56話・専属デザイナーになりませんか?
「ひゃっ、百万キャロ~!」
「我が商会の専属デザイナーになるのなら500万キャロお支払いしましょう」
「そ、それは──」
突然の話に困惑していると、妹達が目を輝かせた。
「まあ、お姉さまがデザイナー?」
「素敵」
「素晴らしいわ」
「良いと思うわ。賛成っ」
そこにブランシュがでも。と、言った。
「お父さまやアーサーはどう思うかしら?」
「「「「「う~ん」」」」」
五つ子達が悩んでいる脇で、わたしはナナホシと向かい合った。
「お話はありがたいのですが、これを仕事としてやっていく気はわたしにはありませんの。趣味でしていることですから」
「そうおっしゃられるかもとは思っておりました。カミーレさまからアンネリースさまは欲がないお方だと聞いておりましたから」
それでもとナナホシは言った。
「貴女さまのアイデアを貸していただく事は出来ないでしょうか?」
ナナホシとの話は後日、お父様が屋敷にいる時に訪問してもらい話し合うことになった。結局、デザイナーとして働く事は出来ないけれど、アイデアだけ売るということで話が付いた。それも彼から見て良いと思う商品で、わたしが売っても良いと納得したものに限り。とりあえず薔薇のドレスのアイデアを売ったので、ちょっとしたお小遣いが入ることになった。




