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獣人辺境伯の心配は尽きない~白耳うさぎは黒狼を翻弄する~  作者: 朝比奈 呈
ヒロイン目線 ̄(=∵=) ̄
10/107

10話・五つ子が何か仕出かしたようです


「見てみて。アーサー。わたしの髪形、可愛い?」

「ああ。よく似合っている。ニィーベのはお団子頭か?」

「うん。ネージュも、ブランシュのもそうなの」

「おまえらのリボンはニィーベが黄色で、ネージュが赤、ブランシュがグリーンか。リズも器用にやるもんだなぁ」



 隣室で着替えながら、わたしは五つ子達が赤ちゃんだった頃を思い出していた。あの頃は母が産後寝付いてしまった為に、乳母と二人で妹達の面倒を見ていた。ときどきそれにアーサーが加わって、彼もオムツ替えやミルクを与えるのを手伝ってくれていた。


 なんだかこれって、未来の子育て予行練習してるみたいじゃない? と、思ったら恥ずかしくなって、アーサーの顔を正面から見られなくなった時もあった。


 五つ子がアーサーが大好きなのは、きっと皆、幼い頃から彼が側にいて面倒を見てくれたからだよね? 

 物心ついた時には「アーサーと結婚したい」なんていって取り合いになっていたし。それを聞いてお父さまが「大きくなったらお父様と結婚したい」って言うのが定番じゃないのかい? と、寂しそうに呟いていた日もあったわよねぇ。



「お姉さまは髪を結うのがとてもお上手なのよ。髪結いになりたかったって言ってた」

「それは無理だろうな」

「どうして? お姉さまは誰よりも上手で才能があると思うのに?」

「リズは俺と結婚する事が決まっている。髪結いだなんて貴族の奥方がすることじゃない」



 夢見がちなシュネが言った言葉をアーサーは切って捨てた。わたしだって髪結いになれるとは思っていない。いつも妹達の髪型をアレンジするのが好きで、時々、孤児院を訪問した時も女の子達の髪を結ってあげることがある。

 でもそれはあくまでも趣味の領域であって、それを仕事にできたなら大変嬉しいけれど、そんなに世の中、甘くないし、貴族令嬢が手に職を持つことなどこの国では異例だからまず難しいだろうとは思っていた。


 アーサーの言った言葉はもっともだけど、妹相手にもう少しやんわりとした言い方はなかったのかと思っていると、シュネが反論していた。



「そんなのおかしいわ。どうして貴族令嬢は髪結いをしてはいけないの?」

「そうよ。王妃さまだって髪結いの係りの女官をお持ちだわ。その人達だって貴族の身分をお持ちじゃない? どうしてお姉さまはやってはいけないの?」

「それは──、こればかりはリズには諦めてもらうしかない」


「アーサーの横暴」

「アーサーの馬鹿」


「アーサーなんて嫌い」

「アーサーのいけず」

「アーサーなんてお姉さまに振られちゃえ」



 なんだか話の流れがおかしくなって来たと思っていると、

「おっ。おい、こらぁ。おまえ達、しがみ付くな。あっ」



 アーサーの驚いた声と共に、ビリリリッと絹が裂けるような音がして、着替えの途中だった私は急いで隣の部屋に向かった。五つ子達は、何かさっそく仕出かしてくれたようだ。


<五つ子ちゃんの紹介>

シュネ→  やんちゃ。ピンク好き。

スノー→  大人しい。ブルーが好き。

ニィーベ→ 甘えっ子。黄色が好き。

ネージュ→ とにかく元気。赤が好き。

ブランシュ→しっかり者。緑色が好き。



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