44話・おまえはもう黙ってろ
皆の前で恥ずかしがって余所見しようとするリズ。可愛すぎ。でも、見逃してはやらないぞ。
「はい。あーんだ」
「もう、アーサーったら」
「食べないなら口に突っ込むぞ」
おずおずとサンドイッチに口をつけるリズが可愛すぎて目が離せない。
「おまえは食が薄いからな。心配だ。またこの間のように倒れられては困る」
「あれは──」
「ええっ? リズ。倒れたの?」
いつの間にかカミーレが側に来ていた。何で来た? あっち行ってろ。
「アーサーが構いすぎて神経が追い込まれているんじゃないの? 僕のとこ来る?」
「誰が行くか。リズはおまえにはやらん」
リズは俺のだって言ってるだろうが。なんでおまえのところにやらなきゃ行けないんだ?
「まるで保護者だね」
「放っておけ。おまえはちゃんと見てろよ。危害でも加えようとしたら許さないからな」
「はいはい。アーサーはリズ至上主義だもんね。気をつけて見ておくよ」
過保護になるのは仕方ないだろう。アイツがリズに危害を加えるようなことをしたんだから。文句があるならアイツの綱をちゃんと握っておけよ。
食後は孤児院の子供たちと鬼ごっこをして楽しんだ後、おやつの時間となった。その時にまた問題児が余計なことを言い出した。
「なにこれ? これがお菓子ですって? ずい分と貧相な。こんなのわたくしに食べろというの?」
リズの焼いて来たクッキーに文句をつける。この女には本当に苛々する。「じゃあ、食うなよ」と言えばパメラ王女は「ひぃっ」と、悲鳴に近い声をあげた。おまえはもう黙ってろ。




