もちろんハッピーエンド♪
エルサたちの結婚式の日は国中で祭りが行われ、王宮では国内外の招待客を招いたパーティーが夜通し続いた。
近隣の国々から王族の参加者や使者、その中にはマリーナやスヴェンも駆けつけて笑顔で祝福してくれている。
もちろん国内の貴族たちも4侯爵はじめ祝福の言葉をかけ支持を表明しているので、フレーメ王国がウィリアムの代になっても安泰だと示せただろう。
ヤシール公爵の長男である、アレクセイ(11)からは自分が大人になるまで待ってほしいとさんざんごねられたけども…
まだまだパーティーは盛り上がる中、そっと退出する主役の二人。
王太子と王太子妃の部屋から互いに繋がる寝室で二人は顔を見合わせる。
「愛してる。エルサのすべてがほしい。今だけは、国よりも何よりもエルサだけだと言わせて」
「リアム様。どんな貴方も愛していますわ。末永くよろしくお願いします」
結婚式以降、視察以外で二人が寝室を別にすることは無かった…主にウィリアムの希望で。
数年後、フレーメ国の国王となったウィリアム。
執務の合間に愛する者の様子を見ようといそいそと部屋へ戻る途中の中庭で、ふわふわの金の髪に白金のような珍しい色の瞳を持った子供が、膨らんだエルサのお腹を嬉しそうに撫でているのが視界に入る。
「さぁ、風邪を引かないようにショールをかけなさい」
「このお菓子は体にいいのよ」
「次はどんなベビーベッドを作らせようか」
そこには愛する妻と息子
そして
隠居したはずの両親に
義父まで……
「父上、母上、旅に出るのでは?結局退任してから温泉に行っただけで遠出してませんよね!? それにシリウスは法案会議は?」
「だって孫が可愛すぎて〜」
「エルサさんだって今は公務も減らしてて一人じゃつまらないでしょうし」
「会議は秒で終わらせました。もちろん満場一致で法案も通しましたよ」
思わず額に手をやるウィリアムと、苦笑いしながらそれを優しく見つめるエルサ。
そう、この親たちは孫が生まれた途端、親バカから祖父母バカに進化したのだ。
「ちちうえ〜シリウスじいじが、ははうえがあかちゃんをうむときはさとがえりをするといっています。さみしいのでぼくもさとがえりしてもいいでしょうか」
「な!?」
「なんだとっシリウス! フレーメ国には里帰り文化などないわ。またどこぞの国の資料を探してきよって。前と同じくすでに王宮に最高峰の医師を揃えておるわ」
「そっ!!」
「そうよ。帝国からの医師も呼びましたし、あなたもどうせ毎日顔を見に来るのですからいい加減諦めなさい」
「お父様、心配してくださりありがとうございます。私は(女神様の祝福のおかげで)この子の時も安産でしたし大丈夫ですから、初産が近いオレリアのこと、よろしくお願いしますね。私の親友であり大切な義妹なのですから」
「それはもちろん分かっているが…」
ウィリアムとエルサには、2歳になる母大好きな長男と、お腹には新たな命が、そしてリヒトの妻である親友オレリアもまもなく出産なのだ。
エルサの里帰りについてはウィリアムが喋る間もなく解決したようだ。
たまに息子とエルサを取り合うとき以外、プライベートではとても穏やかになったウィリアム。
エルサ以外には家族にも心をあまり開かなかったが、国王になったこと、そして子供が生まれたことで少し親の気持ちが分かってしまったから。
こればかりは心を視たとしても、経験しないとわからないものだと実感する。
もちろん公務では義父シリウス同様、無表情がデフォルトだが。
それでも家族を大切にするウィリアムは、貴族だけでなく国民からの支持が高い。
エルサと住むこの国の平和を守るために、周りの国と同盟を結び、国内の不正をただし、以前からニースと共に構想を練っていたインフラの整備に着手した。白魔石を使うことで水道や道の灯りなと、民の暮らしがより安全になり、エルサも福祉や教育の視察に力を入れ、目に見えて環境が改善されつつある。
さらにウィリアムが結んだ同盟国と特産のやり取りを一緒にしているうちに、エルサの発想力に触発された芸術家や生産者による、『国を超えた花の妖精ファンクラブ』なるものができたという噂だ。
『もうすぐ生まれる命も含め、フレーメ王国はますます愛に溢れる国になるわね』
『ぷぷぷ。王妃になっても子供を産んでも、傘をさせば空を舞う妄想をし国王から街中で手を繋がれ赤くなるし、新しい酒を見れば発酵菌がダンスする妄想をしそれを視た国王がしばらく酒が飲めなくなるなんて…地位や役割が変わってもエルサの面白さは変わりないですねー』
こうして愛に溢れるフレーメ国は、また穏やかな時を刻んでいく。
少し重めの愛の王族と共に……
お読みくださり本当にありがとうございました!
ハッピーエンドが好きなので満足ですが、もっと甘々にしたかったのに出来なかったのは私の技量不足です。
次の目標は読者をキュンキュンニヤニヤさせてしまう作品を書くこと!
それでは、また(*^^*)
 




