表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狩人  作者: Houston
1/5

第1章 

第一章


・・・「さて、始めるか。」

そう呟いてみる。何故自分で呟いたのか分からなかった。これから数時間後に起きる「狩」への決心を固めるための喝だろうか。いや、それはありえないな。狩なら前にもやったことがある。そのときの俺は完璧に冷静だったはずなのだから・・・


電車を降りた後、清羅しんらは声をたどりに「狩」を始めた。・・・かすかに聞こえる。目をつぶり耳を澄ましながら声の主の方向に足を速める。町を歩く人は清羅を珍しいもや、変わったものを見るような目で見ながら通り過ぎる。さらに何人かの敏感な人間は彼に恐れをなし、避けようとさえするのだった。何故彼がそのような目で見られるのか。理由は山ほどある。まず彼が目をつぶりながら、なのに目を開けているかのように歩いている人を避けながら歩いてること。次に彼の髪が墨を流したように黒く、また彼の肌がその髪とは対照過ぎるほど白いということ。そして、なにより彼を取り巻く空気は異常なまでにニュートラルであるということだ。つまり彼の表情、しぐさ、雰囲気からは何も感じれないということである。ふと、清羅は足を止める。そして裏地に入っていった。

「おい、どういうことだよ、テメー!」 

                               

五人の暴力団が背の低い四十代ほどの男性の胸倉をつかんでカツアゲしているのを清羅は見た。蛇ににらまれた蛙とはまさにこのことだな。清羅は全然面白くない状況で全然面白くない冗談を考え付く自分を清羅を少し面白いと思った。・・・いや、ネズミと猫とたとえるほうがいいかな。なにしろ、蛙は歯をガチガチ鳴らしながら震えるようなことはしないだろうから。それに、彼があげる小さな悲鳴はネズミの鳴き声にそっくりだ。

「おい、てめえは何だぁ?」

そんな考えをしていたせいで清羅は自分が声をかけられると気が付くのにしばらく時間がかかった。

「ん、いや少し見学させってもらっているんだ。大丈夫警察に通報はしないよ。」

「おい、俺らがみすみす見逃してやると思ってやがんのか!んあああ!!」

言う終わるか言い終わらないかうちにもう一つの獲物を襲いかかりに三人が殴りかかりにきた。清羅の目つきおよび空気が変わったのに一瞬三人ともひるんだ。清羅はそのすきに右ポケットからすばやくスタンガンを取り出して一人の腹にめり込んだ。そしてあっけにとられているもう一人の腹にもスタン

ガンを向けた。二人が倒れた。

「このやろー!」

いまや男を押さえていた残りの二人の暴力団までが手に凶器を持ち参戦してきた。彼らは不思議に思った。なぜあたらない?三人がいっせいに襲い掛かっているのに何故当たらない?彼らは色の白い男が左ポケットからもう一つスタンガンを取り出すのを見た。そして二つのスタンガンから電光が迸るのも見た。そしてまた二人倒れていったのだった。最後に残った一人は急いで後退し、壁においてあったモデルガンを清羅に向ける。モデルガンといっても殺傷力は当たれば十分にある。狙いを定めて清羅に連射する。このとき彼は初めて恐怖した。軽い動きで弾をすべて避けられたのだ。人のできることじゃない・・・弾が切れたとの同時に彼の目の前は真っ暗になった。


清羅は最後に倒した男を凝視した。見える。白いマンションの三階目。135号室。彼は裏地を抜けさっき見た映像と声を追い道を横切る。近い、近いぞ。映像と一致する建物が清羅の目の前に広がった。声も今までにないほど大きく聞こえる。たに ひかり懸賞金1700万円。近々学校を爆発させる、爆発テロ組の幹部。そして・・・一瞬、ほんの一瞬、清羅は木の上で夕日を見ている子供たちの懐かしい映像が脳裏を横切った。唇をかみ締め、頭を振ってその映像を振り払う。

「・・・もう、あの頃とは違うんだ。俺は。」

決意と正義と意思をを固めるために出したこの言葉のなかには、どこか嘆きが隠れていた。

クリミナルハンターいかがでしたか?楽しんで読んでもらえたら光栄です。感想をよければ聞かせてください。では。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ