汁にルーリーへと話を振る


グンターは苦笑いだ、これで羽目を外し過ぎることはなくなるだろう


「わたしはその、、、あの、、、」


しどろもどろになりつつも一生懸命に考えているルーリー


しかし、思考がまとまらないのかそれとも行ってみたいところがないのかどもってしまう


「、、、るーりー、どこでもいいんだよ?」


そこへまたイーヴォが話しかける。


(お前今日めっちゃしゃべるな、、、いや、良いことなんだけども)


その甲斐あってかルーリーは落ち着くことが出来ていた


「、、、わたしほんやさんにいってみたいです」


「本屋か―――いいね。俺も行きたいと思っていたからあとでみんなで寄ろうか」


「はい!」


純度100%の笑顔、眩しいぜ


「イーヴォはどこに行きたいんだい?」


「、、、まだきめてない」


「そっか、まあ時間はいっぱいあるんだし焦ることはないからな。ハッツェンはどこ行きたい?」


グンターと喋っていた彼女は人差し指を顎に当てながら「そうですねー」と悩んでいる


普通ならあざといと思ってしまうその仕草も彼女がやれば様になっていた


そんな彼女をグンターが頬を赤らめ見つめている。お?


「私はアル様がいきたいと思う所ならばどこでも良いのですが、強いて言うのなら服屋ですかね。」


「わかった、ハッツェンならきっとどんな服を着ても似合うだろうしね、俺も楽しみだ」


「楽しみにしていてくださいね♪」


「うん」


「お、俺もハッツェンさんなら何でも似合うと思います!」


茹でだこグンターが頑張っている


「ありがとねグンター」


「はい!」


グンターは嬉しそうだが、肝心のハッツェンの心には気持ちが全く届いていない


(どんまいグンター、、、ウルトラハードモードだと思うぞ)


別に俺は彼の恋を応援する気もなければ邪魔する気もない。ただ見ているだけだ


「じゃあまず、そこら辺の商店をめぐってみようか。さっき言ったみたいに時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり楽しもう」


出発の合図をした俺を先頭に一行は王都観光を開始する


まず初めに寄ったのは一番最初にグンターが指さしていた商店だ


中に入ってすぐ、いぶかしげにこちらを見つめている店主と目が合うが無視する


まあちびっこ集団だ、いい顔をされないのはわかっている。これから何店舗もめぐっていくのだ、気にするだけ損である


店内を見渡す


(まあこんなもんか)


セレクトゥより品揃えが良く清潔感もあって雰囲気もいい、流石王都の中級区にある店だ


しかし俺に驚きはない。だって日本の方がすごいんだもん。これはしょうがない。


文化水準が違い過ぎるんだ


俺がこの店に寄った理由はただ一つ。王都の大体の物価を知るためだ


それを知らないと観光なんて楽しめるわけがない


田舎者は足元を見られやすいのだ


店内をうろついて目を輝かせているグンターなんてまさにそれだ、ハッツェンでさえきょろきょろしている。


それに加え俺たちは子供なのだ、まともな買い物は期待しないほうがいい


粗方あらかた店内を見終えた俺はみんなを連れて店を出る


「もうちょっといてもいいじゃないですか」


不満そうに愚痴るグンターの腕には今の店で買ったであろうブレスレットがつけられていた


「お前それ買ったのか?」


「そうですよ、どうですか?カッコいいでしょ、アル様にもあげませんからね」


見るからにご機嫌なグンター


(はぁ、口だけの注意じゃ効かなかったか)


この後の観光をより良いものとするためだ致し方ない


「その調子なら今日中に、いや午前中に持ち金全部吸い取られるぞグンター」


少し強い口調で警告する


「え、やだなーアル様、いくら羨ましいからって嫉妬は良くないですよ」


王都の活気と恋の熱に浮かされたグンターには当然届かない


「まだ一軒目だ、そう焦って買うことないだろう。時間もあるんだ、他の店を回った後に買っても遅くない」


「いやいや、それじゃあ遅かったんですよ。店の人にこれが最後の一つって言われたんで後からじゃ遅いんです、今買わないとダメだったんですよ。しかもこれ一点物らしく、、、あ、あげませんからね」


(そんなガラクタいらねぇよ)


俺はそこんとこの英才教育も母上から受けているので多少は品の良し悪しがわかる


グンターがつけているブレスレットはどう見てもガラクタだ


売りつける店も店で悪いが、騙されるグンターも悪い


「、、、わかった、それなら仕方ないな。次の店に行こう」


あ~あ、と思いながらもすぐ近くの商店に向かう


心なしかみんなの足取りが重い、グンター以外の


次の店でもその次の店でもグンターは何かしら買っていた


ルーリーが心配そうな目でグンターを見つめている


イーヴォは途中から俺の傍をうろつくようになった


ハッツェンは冷めた目でグンターを見ている


(こりゃ一回痛い目見ないとわかんないな)


グンターがどうしようもないやつっていうわけじゃない


この世界の子供は早熟だ


今13歳のグンターは地球の精神年齢で言うと16歳くらいなのかもしれない


年頃の男の子なのだ、これもいい経験になるだろう


―――昼


あれからまた数軒回ったため、今は昼食がてらの休憩中だ


案の定俺の忠告通り、午前中にグンターは今持っている財産を全て溶かした


俺たちは屋台で昼食として買ったサンドイッチを頬張っているがグンターの分だけない


俺、ハッツェン、グンターは自費でと観光前に約束したのだ。ルーリーとイーヴォの分は俺が出している。


「すみませんでしたアル様、俺調子乗り過ぎてました。アル様にもみんなにも失礼な態度をとってしまった、、、」


ガチでへこんでるグンター。彼はブレンと同じく根が真面目なのだ。

だからこそ我に返った時の反動が大きいのだろう。というか泣いてる


流石にそこまで思い詰めるとは思っていなかったので優しく声をかける


「まあ、気づけたんなら良かったじゃん。それに今溶かしたのは持ってきた金の半分だろ?残りはまだ屋敷にある、明日以降慎重に使えばいいんだよ。」


「うぅぅ、すみません、本当にすみません、、、」


猛省するグンター。ここまで悔やんでるんだったらもうやらないだろう


とそこへグンターの泣きっ面へハッツェン()


「仕えるべき者であるあなたは主人に対して暴言を吐くという大罪を犯したのです。死罪にされてもおかしくなかったのですよ?寛大なアル様に感謝なさい。」


(ド正論だが、えげつねぇよハッツェン)


「はいぃ、、、」


想い人に凍てつくような眼差しを向けられる


美少女の蔑みの目は、ある一定の層にはご褒美なのかもしれない


が、残念ながらグンターはそっち(変態)じゃない


その証拠に今にも消え入りそうな声で返事をしている


「はいっ、この話はここまで、ルーリーもイーヴォも疲れたろ。3人は先に屋敷に帰ってなさい

そろそろ馬車が迎えに来てくれるだろうから」


「はい」


「、、、わかった」


ルーリーは疲れているのだろうがイーヴォは運動神経がいいためそれほど疲れていない


ただ、俺の考えを察したんだろう、素直にうなずいてくれた


昼食を食べ終わった一行は待ち合わせの場所まで行き、孤児院組だけを馬車に乗せ帰らせた


残された俺とハッツェンはまた街中へと繰り出していく


「アル様は優しいのですね」


目的地までの道中、ハッツェンが慈愛の籠った眼差しで俺を見つめてきた


冷たさはもうない


俺にしか向けない目だ


「ん?何が?」


惚ける


「わかっているのですよ?今グンターには心を落ち着かせる時間が必要です。そしてその傍にいるべきなのは孤児院組のルーリーとイーヴォなのであって、私たちではない。ですよね?」


(敵わないな~)


俺のことは何でもお見通しらしい


「イーヴォにも察されていたようだけど、そんなに俺は顔に出やすいのか?」


「イーヴォはアル様がお優しい方だと分かっているからそう判断したのですよ。」


引っかかりのある言い方に疑問を持つ


「ハッツェンは?」


彼女は小悪魔な表情を浮かべていた。



「私はアル様のことが分かっているから分かったのです。」



「っ、、、服屋に行きたいんだろう?早く行こう」


(その顔とそのセリフはズルいだろ、、、)


恥ずかしげもなくそう言い放つ彼女を見て恥ずかしくなった俺は話と目線をそらし


歩き出す、その後ろからハッツェンが付いてくる


「お供します♪」



(ほんとにかなわないなぁ)

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