表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人辺境伯の心配は尽きない~白耳うさぎは黒狼を翻弄する~  作者: 朝比奈 呈
ヒロイン目線 ̄(=∵=) ̄
16/107

16話・隠し子ではなくて妹です


「「「「「パパっ」」」」」



 ぎょっとするアーサーに皆が一斉にすがりつく。普段五つ子達はふざけて屋敷の中でアーサーをパパと呼ぶようになっていた。アーサーも妹たちに「パパ」と、呼ばれて嫌そうでもないので放置していたのだけど、さすがにこの場で「パパ」呼びはないだろう。そのせいで約一名、それを信じた人が現れた。



「アーサー、あなた子供がいたの? ベクトル嬢とはまだ正式に婚姻していないわよね?」



 アーサーとわたしが許婚であることを、王女殿下はご存知だったようだ。それなのに言い寄るような態度を見せたのは問題ありだと思うのだけど、そこはまるっと忘れたのか、軽蔑した目線を向けた。

 この国では婚姻してないのに、先に子供を成すと良く思われない傾向にある。王女殿下は五つ子が、わたしとアーサーの間に生まれた子供だと誤解したらしかった。



「姉上、この子達はリズの妹たちだよ。アーサーの子供じゃない」

「まあ、そうだったの? 可愛い子たちねぇ」



 カミーレがご丁寧にもすぐにばらしたので、不機嫌そうになっていたパメラ王女は機嫌を直した。

 王女殿下が持ち込んだカナッペを、アーサーやカミーレの手を借りて食堂へと運び込むのを見ていた五つ子達は思い出したように言った。



「お姉さま。あのね。わたしたちもね、サンドイッチ作ってきたの」

「サンドイッチ?」



 わたしの顔色を窺うように、シュネが言って来た。他の四人も言うか言うまいか悩んでいたようで、シュネが言ったのをきっかけに話し出した。



「お姉さまが今日、孤児院を訪問するって聞いたからこっそり用意していたの。キュウリとハムのサンドイッチをね」

「わたし達で作ったのよ。料理長に教わっていたの」

「お姉さまと一緒に行きたくて毎日、いっぱい練習したのよ」



 スノーやニィーベが続いて言う。五つ子達は自分たちも連れて行って欲しかったのだと暴露してきた。こっそり練習までしてきたのにアーサーに留守番と言われて戸惑ったようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ