9 息の根止める大作戦
9 息の根止める大作戦
先日の地球防衛は妨害したけど、我が家に地球防衛の最前線の戦士がいたとは侮れない。
早急に何とかしなければ。
パパさん、出張から帰ってきた。
怒ってる・・・?
いや、怒ってなさそうだ。
「まったくダグラスは。旅行鞄に入り込むなんて、甘えんぼさんだな」
と、頭をポンポンされただけだった。
よし。作戦決行だ。
夜。それは猫の時間。
家族はぐっすりと寝静まっている。
よしよし。
俺様、こっそりパパさんの部屋に忍び寄る。
うむ、誰も気づいていない。パパさんぐっすり眠っている。
よし、今だ!
顔の上にぺったり寝る作戦、発動。
「ムニュー」
ふふふ、寝ながらゆっくり息の根を止める。
刺客のようなこの行動を、まさか俺様が取るとは思うまい。
悪く思わないでくれ。これも、俺様の職務の一つなのだ。
「ん? なんだ、真っ暗だぞ」
しまった。目が覚めてしまったか。
しかし続行。
ぎゅむー。
パパさん、手を伸ばして俺様の毛皮をさぐる。
「なあんだ、ダグラスか。やっぱり甘えんぼだな。甘えんぼの猫ほど顔の近くに寝たがると言うけどほんとだな、かわいいかわいい、ほら、毛布にお入り」
いや、違うし。
俺様、おっさんの毛布なんかに入りたくないし。
しかも、出腹に押しつぶされる。やめてくれー!
うう、しかし、あったかい。
このあったかさ、思考が朦朧としてくる。
ネムネムネム・・・。
うにゃ。
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