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chapter4:王妃としてのわたしは……(アルカ視点)

本編更新です。

次回更新は未定です…………

「んぅ………暇だなぁ………



今のわたしは戸籍上魔界の住人で、客観的にはフェイの婚約者だから必然的に魔王城に住んでいる。

で、旅をしていた時から2人で同じ部屋だったからその延長線上でフェイのお部屋にお邪魔させてもらっているんだ。


…………だけど、平和になった今の世界、しかももう勇者で無いわたしにやる事はない訳で………

フェイにも『アルカはのんびりしてても良いんだよ ?』とか言われちゃったし………

うぅ……わたし、フェイと違って頭良くないからなぁ………フェイのお仕事の手伝い、出来ないもんなぁ……………


そんな訳でやる事が無いわたしは部屋でぼーっとしていた……

けど…………



「んー……暇だぁ……。

と言うか、わたしってフェイのお嫁さんなら【王妃】でしょ……?

本当に、何もしなくても良いの………?」



あうー………もやもやするぅ………


こうゆう時は動くに限るよねっ!!

今は平和だって言うし、わたしも魔族なんだからきっと平気……だよね………?

うん、精霊剣もあるし。



「来てっ!ウンディーネ!シルフィード!」



わたしが声を上げると、虚空から水色のロングソードと薄緑色のレイピアが現れた!

2本の剣はわたしの背中で交差して浮き始める……通常であればわたしはこれで十分に戦えるんだ。



「よーし!探索開始だぁ〜♪」



準備万端!いざ出陣っ♪



「おはようございますアルカさん♪」


「おはよぉ〜♪」



城内を歩いていると、魔族の皆はにこやかにわたしへ挨拶してくれる………

今のはサキュバス族のメイドさんね。

本当に平和だなぁ…………


まぁ、一部の血の気の多い人は襲いかかってくるのだけれど………



「勇者アデル!!丁度いいところに来たな!!勝負だァァっ!!」


「今のわたしは王妃(になる予定の)アルカだよっ!?」


「そんな事は知らんっ!!」


「んもぅ……勝手だなぁ………;」



前も来た訓練所…広くて武器とか的とかが置いてある所に来たらいきなり勝負を仕掛けられた!?

まぁ2本の剣が既に迎撃してくれてるんだけどね。

相手はミノタウロス族の人。

別に敵対しているわけじゃないし、旅をしていた時は共闘した事まである間柄なんだけど、ミノさん達は戦うのが好きだからなぁ………



「はぁ………まぁ、剣が勝手に戦ってくれるから良いんだけどさ………

っと、折角だからわたしも魔法の練習に付き合ってもらうよ!!」


「そう来なくてはな!ガハハハハ!!」



豪快に笑いながら宙を舞う2本の剣を相手にするミノさんへ、わたしは魔法を放つ準備……詠唱を開始する。



「紡ぎしは風/揺蕩う水よ/巻き上げ/飛び散れ!『スプレッドバレット』!!」



わたしの手から放たれたのは拳大の水球。

ただし風を纏っているので素早く飛ぶ!!



「ウォラァァッ!!」



しかし水球はミノさんの斧により粉砕された!?

相変わらずミノさんの戦い方は滅茶苦茶だなぁ………



「ファイアーボール!サンダーボルト!!」



わたしは続け様に詠唱破棄で魔法を放つ!

威力度外視の畳み掛ける攻撃だ!!



「逆巻け旋風!土をはらんで吹きすさべ!仇なす者を微塵に砕く!悪魔の嵐を巻き起こさん!!『ストームテンペスト·フィアー』!!」



更におまけで上位の上に亜流な風魔法!!

こっちは早口で詠唱する!



「ガッハハハハハー!!魔法を覚えた勇者は面白いな!?」


「えー…………



しかしそれすらもミノさんは斧でかき消してみせた………?

本当になんなのこのミノタウロス。



「……しっかし、何故か悪寒がするな………すまぬがこれにて終いにしてくれ……!

楽しかったぞ!!」


「あ、うん!またねミノさん!!」

(しっかり状態異常の【恐怖】は入ってるのね…………)



ミノさんを見送ったわたしは、暇だしこのまま訓練所で魔法の練習をしていく事にした。

……えっ?フェイには戦うなって言ったのに自分は良いのかって?

……だって、いざ戦いになった時にお姫様扱いなんてわたしのがらじゃないもん!

だからわたしもちゃんと戦えるままでいないと………

なんて、言い訳だよね………

はぁ……なんでかなぁ……フェイには戦って欲しくないのに、自分は戦いたいだなんて……………


うん。

やっぱりやめておこう。

こんな不安定な心で魔法を使うのは危ないって、サフィーアさんが言っていたし。


…はぁ……フェイ………

わたし、今すっごく……フェイに会いたいよ…………………


ー※ー



「……って、え…………?」



そう思っていたら、不意に慣れた感覚が……フェイと【リンク】する感覚がした………!

うそっ!?わたしとフェイは、【リンク】を出来るのって精々お互いがお互いを認識できる視界内に入る程度の距離だったはず………!

だけど、フェイは今ここに居ない。



「えっ!?」



更に、一瞬の浮遊感の後、わたしはーーーー



「うわっ!?」

「きゃっ!?」


「なっ、なんだ!?ってアルカかっ!!」


「ふ、フェイっ!?なんでここに!?」



ーーーわたしはフェイの膝の上に居た。

対するフェイも、突然出現したわたしに驚いているみたい。



「それはこっちのセリフだよ!!いきなりアルカと【リンク】したかと思ったらキミが現れたんだ!!」


「わっ、わたしもフェイと【リンク】したと思ったらあなたが目の前に………


「「……。」」



あー…でも、やっぱりフェイとリンクしていると安心する……

それはフェイも同じなのかな?

落ち着いた雰囲気のフェイは、改めてわたしを膝に乗せて後ろから抱きしめてくれた…………



「もしかしたら、アルカが精霊になった事と関係があるのかもね。

魔力が上がったから、【リンク】の可能範囲が増えて、更に転移まで可能になったのかもしれない。」


「えへへ…だったら、嬉しいなぁ………♪」



………それから、フェイは躊躇(ためら)うようにわたしを膝から下ろして立たせた。



「………っと、ごめんねアルカ。

僕はまだ仕事中だからさ……


「…ねぇ、わたしに手伝える事って、ない……?」


「うーん……残念ながら無いんじゃないかなぁ……アルカって、今までこうゆう事に関わった事、無いでしょ?」


「……うっ。まぁ、そうだけど…でもっ!フェイと一緒にいたいもんっ!…だから………お仕事、教えてくれない……?」


「っ……!」

(あぁ!もう本当にアルカは可愛いなぁぁぁぁ!?)

「あ、あぁ。

でも、アルカには、アルカにしか出来ない事もあるんだよ?」


「例えば……?」


「こうして、僕のそばに居てくれる事、さ。

キミが居てくれるだけで、僕は頑張れるんだ。」



うわ……フェイってばまたそんな嬉し恥ずかしい事を……………

だけど………



「ごめんフェイ。

その言葉は嬉しいけど、それじゃあダメなの……


「うーん……でも、僕の仕事はこの世界の管理だ。

一朝一夕で出来る事じゃないし、四天王の皆も居てくれる。

そりゃあ僕だってキミと一緒に居たいけどね。」


「うぅ〜……でも、わたしはフェイのお嫁さんだよ?王妃なんだよ??

何もしないなんて、そんなの………


「……変に気負わなくて良いんだよ、アルカ。

視察の時は連れていくし、ヒトには得手不得手がある。

キミに任せられるとしたら……そうだね、家事が得意だから、ノエルと共に給仕でもしてみるかい?

それか、元勇者で剣は得意だろうし、ユーキと共に近衛騎士をする?

今は精霊で魔法も得意だろうし、サフィーアと共に魔術師団をしてみるのもいいかもしれない。

ミツカの様にマナを調える巫女をしても、精霊になった今のキミならやり遂げられるだろう。

とは言え、いずれも王妃の仕事、では無いけれどね。」



確かに、元勇者で今は精霊であるわたしなら、四天王の皆のお手伝いの方が確実に役に立てる……けど、わたしはフェイの手伝いがしたいんだ………



「うぅ………なら、フェイ専門の給仕……じゃダメかなぁ……?

それなら、フェイのそばに居れるし、フェイの健康管理も出来るし………?


「……うん。それが妥当かな……それも、王妃の仕事では無いけれどね………?

大丈夫、時が来たらキミには、『次代の魔王を育てる』って言う、大事な仕事ができるのだから。」


「えっ………?」


「おや?知らなかったのかい??

魔王は代々、母親である王妃自らが育てる習わしになっているんだよ。」


「うそっ!?」



今初めて聞いたよそれ………!

って、あれ………?

じゃあ、フェイのご両親は??



「あの、それなら、フェイのお父さんやお母さんは今どこに……?」


「あぁ。あの二人か…………



……?

なんだかフェイが遠い目を………



「二人は僕がある程度成長したら、ユーキとサフィーアに任せて旅に行ってしまったよ。

今もどこかで旅をしているんじゃないかな………


「えー………


「因みに、父は妖狐で母はダークエルフなんだ。

父は…ユーキの姉だよ。」


「………え?

でもそのわりには褐色じゃないし狐耳も無いよね?耳は確かに尖ってるけど。

と言うか、えっ??お父さんが、ユーキさんのお姉さんって事は………女性!?」


「ああ、だから僕は二人の魔力で生まれたらしいよ。

魔族の子作りは女性同士なら魔力で可能だからね。」



と言うか、フェイの周りってお狐様多いね!?



「あれ?でも、()()()()()()?」


「うん、男性同士は無…理………

ってまさか、サフィーアの奴………!」


「あー……うん。

そう言えばサフィーアさんもユーキさんも、()()()()()()()()()()()()()()とは言ったけど、逆は無理だとは言ってなかったかも…………


「思い返せばミツカやノエルもやたらとアルカに精霊剣を集める事を勧めていたような………


「って、もしかしてわたしが女の子になったのって…………!」


「「………。」」



わたしとフェイはしばらく呆然と見つめあった、けれど、同時に良い笑顔を向けた。



「「とりあえず四天王の皆には感謝しないとね。」」




→→視点変更→→第三者→→


その日、ユーキ、サフィーア、ノエル、ミツカはアルカとフェイから感謝の気持ちとして魔界の至高のスイーツであるマナケーキをご馳走されたとかされてないとか。

四天王達は突然のご馳走に若干困惑しながらも、せっかくだからアルカとフェイも、と皆でマナケーキを楽しんだ。









アルカ「この【マナケーキ】ってすっごく美味しいね?」


フェイ「まぁ、マナは僕達魔族にとってはご馳走だし、なによりこの世界に生きるモノは総じてマナが必須だからね。」


ノエル「因みにこのケーキを作れるのは〜お姉ちゃん達精霊だけらしいよぉ〜?」


サフィーア「当然あたしも作れるぜ〜♪」


ユーキ「アルカも練習すれば作れる様になるぞ。」


ミツカ「いつかアルカちゃんのマナケーキも食べたいねぇ〜♪」


アルカ「そうなの?なら、わたし頑張るねっ♪」


フェイ&四天王(可愛い…………)


フェイ「楽しみにしてるよ、アルカ。」(頭を撫でる)


アルカ「うんっ♪」

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