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獣人辺境伯の心配は尽きない~白耳うさぎは黒狼を翻弄する~  作者: 朝比奈 呈
ヒロイン目線 ̄(=∵=) ̄
20/107

20話・リズはおまえにはやらん


「お姉さま、何食べる?」

「サンドイッチ食べるでしょう?」

「一個? 二個?」

「これ、わたしが作ったのよ」

「こっちはわたし」



 五人の妹達がこっちも食べて。と、あれやこれやとお皿の上に乗せてくる。みんな良い子で気遣ってくれる。


「ありがとう。みんな。でもこれ以上、食べきれないからもういいわよ。後はあなた達の分を取ってお食べなさい」

「はあい」



 と、返事をして黙々と食べ始めた妹達を見ていると、「それ食べないのか? 」と、脇から声が上がった。手に持ったサンドイッチをアーサーがパクッと口に咥えてしまった。



「アーサー、お行儀が悪いわよ」

「おまえも食べるか? ほら」



 目の前に別のサンドイッチを差し出される。



「いいわよ。一人で食べれるから」

「遠慮するなって。ここにはシュネ達しかいないぞ」



 いいえ、シュネたち以外にも、アザリアさまやカミーレ、パメラさま、孤児院の子供たち、シスターらがいる。皆の注目を浴びて恥ずかしく思うのにアーサーは平気そうだった。

 だってこれは普段、わたしや彼の屋敷で見られる光景だったりする。妹達はそ知らぬ顔で食べ続けているけれど。頬いっぱい頬張っちゃって可愛い~。って現実逃避したくなったけど、彼は見逃してくれそうになかった。



「はい。あーんだ」

「もう、アーサーったら」 

「食べないなら口に突っ込むぞ」



 アーサーはわたしのことを何だと思っているのかしら? 子供扱いして。恥ずかしく思いながらもおずおずとサンドイッチに口をつけると、アーサーに穴が空きそうなほどじいっと見つめられた。



「おまえは食が薄いからな。心配だ。またこの間のように倒れられては困る」

「あれは──」

「ええっ? リズ。倒れたの?」



 いつの間にかカミーレが側に来ていた。



「アーサーが構いすぎて神経が追い込まれているんじゃないの? 僕のとこ来る?」

「誰が行くか。リズはおまえにはやらん」



 どこかで聞いたような、父親のようなセリフをアーサーは吐く。


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