5 秘密通信基地 作成
5 秘密通信基地、作成
侵略の第一歩といえば、通信基地だ。
俺様、通信機にぴったりの場所を見つけた。
なにしろ周り全部が金属で囲まれているため、大変電波の受信状況がよい。底のところがパラボラのように丸くなっているところもよい。
しかも、こういう狭くて丸いとこ、妙に落ち着くにゃー。
むにゅむにゅ。
ああ、いかん。くつろぎすぎてつい、うたた寝を。
ばさばさ、と上からなんか布がたくさん降ってきた。
うっ、なんだこれは。俺様のお布団にしては臭すぎる。
バタン、と上の蓋が閉められた。
じゃーっと水がどこからともなく侵入し始めた。
なんだこれは!
しまった! 謀られたか!
助けてくれ! 溺れ死ぬ。
「ニャーッ! ニャーッ!」
「あっ、ママ待って、止めて! ダグラスが中に!」
ピー、と電子音がして、水の流れが止まった。
ふう、命拾いした。娘よ、今回ばかりは恩にきる。
「危なかったわねえ。だめよ、洗濯機なんかに入っちゃ。お馬鹿ちゃんでちゅねー」
前言撤回。許せん。俺様、馬鹿じゃねえ。
しかもお馬鹿ちゃんってなんだよ? 赤ちゃんか。
俺様、最強戦士なんだっての、だから。
「ほんとね。もうちょっとで、ぐるぐる回ってピッカピカになるとこだったわね」
おい、ママさん! 笑い事じゃないだろ、その前に死ぬわ!
猫をなんだと思ってる!
俺様、そのまま連れて行かれて、変な機械でブオーと、風を当てられた。なんだ、このシロッコのような気持ち悪い温風は。
あちあち。
やめてくれー、俺様ふかふかになっちゃうよー。
「あら、美奈、ドライヤーかけてるの? 過保護ねえ」
「だって、見て、ダグラスったら、ふわふわ。ぬいぐるみみたい。かわいー」
くー、触りまくるなー! 俺様、ぬいぐるみじゃねえ!
だから、最強戦士だっつーの! おい!
「くしゅくしゅー」
――――――――――――――――
読んでくださってありがとうございます。