12 最終兵器 肉球
12 最終兵器 肉球
「おじゃましまーす」
なにやら、美奈が友達を連れてきたようだ。
妙齢の女子はみんな、だいたい猫が好き。
しかも美奈の友達で家まで来るとなると、これは猫好き以外の何ものでもないだろう。
隠れておくに越したことはない。
最強戦士は余計なトラブルは避けるのだ。
来るべき大切な戦いのために体力を温存・・・。
「あっ、やっと見つけた、ダグラス。こんなとこに隠れてたんだー」
フニュッ。
あっさり捕まってしまった。
うーん、隠れ場所も、だんだんバレてきている。
「ほんと、かわいいねー。触っていい?」
「うん。でも、結構やんちゃだから気をつけてね。引っ掻かれないように」
「大丈夫。こっち引っ越す前、猫はいっぱい飼ってたから」
くしゅくしゅ。
むにゅむにゅ。
うう、やめろ。俺様、愛玩動物ではないのだ。
「肉球ー」
「そー、猫といえば、なんたって肉球だよねー」
ぷにぷに。
「爪、出てきた。かわいー」
あっ、やめろ!
そこだけは・・・。
それは最終兵器なのだ!
肉球という組織の中に最終機密が隠されていたのに。
よもや、こんな形でスイッチを押されるとは。
やばいぞやばいぞやばいぞ。
地球が消滅する。
その頃、NEKO星では、けたたましくブザー音が鳴り響いていた。
「非常事態発生。
天の川銀河、太陽系第三惑星、地球、汚染レベル9999。
このまま全宇宙に汚染が広がる危険あり。
ただちに完全破壊せよ。
繰り返し、警告する。
汚染レベル9999・・・」
「汚染レベル9999とは・・・。キャトル、かわいそうなことをした。しかし、おまえは名誉ある殉職者として称えられる。再びNEKO星に転生し、新たな戦士としての命を与えよう」
今頃はNEKO星からの指令で、もう地球に向けて攻撃が行われているはずだ。もちろん、NEKO星は地球から三万光年と遠いので、恐らく、近くの火星基地辺りから発射されるのだろう。
地球の原子全体をクォークレベルまで破壊してしまう破壊エネルギーが。
地球人にはまだ利用されていない宇宙の素粒子エネルギーを使っているので、恐らくあと三日ほどであろう。
さらば、地球と、ニンゲンと美奈の家族よ。
短い間であったが、楽しかった。
そして、俺様には殉職者として再生の権利が与えられる。
次の星の征服が新たな任務として与えられるのだろう。
次は何に生まれ変わるとするか
今度こそ、必ず成功させてみせる。
ひとつの星を征服できるような最強の生物。
それは・・・。
うーん、やっぱり猫かにゃー。
( 完 )
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最後まで読んでくださってありがとうございます。
最終回です。バッドエンド、あまり気にしないでください。まだ破壊されてませんから。
ああ、猫飼いたい……。