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彼氏なんか要らない。  作者: 薫姫
7/7

彼氏なんか要らないっ!はある意味迷言な最終回。

今回で完結となります。

それでは「ラストスパート」お読みくださいませ・・・。

病室の部屋の中・・・。


実梨は泣きながら陽太の頬を撫でて泣いていた。


どうも「不良の暴行事件」として有名になっていたらしく。

陽太を殴ったり蹴ったりして怪我を負わせた不良グループが

一斉に逮捕・・・というか、まだそれでも未成年の為、

補導されたらしい・・・。


一連の流れで流石に実梨も泣きじゃくっていて、

「陽ちゃんが生きててよかった・・・。

死ななくてよかったほんとによかったぁぁぁ・・・。」


その様子を穏やかな気持ちで見ていた陽太は

「相変わらずのお人よしの大馬鹿・・・。

俺みたいな悪人がそう簡単に死ぬわけねえよ・・・。」

相変わらずの口調でいつもの様に好きな子に対して

露骨なまでに毒づいていた・・・。


「馬鹿で悪かったなあああっ!もうあんたなんか

あんたなんかっ!ほんとに死ななくてよかったぁ~!!」


何を言ってるのか実梨もわからずにいた。


「なあ・・・。実梨・・・。もう俺の事忘れてくれないかな?」

突然口に出した言葉・・・。

それは陽太の本心からくるものだった・・・。


「俺なんかと付き合ったりしたら駄目だ・・・。」


横向いて窓の外を眺めながらそう実梨に対して言い放つ。


呆然とする実梨・・・。


「お前が不幸になる気がして怖いんだよ・・・。

お前が幸せにいつも笑っていられるようなそんな誰か

他の男の方に行けよ・・・。もう俺に構うなよ・・・!」


自分の独占欲や裏腹な気持ちでいつも嫌味を言ってしまうのが

相当嫌だったから・・・。突き放す言葉を紡いだ・・・。


「他って何よっ!他なんていないじゃんっ!!

陽ちゃんしかいないじゃんっ!!他なんか考えられないっ!!」


実梨は駄々をこねている子供の様に泣きながら怒っていた。


「他に彼氏作ればいいだろっ!!」

なんとなく、自分しかいないって言ってくれる彼女の言葉が

嬉しかったのか陽太は少し気持ちが揺れる・・・。


「彼氏なんか要らないっ!!彼氏なんかもう要らないっ!

欲しくもなんともないっ!!」


思わずそう叫んでいた・・・。


陽太は「そこまでの気持ちにさせるほど」

彼女が「彼氏は要らない」宣言してしまうのだと勘違いしていた。

「自分がそこまで追い込むほど傷つけてしまった」。

そんな気持ちでいっぱいでやるせなかった・・・。


「そっか。ごめんな・・・。」

涙を浮かべそうになるがぐっと堪えた・・・。


次の瞬間・・・。


「彼氏なんか要らないのっ!!「陽ちゃんしか」要らないのっ!!」


泣きながらそう叫ぶ実梨の姿と言葉にとことん驚いてしまう陽太。


「・・・なんだよそれ・・・。」


陽太は驚きの余り言葉を失う程だった・・・。


「陽ちゃんしか要らないっ!!陽ちゃんと彼氏になるとか

そんなじゃなくてっ!なんて言ったらいいのかわっかんないけどっ!

将来的に結婚して「家族」になりたいのっ!!

だから・・・。他の彼氏なんか要らないのっ!!・・・・・。」


びっくりして言葉も出ないといったところだが・・・。


「お前っ!俺、怪我人なんだから腕をそんなに掴むなっ!

いてーっ!!ほんとに痛いからやめてくれっ。あはははっ!!」


・・・何笑ってんのこの男は・・・。私がどれだけの想いで

今までこんなに必死になってたのかわかってないの???


「痛いくせに笑うとかわけわからんわっ!この馬鹿男っ!!」

腹が立ったので本気で顔をつねってやった。


「ちょー!それほんとイタイからっ!やめてっ!」

それでも笑いが止まらない陽太・・・。


「なにがおかしいのっ・・・?!」

ムスッとして尋ねてみる・・・。


「だって!お前っ!!すげえっ!!告白通り越して

逆にプロポーズしてくるとかっ!!あはははははっ!!

どんだけ肉食女子なんだよっ!!あはははははっ!!!」


思わず瞬時に赤面したがこう続けた・・・。

「肉食ってだけじゃないよっ?あんたはレバーとか

そういう変な珍味みたいなお肉ですよっ!!

まあ別にっ?!珍味みたいでも血となり骨となりな感じに

栄養分詰まってる大事な栄養素としてのお肉ですぅっ!」と

変な返しをしてしまう・・・。


「へえ?ははっ!俺って大事な栄養素なんだ~?!」

またしてもからかう様に皮肉を言う陽太・・・。


「人生で生きていく上で必要な「栄養素」みたいなもんじゃん!

私の中ではあんたは「腐ったミカンの皮を被ってただけの

とんだ珍味なお肉」ですよ~っ!!へーんだっ!!」


はたと気づく・・・。

「あ、じゃあ、陽ちゃんって草食系ならぬ、

柑橘系男子だったってことか???ぶっ!」と

笑いが込み上げてくる実梨・・・。


「柑橘系柑橘系言うけど・・・なんでいつもお前の中の

俺はミカンとかデコポンなのか・・・・・・。」


その場に居合わせていたありさも笑いだす・・・。


「いやもうあんたら・・・。状況こんななのによく

2人揃って笑い話になってんのよ?(笑)」


他の人は気を使っていたのか病室にはありさ含め

当人ら3人しかいなかった・・・。


「ほんと恥ずかしいあんたら。お似合いの夫婦にでも

なればいいじゃんかよ・・・。」

からかう気持ちもないありさは寧ろ笑いが込み上げてきていた。


「もうほんっと!バカみたいな2人だなもうっ!」


ありさは陽太にすっと近づくと・・・。

「ごめん・・・。私相当あんたに酷い仕打ちしたよね・・・。

暴力は振るうわ、チカン扱いして恥かかせるわ・・・。」

どうやら、ありさは自分に責任を感じていたらしい・・・。


「あたしがあんときにあんなことしなきゃ・・・。

陽太くんがこんな大怪我負わなくて済んだかもなのに・・・。

ほんとに謝りたかった・・・。ごめん・・・。ごめん・・・!!」

泣き出すありさに2人とも困惑する。


「笹ちゃんは悪くないじゃんっ!!私らの痴話げんかに

巻き込まれただけだよこんなんっ!!だから、泣かないでっ!!」

実梨は涙目で親友に慰めの言葉をかける・・・。


「ばかー。あんたまで泣くな~!!うわーんっ!!」

ますます泣き出してしまうありさ・・・。


「わたしら一生親友だからねぇええっ!!」と2人で抱き合って

号泣する始末・・・。


それを見ていた陽太は怪我の痛みも忘れて

「俺が実梨と抱き合って号泣するとこだろここは。」と

言い放っていた・・・。半ば呆れていたがみんな笑ったり

泣いたりで大忙しな感じになっていた・・・。


「じゃあ、あれだな!俺がどっかの国の人間になって

一夫多妻制の国民になれたら2人とも俺と結婚して

3人で抱き合ってそれから・・・ムフフ・・・。」と

冗談にしては悪質すぎる冗談を言い出すので、


「お前は馬鹿かっ!!」と親友2人が揃ってツッコんだ。


「・・・本気にするなよ・・・女ってこええな・・・。」



それから5年後・・・。

彼氏彼女ではない2人になっていた。

勿論別れたんじゃない・・・。

結婚して晴れて夫婦になっていたのである・・・。


『彼氏なんか要らないのっ!』は彼女の名言となり、

正しくは『貴方しか要らないのっ!』と訂正されました。





タイトル。「彼氏なんか要らないっ!」がラストに上手く被せられたら

いいのにな~と話を書いていくうちに書き手の気持ちが膨れ上がり、

この様な「実に陳腐で実にありきたりな・・・でも最後は笑ってハッピーエンド」

になれてよかったです・・・。

最初は実はもっと悲恋の悲しい物語のつもりで書いていたのですが、

段々「これは悲恋にしたら勿体ない2人組」になったので、

人生のパートナーとして「貴方しか要らない」というオチ(笑)、

というか終わり方にしました・・・。

綺麗な感情のままで締めくくれて良かったです・・・。

初めて物語の「長編」を書いて最後まで完結させることができて

とても嬉しく思いました・・・。


では。また次回作として近々恋愛ストーリーを自分なりに

描いていけたらいいなと思っていますので、拝読していただけたら

作者冥利に尽きるというものですね・・・。

最後までお読みくださった方に大感謝です。


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