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血と硝煙の中で

やたら話しかけてくる人がいて困っています?何が困るのだ?

早く切り上げたいって?そういう時は「いいと思います」と

答え続けていればその内に話が終わっているものだ。

 その男は全身が黒づくめであった。

 黒髪を後ろで縛り、顔はマスクで覆われ目元しか見えない。

 煙が引くと、両腕を大仰に振りながら喋り始めた。

「いい感じに負傷してくれたな?ちょうどいい、聞きたいことがある」

 マスク男は近くにあった岩に座り込んだ。

(すぐ殺すつもりではないのですか、こちらとしては都合がよいですね)

 フラットは今のうちに現状を分析する。

(私の足は……近くにありますね、逃げる際には持って行けそうです。

出口も割と近い、逃げるならあそこしかなさそうですね。

あとは相手の情報が知りたいところですが……)

 周囲には隠れられそうな場所もあるが、戦うにしても負傷を

手当てしてからでなければ話にならない。

 次にアクションを起こした際には元の建物に戻ることを決めた。

「妙な動きはするなよ?話をする前に殺しちまう」

 牽制のつもりか片手の指先をこちらに向けてきた。

「そうはいいましても、この傷です。少しは動いてしまいます」

 自分の足の傷を指さして訴える。

「今できた傷にしては出血が少ないな?それがお前の能力か?」

(止血しないで置くべきでしたかね?その場合は出血で死にますか。

それにしても能力……その辺りの話が聞きたいのですか)

「……まあ、そんなところですね」

「マーダーキラーは確かコードネームがあったよな?確かマークなんたら」

「ええ、私はマーク・ブルートといいます」

「マークの部分が共通してるのか、なんか意味があるのか?」

「マーダーキラーの頭文字を取ってMKでマークです」

「意味は殺人鬼専門の殺人鬼だったか?」

「そうですね」

 マスク男が何か考え始めたのか静かになった。

(名前を聞いてどうするのでしょう?私の名前も知らないようでしたし、

リヒトとは関係ないのでしょうか……)

「よし!決めた!」

(……何を?)

 突然なにかを決意したのか立ち上がった。

「俺もお前らを殺していくつもりだ。つまり殺人鬼専門の殺人鬼

ということになる」

(私が殺人鬼なのは事実ですしね)

「これからはマーク・プルファーと名乗ることにする!」

「それだと仲間みたいになりませんか?」

「問題ない、お前らを殲滅すればいいだけの話だ」

「はぁ……」

(どうにも掴めない人ですね。自分から名乗りましたし)

「それで、マーク・プルファーさんは他に何を聞きたいのですか」

「協力的だな?かといって殺すことは変わらんぞ」

(実質何も情報は渡してませんからね)

「では、こちらからも少し聞いていいですか?」

「何だ?」

「あなたはどうして待ち伏せしていたのですか?」

「そのことか、ここをフドウって奴に貸していたんだが、

あいつ以外が出てきたら?まず間違いなく殺された場合だ。

つまりマーダーキラーの可能性が高い」

「それで毎回待ち伏せていたのですか?」

「……まあ、そうなるな」

「いつもどうかわかりませんが結構長いこと中にいたので……

その間ずっと?」

「……まあ、そうなるな」

(慎重なのか抜けているのかどっちですかね……)

「あいつの趣味だったんだろうがいつも長かったな……

これでようやく解放される訳だ」

(やっぱり待つのは嫌だったようですね……)

 プルファーがしばらく干渉に浸った後、再びこちらに指先を向ける。

「まあ、その点に関してはお前に礼でもいっておくかな」

「それはどうも……」

「次はこっちの質問だ。

お前らの組織の人数は?能力はどんなのがいる?」

(これが本命の質問でしょうね)

「人数ですか……残念ながら私はあまり把握していないですね。

知っているだけでも三人というところです」

 フラットの知っている人数はもう少しいるが嘘をついた。

 組織の人数に関しては本当に把握していない。

「そんな少ないはずがない。で、そいつらの能力は?」

「それは教えられませんね、私も含めて」

「そうか、では死なない程度に動けなくするか」

 プルファーの指先が銃口のように変化した。

(ようやく攻撃開始ですか)

 フラットは初撃を見極めようと集中する。

「その足の様子だと既に何かしらの能力は発動してるだろうが、

腕が無くなったらどうなるかな?」

 ダンッ

 プルファーの指先から何かが射出された。

(弾!?とりあえず防御ですね)

 バァンッ

 既にあった傷口から血液の壁を展開し、弾がぶつかると爆発した。

(爆弾ですか……?)

 フラットは爆煙が充満している間に建物の中へ戻った。

「あの野郎、防ぎやがった!」

 プルファーが二撃目を撃ったが反応がない。

(逃げたか……間違いなく建物の中だな)

 一応辺りの隠れられそうなところを探すが、当然ながら見当たらない。

「足が無くなってるな……」

 フラットの姿と共に切断された足が無くなっていた。

(まさか、すぐに治せるとでもいうのか?)

 能力は不明のままであり、考えても仕方がない。

「久々の獲物だ、せいぜい楽しむとするか……」

 プルファーは逃げてくれてむしろ楽しみが増えたのを

喜んでいるような表情で中へと入っていった。


 建物に入ったフラットはまず足を血液で繋ぎ合わせた。

 繋いであるだけのため感覚は無い。

(傷口で歩くよりはマシですしね……)

 足を文字通り棒にして走り、ひとまず管制室に行く。

(ここの提供者なら内部も把握してますよね……)

 管制室の監視モニターの対象を確認する。

(死角は多少ありますが、部屋自体はあの隠し通路以外は

大体写ってますね……プルファーはまだ中には入ってきて無いか)

 建物の入り口もモニターがあったため警戒はしやすかった。

(かといって他に入り口があったらやばいですし、ここも離れますかね)

 すぐに出て行こうとしたが、フドウの死体に近づき首を

フラットの血液で結合し死体を持っていった。その際に血痕を

綺麗に消し、管制室はそのままに部屋を出て行く。

 

 プルファーは警戒し入り口を爆破して中に入ったが、

トラップの類は無かった。

(あの傷では逃げるので手一杯だったか)

 案の定、建物内部の構造は把握しており、管制室に向かう。

 扉を爆破して入り、モニターを確認する。

(破壊していないところを見ると、ここは見つけていないのか?

それにしてはモニターに姿が見当たらないぞ……)

 しばらくモニターを探していたが一向に写る気配がない。

(ここの死角はそうないはずだが……)

 探している間に今回の死体の様子が写る。

「あいかわらずか……潰された奴は原型もわからんな」

(死角は多少あるが、ここまで見当たらないとなると……隠し通路か?)

 居場所の当たりをつけたところで、操作盤を懐に入れ、

隠し通路に向かっていった。


 プルファーの予想通りフラットは隠し通路にいた。

 破壊した機械がそのままであったため、物陰に隠れている。

(さて、まずは相手の攻撃を見極めなくてはいけませんね)

 攻撃をした瞬間しか見ていないため対策が立てづらい。

(爆薬……ですかね、指から発射されていたところを見ると、

内部に弾を貯蔵しているのでしょうか?あれだけなら血の壁で

防ぎきれますが……)

 爆発物を使われる場合、本来であれば広い場所で戦うのが望ましい。

 しかし、死角は隠し通路にしか見当たらなかったので、仕方なく

横幅の限られているこの場所に誘導することにした。

(ベストはこちらの能力を知られる前に一撃で決めることですが、

難しいかもしれませんね)

 今までフラットが殺してきたのは一般人がほとんどであり、

今回のような得体の知れない相手はあまり戦闘経験がない。

(これからは好戦的な殺人鬼の依頼も受けるべきですかね……)

 フラットに合わせた依頼の場合、あまり凶悪な殺人鬼は該当しない。

 普段はいいのだが、こういうときに後悔することになる。

(ここを生き延びたら、隊長にお願いしよう……そうしましょう)

 余裕があるのか先のことを考え始めた。

 そうしている内にプルファーがやってきた。

「ここに隠れてるんだろ?」

 通路に声が響き渡る。

 明かりは点いているため全体が見えるはずである。

 そして唯一の障害物は破壊された機械。

「どう考えてもそこにいるよな?」

 ダダダダダッ

 弾を連射する音が聞こえてきた。

 次の瞬間、機械が爆発した。

 爆炎があがり、機械が崩れるとフラットが血の壁を展開していた。

「元気そうじゃないか?」

「いえいえまさか」

 フラットが炎から離れて移動する。

「ほう?やはり足が繋がってるな?それも能力か」

「……どうでしょうね」

(一応繋がっている風に見えますか……)

 軸足だけでバランスを取っているようなもので、動き続ければ

バレないだろうが、立ち止まるとバランスを崩しそうである。

「近づかない方がよさそうだな」

 離れたまま両手の指先をこちらに向けてくる。

 ダダダダダッ

 フラットは移動してある程度避けつつ、血の壁を破壊されると

次の壁を展開していた。

「はっ!やるじゃねぇか!だが逃げてるだけじゃジリ貧だぜ!?」

(向こうの弾数がわからないので、この状態での持久戦は

避けたいところですが……)

 近づくとなると連射してくる弾を全て防がなければならない。

 以前の機械砲弾の威力より弱いため壁は薄くしているが、

試すのは危険だ。

(攻撃があれだけとも限りませんしね……)

 フラットもそうだがお互いに手の打ちをあまり出していない。

 様子見とはいえ、この状況はフラットに不利である。

(場所を変えますかね)

 フラットは徐々に隠し通路の出口へと移動し始めた。

「また逃げるのか!」

「すぐ会えますよ」

 フラットが視界から消えると打つのを止めた。

「仕方ない、移動するか」

 プルファーもフラットの後を追い走り出した。

 

 隠し通路を出るとフラットの姿は無かった。

(どこへ行った?上か……こんなに早く?)

 そこは穴の底にある針山であり、上がるには壁を登るしかない。

(ここを登ったというのか?何か能力を使ったか……)

 辺りにいないことを確認すると、管制室から持ってきた

操作盤のスイッチを押した。

 ゴゴゴゴ

 穴の底が上がり始める。

(奴がここを登れるのなら邪魔なだけだな)

 さらにスイッチを押すと他の部屋の穴の底も上がり始めたようだ。

(さて、隠れるような場所もそんなにないが……)

 警戒していると針山に貫かれたボーガンの死体と目が合った。

(モニター越しよりもひどいな……)

 プルファーは爆薬で殺すため、バラバラ死体の方が見慣れている。

 そのせいか原型を留めた死体はあまり好きではなかった。

(あいつとは趣味が合わなかったな)

 今は亡きフドウを思い出したが、最後に顔を合わせたのが

施設の操作方法を教えた時のため、感傷に浸るほどの関係ではなかった。

 まずはどちらから探すか決めなければならない。

 罠がある部屋とここに下りてくるルートがあったが、隠し通路への

道は塞がれているため逃げられる心配はない。

(そうか、ほとんどが二手に分かれる道だったな……)

 入り口は分かれていても中で繋がっているため、

人がいるかどうかの確認は可能だ。ただし穴が無くなった代わりに

針山があるため隣の部屋への移動は容易ではない。

(とりあえず奥から行くか)

 罠がある部屋から行くことにし、次の部屋でも死体に目が留まった。

(こっちは大分バラけているな、俺好みだ)

 上がってきた針山にルルカの死体が飛散しており、

爆発でバラバラになる状態に似ていたためか、しばらく眺めていた。

(いかんな、今は奴を追いかけるんだった)

 目的を思い出しようやく動き始める。

(次の部屋が突き当りのはずだ。ここにいるか?)

 警戒しつつ中に入るが、どちらの部屋もプレスされた

死体があるだけだった。

(反対側だったか……引きが悪いな)

 罠がある部屋にはいなかったと判断し、もう一方へ向かいだす。

(今度はどこかの部屋には確実にいるからな……)

 いつでも弾を打てる状態にし一つ前の部屋を覗き込む。

(そういえばここも罠の部屋だったな、あれは……)

 針山にうつ伏せに突き刺さっているフドウが見えた。

(ここで殺されたか……マーク・ブルートにだろうな)

 フドウの死体に気が向いた一瞬であった。

 ザンッ

 天井から血液の刃が斬撃となり振り下ろされた。

「おおっとっ!」

 プルファーは間一髪で下がり回避した。

 直後上からフラットが落下し、プルファーに背を向けたまま走り出す。

「上に隠れてたか!危うく首を落とされるところだったが、

残念だったな!」

 逃げるフラットを走りながら追い、片手で狙いをつけ弾を打ちだす。

 ダダダダダッ

 後ろ向きに逃げていたフラットに当たり爆発する。

「はっ!さっきの盾はどうしたよ!?」

 血の壁を展開しないフラットに弾を撃ち続ける。

 頑丈なマントコートも限界だったのか、その場に崩れ落ちた。

(妙だな……こんなものか?)

 違和感を覚えながらフラットに近づく。

「再生するってんなら、限界までバラバラにしてやるよ!」

 両手をフラットに向け、至近距離から弾を

打ち出そうとしたときだった。

 死んでいたはずのフドウが起き上がり、プルファーの首を狙い

腕から出した血の刃を振りぬいてきた。

「なにっ!?」

 プルファーはまだ警戒していたため、ギリギリのところで反応した。

 既に弾は発射していたが、そのまま倒れつつ片腕を防御に回す。

 血の刃は狙いを外しプルファーの右腕を肘の先から切断した。

「機械ですか!?」

 切断した腕は機械化されていた。

「ですがこの距離では攻撃できませんよね!」

 フラットはそのまま振りぬいた刃で追撃に移る。

「と、考えるか?」

 プルファーが後ろを向いたまま、左手を開きフラットに向ける。

 手のひらには無数の穴が開いていた。

(至近距離でも問題なしですか!)

「ショットガン」

 ダンッ

 弾音は一つに聞こえたが大量の弾がフラットに向かい発射された。

 ドドドドドッ

 弾は火薬ではなかったが体中を貫通していきハチの巣状態である。

 フラットが追撃を加える前に命中したため、血の刃も壊された。

「直撃だな!?次はどう来る!」

 攻撃後振り向くとフラットが目の前にいた。

「想定通りです」

 フラットが笑いながらプルファーに抱きついた。

「何のつもりだ!?」

「おかげさまで大量の傷口が出来ました。いきますよ?」

 ザシュッ

 フラットの体中にある傷口から血の刃が飛び出し、

プルファーを串刺しにした。

「ぶはっ!」

 マスク越しに血を吐き出し、黒いマスクが赤く染まる。

「体を機械化しているようですが、どこまでもちますかね?」

「お前……そもそもそこに倒れている奴がフドウか……?」

「正解です、あなたの死角で動かしていました」

「服装はともかく髪型が入れ替わってるのは何なんだ!?

カツラでも持っていたのか!」

「ここで初めて会ったのにそんな準備がある訳ないでしょう?

髪を取り換えたんですよ」

「取り換えたってどうやって……」

「簡単ですよ頭皮ごと交換したんです」

「はぁっ!?」

「出血は制御できますからね、フドウの方は地を固めて頭に固定しました」

「正気じゃないな……」

「顔を見られたらバレるので、苦労しましたけどね。

あんまり長いと固着しそうなのでそろそろ戻しますかね」

 フラットの体から血液が伸びフドウの頭から頭皮を取り外す。

 フラット自身も取り外し、抱き着いたまま交換した。

「やはり自分の物の方がしっくりきますね」

「化け物みてぇなことしやがって……お前みたいなやつばかりなのか?」

「さぁ……どうでしょうね?」

 会話している間にもプルファーの体から血が流れ続けていた。

「意外と血が流れますね、機械化はそんなにしてないのですね?」

「……俺は少ない方だな」

「そういえばこちらも聞きたいことがあったんでした」

「この状態で答えろと?」

 ザシュッ

 返答の代わりにプルファーの右腕も切り落とした。

「くっ……」

「機械化していても痛みはあるようですね?

これで両手の弾は打てませんよ」

(まだ反撃の手段がないとは思えませんが……)

 フラットも大分ダメージを受けており、余力は無いので

今のうちに相手の手数を減らしておいた。

「さて、あなたも仲間がいるようですが?人数や能力を

教えてもらえませんか?」

「誰が……」

「仲間にリヒトという人はいますか?」

「リヒト?さぁな……」

(知っているのかわかりませんね……)

 フラットに相手の嘘を見抜くほどの観察力は無い。

「形式上聞いてみただけです。殺すことに変わりはないので、

あまり期待していませんし」

「じゃあ、もういいか?」

「そうですね、終わりにしましょう」

 フラットがプルファーの首に血の刃を当てると、

プルファーが目を閉じ、口の中に仕込んであるスイッチを押す。

 カチッ

(スイッチ?どこの……)

 フラットがスイッチの音を聞いた直後、落ちていた

プルファーの両腕が爆発した。

 バァン

(しまった……あれも爆発するのか……)

 爆発の衝撃は大きく、ふたりとも吹っ飛ばされた。

 フラットは運悪く針山の上に落ちた。串刺しである。

「ぐはぁっ!」

 プルファーは両腕がないが上手く着地した。

「形勢逆転だな!と言いたいところだが、こちらも限界だ!

まだ近づくと何をされるかわからん。お前はここで死ね」

 プルファーは足で操作盤のスイッチを押し隠し通路に向かった。

(あれ壊れなかったんですか、まずいですね……)

 針山に深く突き刺さり、爆発のダメージも大きくすぐに抜け出せない。

(この状態で攻撃されなかっただけマシですかね……)

 先ほどプルファーが何かしら攻撃をしてきていた場合、

やられていたであろう。その意味では運が良かった。

(お互い生きていたら、次は手の内をある程度知っている状態ですか……)

 なんとか針山を抜け出したが、這って移動するのがやっとであった。

(足を無理やり繋げて歩くのは無理ですね……)

 元から足は限界だったのだが、そこは気付かれなかったようだ。

(しかし、これは……)

 プルファーの後を追い隠し通路に向かうが、下りた後再び

穴が上がっていたため道がない。

(他に道は無いのでしょうか……)

 そうしていると機械音が鳴りだした。

(嫌な予感です……)

――あと一分で施設は破壊されます――

「やっぱり!」

 

 プルファーは管制室にいた。

 施設の操作も把握していたため、施設破壊の方法も知っている。

 ただし両手がないため若干てこずったようだ。

「お前の最後を見届けられないのは残念だな」

 モニターで最後にフラットが脱出できないことを確認すると、

一定時間後に破壊されるように設定して出て行った。

「万が一生きていたら、次は確実に殺すからな」

 そう呟くと破壊に巻き込まれないように急いで離れて行った。

 

「これはさすがに駄目かもしれませんね……」

 なんとか隠してあった荷物までは戻り、造血剤を飲み回復はしたが

怪我の修復も限界があった。傷口の修復はある程度の時間で可能なのだが、

骨や神経の修復は簡単ではない。

「生き埋めになったら自力では生還できないですよね……」

 施設自体が基本地下であり、ここで埋められた場合かなり深い。

「話とかしないでやれるときに殺すんでした……」

 後悔してももう遅い。あとは自分の運を信じるのみである。

――残り五秒――

「カウントダウンがギリギリ過ぎる……」

 そもそも開始から一分の時点で逃がすつもりがない。

――四、三、二、一……――

 いたるところで爆破が始まった。

(結局、参加者は全滅ですね……)

 フラットのいる部屋の天井も落下し始めた。

 そうして、参加者六人は施設と共に沈んだ。



全然話が終わらなかったって?そういえば言い忘れていたが

省略していて本当は「どうでもいいと思います」だった。

次からはそっちを使う?そうか、それはいいと思うぞ。

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