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地球侵略なら、やっぱり猫だろう  作者: 猫洞 文月
2/12

2 待てこら、敵前逃亡か

 「見てー、うちの前にうろうろしてたの。かわいいでしょ?」 


 俺様、ニンゲンの家庭に潜入することにあっさり成功した。

 やはり、子猫を選んで正解だった。


 「捨て猫かい? 病気なんかは大丈夫なのかね」


 少し年寄りのような声がする。これがニンゲンの年寄りのオス、そして俺様を家に連れ込んだのは若いメスの個体か。


 「結構きれいよ、おじいちゃん。でも、念のため明日獣医さんにつれてって健康診断してもらうね。うちで飼おうよ。名前、何にしようかなー」

 

 おじいちゃんと呼ばれた個体は俺様を膝にのせて両方のほっぺをぐにゅっと持ち上げた。


 いてて、やめろ。


 「フーッ!」


 俺様が怒ってるってのに笑いやがる。なんだこいつ。


 「おお、怒っとる、怒っとる。なかなか元気な子猫だな。この目の回りのブチがサングラスみたいだな。マッカーサー元帥を思い出すよ。ダグラスって名前はどうなんだ」

「ええー、マッカーサー元帥? やめてよ。かわいくなーい」


 ダグラスか。ふむ、一時期、この国を支配下に置いた人物だな。なかなかよい響きだ。

 地球侵略の第一歩としてふさわしい名前ではないか。


 ゴロゴロ。


 「おお、喜んどるな、ダグラス。気に入ったみたいじゃないか。ダグラスにしよう」

「もー、しょうがないなあ。なんでそんな名前、気に入ったのかしらね。まあ、いいわ。ミルクあげるね、ダグラス」


 メスの個体は部屋を出ていった。


 俺様、あちこち観察する。


 うむ、こんなところに、なにか毛むくじゃらのものが。


 どこかで見た。

 そうだ、ペットの写真だ。


 これは尻尾というものか。調査しなければ。


 こらまて逃げるな。敵前逃亡か。

 逃げるということは俺様に知られたくない何かを隠しているのだな。待てこのーっ。


 「ダグラス?」


 メスの個体がミルクとやらを持って戻ってきた。


 「やーん! ダグラスったら自分の尻尾追いかけてる。子猫って一回はやるのよねえ」


 こら待て。

 待てと言うのがわからんのか。


 「フーッ!」


 ずるっ、ぺたん。


 「あっ、見て、おじいちゃん。ダグラスったら、こけてる。もーやだ、かわいいっ!」


―――――――――――――――――


読んでくださってありがとうございます。


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