嘘つき・・・て心が泣いている。
ありふれているような古典的なラブストーリーです。
(ただ登場人物が変わり者の為ところどころギャグも混じります)
春の桜・・・。
桜の季節になるといつも思いだす。
桜が綺麗・・・とか言いたいところだが、
私はその下に落ちてる毛虫が嫌でしょうがなかった。(笑)
小さい頃に大量の毛虫がぶわーって落ちてるのを見て
「ぎゃあああああ!」と叫んじゃった。
そんな時にあの時の男の子はこう言いながら
近づいてくる「大丈夫!慣れたら全然怖くないんだよ?」
私の手を掴んで手のひらにそっと・・・。
毛虫を乗せてきやがったよ・・・!!
「○△□××-ーーーーッ!!」
もう声にならない声で全力で毛虫を投げ捨てて
怒りをあらわにした。
「なんでこんなことすんの?!!」
泣きべそかきながら鬼の形相で問い詰めてしまう。
彼は私の初恋の人だった筈なんだけど・・・。
今考えたらろくでもない初恋相手だな・・・。
ちなみにその時の彼はこう一言。
「そんなに毛虫って怖いかなぁ・・・?
よく見ると虫さんは可愛いのに・・・。」と
しゅんとした面持ちで悪意なく言ってのけた。
ふわふわした天使みたいな見た目の子供で、
ませている訳ではなくただなんとなく落ち着いている。
そんな男の子だった・・・。
私は幼稚園に入る前からの仲良しの男の子だったので
その時は怒りはしたけども・・・。
なんか許しちゃった・・・。
「いいよもう!」
「え、怒ってないの???」
「なんかもういいよ!陽ちゃん悪くないし別に。」
その男の子「陽ちゃん」・・・。
フルネームは「都築陽太」くん。
その時からもうずっと腐れ縁だと思ってた・・・のに。
あれは小学4年生の5月頃だった。
「僕さ。もうすぐ転校するからさ・・・。
もう実梨ちゃんに会えなくなっちゃう・・・。」
幼稚園の頃よりも少しずつ大人びていた陽ちゃんは
その日私にそう告げた・・・。
「え・・・?!」突然告げられた別離の宣告に動揺した。
陽ちゃん苦笑いを浮かべて私に言いたいことでもありそうな
雰囲気だったので・・・。
若干ませてきた思春期に突入するかしないかぐらいの
年頃の女の子だった私は「告白とかされるのかな???」て
別離は辛いけど少し気持ちがフワフワ浮いていた・・・。
私は実はその時よりもずっと前から陽ちゃんのことが好きだった
のかもしれない。でもそんなの一瞬で消えそうな思いになる。
「実梨ちゃん、僕がいなくなっても太ったらだめだよ?
なんかいつも甘そうなお菓子ムシャムシャ食べてるから
いつか糖尿病にでもなるんじゃないかって心配になるよ。」
「・・・・・・・・・・・(絶句)。」
こ・・・この男は・・・。(悲しい気持ちになり固まった)
「ああ、でも大食い大会とかで優勝できるぐらい食べたら
いくらか賞金貰えるかもね。洋画に出てくる外国人ぐらい
太ったら面白いよね。あはははははは!!」
この男・・・。最後の挨拶がそれかいっ!!
メラメラと怒りの感情が湧いてくる・・・が、
最後の余韻に浸りたいのでその時は堪えた。
「フフーン!そんならそれで洋画に出てくるような
せくしー美女になってやるわよ!!言っとくけど
そんなに太らないからね私っ!!グラマーと
呼んでほしいわねっ!!」と不敵な笑みを浮かべてみせた。
それもプライドからくるものなのか勝ち誇った気持ちでいた。
振り返ると彼・・・陽ちゃんは・・・。
うっすらと涙を浮かべた天使の様な作り笑顔で
「セクシー美女になっても・・・。
僕の事忘れないでいてね・・・。他の男の子のものに
ならないでね・・・。太っててもなんでも僕にとっては
実梨ちゃんは実梨ちゃんなんだから・・・ね。」
目が冴える様な感覚が走り、いつもの陽ちゃんじゃない。と
彼の走り去る後姿を鳴り響く自分の鼓動の音にすら動揺して
ただ目で追うしかできなかった・・・。
あれは「彼なりの告白?」だったのかもしれないけど・・・。
私はその記憶を封印してそれから何年も時が過ぎていった。
机にうな垂れていた私・・・。
高校1年生の冬・・・。
ああそういえば自分の名前すら言いそびれて
終わるところだった。
私は「倉本実梨」という名前です。
今からこのままこの寒い教室で眠りにつきます・・・。
とか思いながら本当に寝そうになっていたら・・・。
「おーら!くらりん!!」と平手で頭を弾かれた。
「いったいな~も~。何すんのさー。笹ちゃん・・・。」
笹ちゃんとは中学の頃からの友達の女の子だ。
(ちなみに「くらりん」は「くらもと」を改変した
変なあだ名です・・・。)
「笹ちゃんのせいでテンションが氷点下まっしぐらだよもう。」
ふっと笑いながら笹ちゃん。「笹木ありさ」は
私の髪の毛をくしゃっと掴んだ。
「いつまでもしみったれてんなぁ~?」
最近彼氏ができて浮かれていた笹ちゃんは幸せの押し売りをしてくる。
「いい出会いがあるわよっ!くらりんだってもうそろそろ彼氏とか、
どーよっ?えっ?できないってのか???あははははwwww」
ウザいことを言い出す友達「S」(もう笹ちゃんとはその時だけは
呼ばずに「S」と名付けた。ほんとにイニシャル通り「ドS女」だよ。)
「あっ!今日ね~!!彼と約束あるんだけどお~★
くらりんにはとくべ~つう~にい~・・・。
紹介してあげようか?」
「ああはいはい。要りませんよそんな男の情報なんざ。」
呆れているのか羨ましさからくる嫉妬の感情なのかわからないけど
女特有の嫌な感情で心の半分はいっぱいだった。
「てかさー!もう紹介する前に写メ見せたるよ~!!惚れんなよ~?」
「うっざ、惚れるかよ・・・。どれよ。」
スマホを覗いて一瞬電撃が走った様だった・・・。
天使の様な笑顔で大人びた雰囲気を身に纏ったような男子の姿。
(え・・・・・?え・・・・・?うそ・・・・・。まさかね~っ!)
動揺して涙目になる・・・のが抑えられないでいたら・・・。
「あんね~!名前っ!そういえば言ってなかったっけ?
都築陽太っていう名前でやんす~う♪陽ちゃんって呼んでるのっ!
かーわいいっしょ~?美少年ぶりに惚れるなよぉ~???」
笹ちゃんのハイテンションな一方的なまくし立てが一気に
遠のいていく気がした・・・。
「ごめん・・・。ちょっと私・・・。その人には会いたくない。」
思わず口にして言ってしまった・・・。
「・・・え・・・?」笹ちゃんの笑顔が曇る・・・。
「あ。あははは。そか。うざいよね私。ついなんか・・・。
調子乗っちゃったかな?ごめん!もう忘れて?ね?」
私は俯いて固まってしまっていた・・・。
その場から離れるように去っていく笹ちゃん・・・。
「忘れられないじゃないか・・・。どうしよう。
どうしてよ・・・。こんなん少女漫画の設定みたいじゃん。」
涙が机の上にぽたぽたと何滴か落ちたのすら
見えないぐらいの暗い気持ちになっていた・・・。
続。
少女漫画の様な古典的な恋愛話を書きたくて書きました。
切ないラブストーリー・・・だけでは終わらないかもしれません。
だって時々キャラが暴走するから・・・。
でも一応ラブストーリー目指しております。(笑)