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それから




それからの二人は以前にも増して仲睦まじく、お互いに公務のない時にはデートと称して王都だけでなく国内様々なところに赴いては、シーズンオフで領地に帰っている貴族達を驚かせた。


優秀だが常に冷めた表情のウィリアムは、国王になっても淡々と国を治めていくだけで、議会以外で顔を合わせることはないだろうと思われていたからだ。


エルサは素直にデートを楽しんでいるが、その土地土地で発見したり感じたことを挨拶に来た領主に話すことで、少しずつ各領の発展にも繋がっているという。


相変わらず甘い笑顔はエルサにしか向けないウィリアムだが、訪れた土地を、ひいては国全体をさらに住みやすくしていきたいという意思を感じた、領主(オジサマ)の心を奪っていく。

ちなみにエルサのことを3秒以上見つめると、ウィリアムの纏うオーラが厳しくなるのだが、そこは触れないでおく。

もちろんウィリアムが変わったのはエルサのおかげということも理解し、二人をセットで支持する者たちは増える一方だ。


二人の会話の8割は仕事や国の話なのだから、デートといいつつこうなるのは想定内。

エルサは気付いていないが、ウィリアムはエルサとの将来を盤石にする為に多少意識的に動いている。



婚約が決まってからも、ウィリアムの婚約者の座を狙う令嬢がいなかったわけではない。

あからさまなアピールもあれば、控えめにエルサの次でいいと言いながらエルサを貶して来る者もいた。


まともな思考の貴族は、国のためにも地位だけでなく既に実績を積み、ウィリアムが唯一心を預けているエルサが王妃になるのが一番だとよく分かっている。


だからこそ叩けばほこりがでる貴族だけを簡単に釣ることができ、その仕事はウィリアムだけでなくエルサの父シリウスや弟のリヒトもいい笑顔で協力した。


国王も国の治安(引退後愛する妻と平和に国巡りをする夢)の為にと釣り上げられた貴族たちをバッサバッサさばいていくので、

"プリマヴェラ家の男たちが家族以外に微笑みかける時は終わりの時だ"

と言うのが王宮で働く者の共通の認識で、それはあながち間違いではない。






そして今日は、すでに恒例となっている女神とエルサ、そして王妃の3人女子会である。


「それにしても、愛が重すぎて『バカップル』なる言葉が異世界にはあると聞くけど、なかなか的を射てるわね〜」

「女神様。それは具体的にどのようなカップルをさすのでしょうか。それに異世界とは?」

「このお菓子美味しいわね! 今度はどこの領地の特産なの?」


それぞれが好きなことを好きなだけ話し、噛み合っていないようで噛み合っている。


「こちらは、先日ウィリアム様と訪れたエスターテ侯爵領のドライフルーツを使ったケーキですわ。アンナ様自ら案内してくださったのです」

「ドライフルーツなのにしっとりしてて美味しいわね。南の方もよく遊びに行くけれど、天上と繋がっているここでしか食べられないのが残念だわ」

「この泉の道は女神様の力で作ったと以前おっしゃっていましたが、天上と繋がっていたんですねぇ…」


会話の中でしれっと漏らされる王国の秘密は、たとえ国王やウィリアムにも漏らされることはない。


それが () () () !!



「それにしても本当にあっという間ね。エルサさんは本当によく頑張ってるわ。結婚式はスタートにすぎないと思って、いつものように王族として堂々と明日を乗り切りなさい」

「ふふっどんな一日になることやら。祝福に使った花の妖精達がエルサをかなり気に入っていたからねぇ」


そう。いよいよ明日は結婚式。

たった今女神が怪しい予言をしたが、準備は全て整った。


お読みくださりありがとうございます。

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