15話・この人だあれ?
「アザリアさま、カミーレさま」
「「「「「こんにちは」」」」」
シュネを始めとしたメンバーが声をそろえて挨拶する。あらやだ、可愛い。うちの子って。ってそうじゃない。妹馬鹿が発動しそうな前にちゃんと注意をしておかないと。王妃さまの前だと言うのにこの子たちったら。
「あなた達。後をつけてきたのね? いけない子ね。アザリアさま、申し訳ありません」
「構わないわ。ビクトル家自慢の五つ子ちゃんたちじゃない。紹介してくれるかしら? リズ」
アザリアさまはにこにこ笑いかけて促した。五つ子達に横に一列に並んでもらい王妃さまに紹介する。
「はい。このピンクのリボンをしたやんちゃな子がシュネで、
ブルーのリボンをしている大人しい子がスノーです。
そちらの黄色のリボンをした子が甘えっ子のニィーベで、
グリーンのリボンをした子がしっかり者のブランシュ、
とにかく元気いっぱいな子がこの赤のリボンをしたネージュです」
「アーサーから話には聞いていたのよ。リズに良く似た可愛い子たちだと。本当に愛らしいこと」
「ありがとうございます」
アザリアさまはお優しい。こうして突然、やってきた五つ子たちを叱らずにいてくださるなんて。
「おまえら着いて来たのか? 今日は駄目だって言ったろう」
「「「「「アーサーっ」」」」」
アーサーがこちらに向かってくると、五つ子達は先を競うように群がった。そしてアーサーの隣にいる王女をけん制する。
「アーサー。この人誰なの?」
「なんでアーサーにくっついてるの?」
「アーサーから離れて。ずーずーしい」
「香水臭いわ。お風呂入ってないのかしら?」
「やだ。不潔~」
突然妹達からの洗礼を受けて、たじたじとなった王女はアーサーの腕に絡めていた腕を外した。それでも五つ子達を負けじと睨みつける。
「あなた達こそ誰なの? ベクトル伯爵令嬢に似ているみたいだけど……?」
その言葉に、妹達はにやりと笑った。




