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彼氏なんか要らない。  作者: 薫姫
4/7

友情って意外と素晴らしいもの。

今回のお話も余りギャグがないですが、シリアス展開がお好きな方は

なんとなくよくありそうな「お話」ですが読み進めてくださいませ。

寒いのでリビングのヒーターの前に陣取って

温風が出てくる場所の前にしゃがみこんでいた。


「・・・なんか食べたい。」

ふと呟き、冷蔵庫の中を見回すとちらほら甘そうなお菓子が

あったのでどれにしようか迷っていた。

おもむろに野菜室を開けて愕然とする・・・。


「げ。ミカン・・・。」

固まってしまったが、気を取り直して

「違うもんにしよ。今はミカンは見たくない。」

また冷蔵庫を開け直して適当に手に取った。


「ヒーターの前で座って食べるなめらかプリンの味は

抜群ですなぁ・・・。」

つい数時間前まで吐き気と息苦しさでいっぱいだったが、

そこは流石というか単純思考の持ち主の主人公。

元気なもんである。・・・まあ、空元気なんだろうが。


「甘い・・・甘くてふわふわで・・・。う。苦い。

このカラメルソース・・・。なんかあいつみたいで嫌だな。

甘いと見せかけて・・・苦々しいから・・・。」

毒気のある言葉を吐いてしまう。


「半分残そうかな・・・。でも勿体ないし食べちゃお。」

残りのプリンをかきこむ様に飲み干した。


「プリンは飲み物です。みたいなねwww」

笑顔だがどこかひきつっている。


はあ・・・。とセンチメンタルな気持ちになり、

溜め息をこぼす・・・。

コトンとプリンの空になった容器を床に置き。

気持ちの整理をしようとしていたら・・・。


右横から足蹴りにされた。

「俺のプリン勝手に食うなよな!!このデブス!」

とんでもない暴言を吐くのは実梨の弟。


「~~~っ!!あんたねぇえっ!!誰がデブスよ!

こんなに可憐な美少女に向かって!!」


「はんっ!どこが「可憐な美少女」だよ。ちゃんちゃら

可笑しいわっ!お前なんか「関取」じゃ「相撲取り」で

十分じゃっ!人の楽しみにしておいたとろけるプリンを

勝手に食い散らかしやがって!!」

余程プリンを取られたのが悔しかったらしい。

この姉にしてこの弟ありである。


「・・・?おい。お前・・・もしかして・・・。

さっきまで泣いてた・・・?」

弟の小6の「信弥しんや」が問いかけた。


「なんでもないっ!関係ないでしょ!」

誤魔化そうとするが目ざとい信弥はまだ聞いてくる。


「お前もしかして・・・好きな男にフラれたとか?ww

目の周り真っ赤だけど・・・。」

最初は茶化していた弟だが姉の反応がおかしいので

段々真顔になってくる・・・。


「大丈夫よ。私は強い女だからねっ!」

そう言いながらその場を立ち去る。


姉の様子が変なので信弥は「蹴って悪かったかな?」と

やや反省気味になってしまった。


部屋に戻ろうとした時にインターホンが鳴る。

弟の信弥が応対していた。

どうも来客は実梨の友人の「ありさ」だった。


「ごめんねっ!信弥くんっ!!お姉ちゃんどこ?!」

慌てた様子で実梨の居場所を弟に聞いてきた。


信弥もたじろぎつつも冷静に、「部屋だけど・・・。」と

答えた。


「ありがとうねっ!今度プリン奢ったげるからねっ!」


バタバタと実梨の部屋に上がり込むありさ。


「くらりんっ!」


ギョッとしてありさを見やる実梨。

「え。どした・・・の?笹ちゃん・・・。」


「どしたのじゃないわよっ!!あんたっ!何があったの?!

いきなり「あの男と別れて」とかびっくりしたじゃんっ!!

泣いてたの・・・???目が赤いし腫れてるよ・・・?」


またしても涙がつたう。


「笹・・・ちゃ・・・」


一瞬で何かを察知したありさはこう尋ねた。


「まさか・・・。陽太と関係ある話なの・・・?」


嗚咽を漏らす実梨の姿を見てありさは崩れ落ちるように

床に膝をついて泣いている様子に驚き、抱きしめた。


「なんかあったんだね?!わかった。泣かなくていい!

思いっきり私の腕の中で泣け!!」


「矛盾してるよぉ~・・・もう・・・友達関係駄目に

なるかと思ったぁあ・・・。うっ・・・うっ・・・。」


泣きじゃくる親友の姿に思わずもらい泣きするありさ。


「ばあーか!友情より男とる女じゃないよっ!私はね。

ウザいとこあるって自覚してるしこれでも・・・。

ただ、友達が私のせいで泣いてるのなんて見たくないし

耐えられないよっ!!ばあーかっ!!」


2人とも泣きながら抱き合った。


「そっか・・・。あいつ・・・。くらりんの初恋の

相手だったんか・・・。そんなの知ってたら私こんなに

くらりんのこと苦しめなかったのに・・・ごめんね・・・?」

鼻水をティッシュでかみながら謝るありさ。


「笹ちゃん・・・。ほんとにごめんね・・・。」


「ばか!お前が謝る必要があるか!悪いのは私もだけど

「あいつ」でしょ?!ほんと、許せないね。私でもビンタするわ。」

段々話を聞いていくうちに「大好きな彼氏」だった筈の「陽太」に

対して怒りの感情が湧いてきたようだ。

思わず腹が立ったのか鼻をかんだティッシュをぐるぐる巻きにして

ポイっと捨ててしまう始末・・・。(他人に家だというのに・・・)


「大丈夫!私はあんたの味方だから!」

そう言いながら目線を横に向けて一瞬考えて、

「私・・・。あいつのことこっぴどくフッてやるから!!」


顔を上げてありさを見つめる実梨・・・。

「え・・・?でも・・・いいの?あんなに大好きって

言ってたのに・・・。私のせいで・・・。」


パアンッと両手で顔を掴むように叩く。

びっくりして無表情になる実梨。

ありさはその手をするっと下ろしてこう呟いた。


「あんたのこと傷つけたあいつに「倍返し」してやりたい。」


そう言うと立ち上がり、帰っていこうとする。

「笹ちゃんっ?!」


親指をぐっと立てたポーズで後ろ向きに語りだす。


「あたしはそこまで落ちぶれてない!あんたの仇は

あたしがとったげるよ!あたしの分もあんたの分も

ケリつけてくるから・・・!だから・・・。」

振り返り・・・。


「もう泣くな!親友っ!!」と涙目で笑みを浮かべた。


去っていく「本当の親友」の姿を見て実梨は涙をこぼしながら

こちらも笑みを浮かべて「ありがと・・・。親友・・・。」と

返答した。


友情は決裂するどころかより深まった瞬間だった・・・。


ありさは帰り道に考え事をしていた。

「どうしてくれよう。あの男め・・・。」

完全に目が座っていた。怒りが頂点に達したのであろう。


「腐ったミカンか・・・。」苦々しく、弟の信弥に貰った

お土産の「ミカン」を手に持ちながらやるせない気持ちになっていた。

「お前に罪はないよ★ミカンめ!」と言いながら貰い物のミカンを

手で撫でてカバンに詰め込んだ。


続。


今回は「恋」よりも「友情」だとか「家族の愛」だとか

そういう「暖かい気持ち」を書きたくなってこうなりました。

次回に親友の「ありさ」がどういう行動に出るか・・・。

作者もよくお話を練っておきます。

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