腐ってもミカン(鯛ではない)、な初恋相手。
頭の中で浮かんだ台詞や、情景などをつらつらと
書き連ねていたらいつの間にかこうなってしまいました。
桜なんか大嫌い・・・!
心底そう思ってしまう・・・。
今が冬で良かった。この訳の分からない
衝動的な悲しい涙が凍り付いて固まってしまえばいいのに。
「嘘つき嘘つき嘘つきっ!!
馬鹿じゃないのあの天使男子はっ!!
私に対して言った「他の男の子のものに
ならないでね・・・。」の涙は何だったのよっ!」
まあ。所詮はそんな子供の頃の初恋(と呼べるのかも謎)の
男の子の台詞を鵜吞みにしていつまでも引きずってた私も私だけど。
別に特に好きでもなんでもない恋愛だらけの少女漫画みたいで
なんとなく嫌な気持ちでいっぱいになった・・・。
「まさかの親友との三角関係ってか・・・。」
うな垂れた体を起こして机の横のフックに引っ掛けていた
鞄をババッと取り去り、当たり前の様に帰っていく。
(つまりサボる気でいっぱいだった。)
帰り道にどこかに寄りたい気持ちになり、
寒い公園のベンチにストンと座るが・・・。
「うー!さみぃーっ!!凍えるっ!!お尻が凍ってしまうっ!」と
すぐ立ち上がる。バカみたいな女だな私は。
寒空の下で心も体も凍えそうな気持ちでいたら
近くにヤンキーまがいの少年たちに取り囲まれている
少年の姿が見えた・・・。
「うーわ。こわっ!やっぱりサボってこんなとこいたら
危なっかしいなっ!帰ろう・・・。」
ふと目を見やると・・・。
天使の様な美少年の姿が・・・。
「・・・・・・・。え。陽ちゃんじゃん・・・。
何囲まれてるの・・・。どこまで鈍くさいのあの子・・・。」と
ひきつった顔で固まってしまった・・・。
「お前よー。こないだ言ってた彼女とやら早く俺らに
紹介しろや~!そこそこ可愛いんだろ?!」
・・・え・・・?
思わず固まりつつ物陰に慌てて隠れて覗いてみた。
「あぁあ?別にかわいかねーよ、あんなブス!
お前らの好みはもっとこうモデル系みたいな
アイドル系みたいな清楚っぽい如何にもな女だろうが?
あいつなんか芋みたいなブスだよ。」
天使の様な悪魔の笑顔って歌ありましたね~そうですね~。と
若干変なテンションで微妙に古い歌の歌詞を思い出していた。
笑顔だったがどこか暗く、澱んだ目になっていて
「腐ったミカンじゃねえかー!あの男ー!」と
怒りの感情が湧いてきた・・・。
いくらウザくても中学からの親友のことを
「ブス」だの「芋」だの言われている事実に
はらわたが煮えくり返る思いでいっぱいになる。
てかあいつ・・・。
何でヤンキーとつるんでんだ・・・???
と、またしても青ざめた・・・。
「え。じゃああいつ。ヤンキー仲間???!!」
驚嘆していた私はその場から離れられなかった。
一瞬私の方に目が向いた気がしたけど
ひるまずまだそこに隠れていた。
「おめーら。なんでもいいからこれでジュースでも
酒でもなんでもいいから買って飲めよ。ほら。」と言って
「腐ったミカン」(つまりは初恋の陽ちゃん)が
1万円札をびらっと数枚その場にばら撒いていた。
「おー!いつもわりぃーな。彼女のことはこれで
チャラにしとくよ!じゃあな。」とお札を拾って
走ってその場を後にするヤンキー仲間・・・。
その光景にポカーンとなっていた私に向かって
「おーい!丸見えなんですけどー。それで隠れたつもり
なのかな~?」
・・・え・・・?!
ビビる私に更に近づいてきて私の前に立った。
天使なのに天使じゃない悪魔の様な笑みで
私の脳天にかかと落としをくらわせてきた!!
ドカーンッ!
「いっつ~・・・なにすんのよおおおっ!!」
思わずキレて怒鳴りつけてしまった・・・。
冷たい眼差しが少し柔らかくなった「腐ったミカン」。
微笑んでこう言ってきた。
「久しぶり★懐かしいね~、実梨ちゃん。」
思わず驚いて「ふああぃいいいい???!!」て
奇妙な返事をしてしまう。
「何年振りかな~?懐かしいっ!あはははっ!!
お前相変わらずの間抜け面のちょいデブ女だな~。」と
腹抱えて笑いだす始末・・・。
一瞬で「恋が冷めた瞬間」だった・・・。
「あんたねぇっ!いい加減にしないと本気で怒るよっ?!」と
怒鳴りつけた。
一瞬目が曇ったがまた笑顔を浮かべて、
「何の話?」と聞いてきた・・・。
「あんたっ!私の友達と付き合ってた癖に
ブスとか芋とかそれはないんじゃないのっ?!!」
ピンときたらしい。
「ああ。ありさちゃんの事?」笑みが消えて
真顔になる陽ちゃん・・・。
「あーあれ、嘘、嘘。ああでも言わないと
ありさちゃん、あいつらの「餌食」にされるじゃん。
一応俺だって腐っててもそこまで最低野郎じゃないし。
ありさちゃん俺にマジ惚れしてるから流石にそんなん
かわいそすぎるでしょー?」
色々と衝撃的な言葉が飛び交い、数秒ほど沈黙してしまう。
「え?!じゃああれ・・・。」
「そ、庇ったんだよ。俺一応紳士だからなっ!」
思わず涙が目からこぼれて頬をつたった・・・。
陽ちゃんは全てわかってると言わんばかりに
微笑みながら私の頭をぽんぽんと撫でてくれた・・・。
「嘘つきだー。こいつとんだ嘘つき野郎だー!!
今も昔も変わらず嘘つきぃいいいい!!」
泣きながら言葉をぶつける。
「うん。俺、結構昔からとんだ捻くれ野郎だよ?
実梨ちゃんはバカだからすぐほだされて流されて
騙されるから・・・。ほんとに「ぶわあーか!」」
「うわああああああああんっ!!」涙が止まらない。
何の感情の涙かもわからないけどただ言えること。
やっぱり陽ちゃんは陽ちゃんだったこと。
それと私のことを昔みたいに「実梨ちゃん」と
呼んでくれて嬉しかった・・・。
馬鹿みたいだけど「また逢えて嬉しかった。」
「なんでそんなんなってるのよおおおおっ!
このミカンッ!ミカン野郎っ!!」と泣き喚いた。
「ミカンってなんだよ・・・。まじイミフこの子
相変わらずの馬鹿というか・・・。
純粋なとこ変わってないね・・・。よかった・・・。」
雪がちらほら降ってきた。
何よ何でこんなに上手いタイミングで雪が降る演出なのよ?!
思わず心で毒づいてしまう・・・。
「風邪ひくよ・・・?ほら。立って。」
ふるふると頭を振って断固拒否。
「あーもーイラッとくるこの女・・・。」
段々雪がぼたぼたと降ってきた。
「雪被って雪だるまになってしまえばいいのに・・・!」と
軽く苛立った口調で舌打ちしながら私の腕を掴んで
引っ張った。
強制的に立ち上がらされて顔が近くによる・・・。
澱んでいた筈の彼の目は・・・。
一瞬だけ、ほんの一瞬だけ暖かい光が宿った様になり、
今までに見たことのない最大級の笑顔でくしゃっとなっていた。
「・・・久しぶり。実梨・・・。」
生まれて初めて名前を呼び捨てにされた。
その瞬間に驚いていると掴んだ腕を手繰り寄せて
抱きしめてきた・・・。
初恋の彼に抱きしめられる・・・。
ドラマか漫画のシーンの様に・・・。
しんしんと降る雪の中・・・。
真冬の公園で凍えそうなのに
暖かかった・・・。
「熱で溶けてしまえばいいのに・・・。」
思わず2人同時に「同じ言葉」を吐き出していた・・・。
続。
当初思っていたよりもずっと陳腐でお粗末で、
どこか懐かしい(古い?w)作者もよくわかっていない
状況のカップル2人の再会のお話です。