6 スパイの末路は悲惨なのだ
6 スパイの末路は悲惨なのだ
スパイ。
あくまで敵の目を欺き通し、冷徹に味方に情報を流し続ける。
地球ではスパイといえば、かっこいいと思われているフシがあるが、本当のスパイはかっこよくなどないのだ。背は高すぎても低すぎてもいけない。女にもてまくるなどありえない。華々しい活躍など決してしてはいけない。
本物のスパイは目立たず遅れず逆らわず。
そして、おまえ。
完璧に隠れたつもりだろうが、俺様の目はごまかせない。
棚の上にたたずんで、うっすらと埃をかぶったその姿は、まさにベテランスパイそのもの。
俺様に見つかったのが運の尽きだったな。
いくらかわいいクマのふりをしたって、わかる奴にはわかるのだ。
えいっ! ジャンプして棚から落とし、まずは軽いジャブから。
ガブガブ。バシバシ。
うむ、まだ口を割らないつもりか。
それならば、こちらも本気出す。
猫パンチ猫パンチ猫パンチ猫パンチ!
猫キック猫キック猫キック猫キック!
はあはあ。
意外としぶといな、おまえ。
スパイとしてなかなか見所、あるじゃねえか。
怪我をしたって血を流さないで、フワフワの雲みたいなやつをはみ出させるなんて、なかなか高等技術じゃないか。
どうだ、NEKO星に忠義を尽くす気はないか。
場合によっては好待遇で採用してもらうよう、俺様が交渉してやるぜ?
「あっ、ダグラス! なにやってるの!」
しまった、邪魔が入ったか。
「もーっ! ひどい! ダグラス。死んだおばあちゃんにもらった大事なテディちゃんがーっ!」
え? ・・・いや、そいつ、スパイなんだってば。騙されるな、美奈。
「許せない許せない。もう、今日はご飯抜き!」
え? だからスパイだよ?
悪いのあいつだよ?
なんで、俺様ご飯抜き?
「ミウー」
悲惨なのは俺様の末路だった・・・。
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