表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話 空飛ぶ(物理)飛行体Kの回想4

───────────────────────

そもそも、ここに召喚されたのは俺だけでなくクラスメイト全員だった。


だが、何故ここにいないのかと言うと、既に全員がミューリから能力を貰って異世界に旅立っていたからだった。


しかも、この場所そのものも一時的に作り出した臨時空間のためすぐに崩壊するようになっていた。


そのため能力を選んだらすぐに異世界に送り出して空間の崩壊に飲み込まれないようにしていたのだが・・・


「・・・寝ていた俺に気づかなかった、と。」


「すいません。急いでいたので睡眠中の生命反応が微弱なあなたの存在を認識することが出来ませんでした。」


なら、俺もその空間の崩壊とやらに巻き込まれたくないのでさっさと能力を貰ってここから脱出したかったのだが・・・


「そもそもですね、私達案内人は基本不干渉なんですが、私達は公平性を重視しているためそれが崩れた場合に活動します。その際に使う力が強すぎるため崇められたりすることもあるんですけどね。

しかし、今回あなた達なんの力もない元一般人がいきなり別世界に呼び出されて勇者という存在となると流石に公平性が崩れます。そのため、その公平性を保ちながら我々が干渉しないためにはどうすればいいかを考えたところ、《召喚時に出た余剰エネルギーを用いてその中で最良の能力を作り、それを渡して異世界に飛ばす。》ということになったのです。」


なるほど、実質案内人側からは何も提供してはいないからそれはセーフなのだろうか?


・・・なかなか曖昧だなぁ・・・


「それで、実際に向こうの世界でもとても強力な能力や武器などを作って渡したのですが・・・ただでさえ余ったエネルギーで作っているものです。塵一つ分も無駄にはできないので私は『人数分』しか作りませんでした・・・」


つまり、能力を与えている時に彼女に認識されていなかった俺は・・・



・・・・・あっ(察し)


「それで、気づかなかった俺の分は無駄にしかならなかったから作れなかったと。」


「本当にすいませんでした!!」


いや、寝ていたのは俺だし、授業中に寝るのはいけないことだし、要は俺の自業自得・・・


・・・でもないよなぁ。


まず寝ているうちに、というか普通に暮らしてていきなり異世界に飛ばされるという理不尽が起こるとか、まずわからんだろ。


予知しようのないことに対して対処のしようもないからなぁ。


というか・・・


「え?じゃあ俺どうしたらいいんです?」


まさか俺になんの力も無いまま異世界に飛べと!?


んな馬鹿なことあったら俺普通に死ねるんだが・・・


「こればかりは不注意だった私の責任です。先程上に申請した案が通ったので、それに従います。」



そう言って彼女が腕を軽く振ると、俺の目の前に半透明のゲームのステータス画面のようなものが出てきた。


「これは?」


「それはステータスプレートと呼ばれるもので、あなたのクラスメイトの方々にも与えたものです。それに自分の能力を可視化することであなた達の活動をサポートします。」


そこに書かれていたのは


_______________________


名前: 河南 優雅 年齢:17

種族:人間

レベル:1


職業:ランダム(タッチして下さい)

スキル:ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)

装備:ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)



________________________


というものだった。


「・・・ランダム?」

1番最初に疑問に思ったのは画面の半分を占めている《ランダム》という言葉だ。


「はい。今回は私の方の責任ですが、全ての余剰エネルギーはクラスメイトの方々に渡してしまいました。しかし、私達の方からそれらのエネルギーを直接渡すことはルールに反してしまいます。そのため、《間接的》にならどうにかなるかと思い出したが、何とかなって良かったです。」


「今回は全ての能力をランダムとすることで、実質あなたの能力はあなた自身の《運》によって決まることになります。強すぎる能力もあれば、もちろん弱い能力もあります。全てはあなたの《運》で決まります。」


・・・なるほど、これは俺には選択権は無いが運で能力は何かしら手に入るからセーフと・・・


・・・やっぱ曖昧だなぁ・・・


これによるメリットは俺が能力を手に入れられること。その一点に限るな。

その代わり、デメリットは多い。全てランダムのため、他の奴らと違って能力が全て最良のものである訳が無い。全ての能力がゴミである可能性もある。

更に、選択権が無いため能力の詳細も一切把握出来ない。


しかも、それぞれの能力が全く噛み合わない可能性もあるのだ。

例えば、これから行く世界には魔法があると言っいたので、魔法に関する職業があるだろう。

まぁ、無難に《魔法使い》とでもしようか。

それに対して出たスキルが例えば、《投擲》や《守護》など全く関係ないスキルが出る可能性もある。


まだこれならどうにかなるが、これが《非戦闘用スキル》だった場合はどうだろうか?




・・・完全に___詰む。



更に、そこに装備も加わってくるのだ。その全てが毛色の違うものである可能性だってある。


・・・・・これ、本格的にヤバくないか!?



「・・・これって最悪全部ハズレの可能性もありますよね?その場合どうすればいいんですか?それに、ランダムってことは全てが毛色の違うものである可能性だってあるんですよね?」


「あ、それについては安心してください。まず、あなたが心配されているように全てが毛色の違うスキルになる可能性は確かにありますが、戦闘系のスキルと非戦闘用のスキルの比率はだいたい8:2位なので大丈夫でしょう。こればかりはランダムなので許してください。」


・・・まぁ80%の確率ならどうにかなる・・・のか?


まぁ、俺にも非はあるし、召喚だって別にミューリさんのせいじゃない。ここは割り切るしかないだろう。


「次に能力や武器のランクは希少価値や強さに応じてF~SSSまであります。これは、シェルシャイトのあらゆるところで使われているのです。今回はあなたの能力のどれかが、必ず1つはSランク以上になるように設定しているので、どうにかなります。稀に、特定の条件が必要な封印中のスキルや武器がありますが、本当に稀ですので大丈夫だと思います。それに、逆を言えば当たりの能力ばかりになるかもしれないんですよ!?そうなったら最強じゃないですか!!」


なんであなたがそんなに興奮してるんですかミューリさん・・・


「・・・これって能力の詳細とかはどうやって見ればいいんですか?」


「あぁ、それは能力が決まった時にその能力の欄を押すと詳細が可視化されます。じゃあ、早速押してみま・・・」


ギギギギギギギギギギィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!!!!!


突然、俺が立っている足場が歪み始めた。

それと同時に、何か硬い金属のような硬質のものが無理やり捻れていくような不快な音が響く。


咄嗟に耳を塞いでそれに耐える。

だが、それは断続的に続いており、段々と大きくなっている。


「ぁぁぁあああ!!なんだこれぇぇぇっ!!!」


「不味いですね、話し込んでいて気づきませんでしたが、空間の歪みがここまで広がっていたなんて・・・」


ミューリさんはその音には全く動じずにさっきと同じように手を振った。


すると、俺の体を中心に光の円が形成され段々と光を増していく。


「申し訳ありませんが、これから直ぐにあなたをシェルシャイトに飛ばします。もう、目的地を指定している時間すらないので転移する場所もランダムになってしまいます・・・詳しい説明などもほとんど出来ず本当にごめんなさい。気持ちばかりですが、これを、」


ミューリさんの声はこの大爆音の中でもすぅーっと頭の中に入ってきた。

そして、さっきから開いていたステータスプレートから「ピロンッ」という電子音に似た音がした瞬間、ステータスプレートに変化が起こった。


________________________


名前: 河南 優雅 年齢:17

種族:人間

レベル:1


職業:ランダム(タッチして下さい)

スキル:ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)

鑑定(残り:30回)

装備:ランダム(タッチして下さい)

ランダム(タッチして下さい)


________________________


「私の能力をあなたに分けました。回数制限はありますが、そのスキルがあればF~SSSまで、つまりシェルシャイトのあらゆる情報を得ることができます。」


え?でも俺に能力を直接与えるって・・・



「・・・内緒ですよ?」


その言葉を耳にした瞬間、俺の視界は白く染め上げられた。


「最後までろくなこともしてあげられなかった私が言うのもなんですが・・・あなたの行く末に幸福を。」


____俺は、俺の人生の中でこんなにいい人に会ったことは無かったんじゃないかと思う。


自分の責任でもないのに、ここまで相手に対して親身になって問題を解決してくれて・・・


もしもまた会えたなら、俺は是非ともお礼を言わせて貰いたい。


だから、きっと最後に目に映ったった彼女の_____も、きっと見間違いだろう____

________________________




・・・暑い。


初めに感じたのはそれだけだった。


暑い、とにかく暑い。

いや、これはもはや『熱い』と言っても過言ではない暑さだ。


あれ?俺は確か、ミューリさんから能力を貰って、それから・・・


「・・・はっ!!」


いつの間にか寝転がっていた体を起こす。

そして、当たりを見渡すと・・・




「・・・・・・えぇぇぇぇェェェエエエエッ!?!?!?」


・・・そこは、砂漠だった・・・・・。










───────────は?



明日の20時くらいにまた投稿します。

この話が本格的に盛りあがるのは8話位からだと思います。

作者も、高評価やブクマ登録増えてくれると頑張れるので、応援よろしくお願いします!!

あと、誤字報告あればよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ