くじけないよ~柴田トヨさんへの手紙~(立ち読みver)
はじめに
この詩集は、今は亡き100歳の詩人、柴田トヨさんに感化されて筆を執った作品です。「あなたも始めてみませんか」というトヨさんの一言に心を動かされました。どうぞごゆっくり。
海人
祖母1
縁あって
グループホームで暮らす母
母は度々訪れる
分かれのセリフは
「おつかい行くから」
じっと母見るふたつのまなこ
トヨさんの
詩集を差し出すうちの母
これが私の気持ちだと
一言添えて渡された
花弁のような文字を見た
行きは良くとも帰りは辛い
説得力のある言葉
心の瞳
まぶたの裏に
あの日の私
どんなに陽射しが遠くても
添え木のような君がいた
あなたはまだまだ
枯れちゃだめ
灰色桃色蜜柑色
雲のカラーは
心の鏡
流れるバイタル把握して
今を生き抜く新緑の
くすんだ瞳の輝きは
目薬さして澄んでゆく
それはあたかも伏流水
生命
生命は韻を踏んだら姓名に
いのちそのもの全ての名前
固有があっての
代名詞
名無しの権兵衛
困ります
使命が無ければ存在できぬ
有名になると窮屈
大衆は
埋もれる代わり
生きやすい
名物名産銘菓名品
未来の娘と息子より
お父さん
まだ春風は
吹かないの?
父さんは
押しの弱さが
玉にキズ
勇気を出せば縁は整う
母さんを守り抜くのが
父さんの
日頃の仕事
覚えてね
柔よく剛を制すなら
鋭破と声を
出してみて
気合入れると効果があるよ
花や鳥が
窓の向こうの
小さな庭に
花のつぼみが
ありました
どうにか彼女を咲かせたい
私はあなたに名を付けて
深い眠りにつきました
次の日目覚めて
驚いた
はるながちゃんと
咲いていた
涙の雫は頬伝う
思いの丈は
ガラス越し
瞬時に解ける淡い白壁
ココアどこ?
私だれ?
ユーモアセンスは
必要不可欠
冗談ばかりの
そこが好き
真剣白刃は失敗しそう
笑いの力は偉大なり
ざっと動物見渡して
笑う生き物
ヒトでした
癌も消え去る魔法の薬
祖母2
祖母の思い出
ヨモギの葉
摘んで作ったおまんじゅう
お手玉片手でくるりんぱ
みかんで真似たら怒られた
切り干し大根かじったら
じわじわ甘みが増してくる
子育ての
苦労を母から
伝え聞く
「あんたらいるから
顔晴るよ」
残った米粒釜の底
飢えをしのいだ
祖母の食い意地




