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序章

 その惑星(ほし)は、地球から遠く離れた場所にあった。


 その惑星(ほし)に『人ならざる者たち』がやってきた。


 一つは精霊

 水のウンディーネ

 火のサラマンダー

 風のシルフ

 地のノーム

 そして彼らを束ねる精霊王。


 一つは竜族ドラゴン

 知恵の緑竜

 大地の黒竜

 疾風の白竜

 火炎の赤竜

 雷光の青竜

 そして彼らを束ねる銀竜王。


 一つは妖精

 水や森に住まうエルフ

 洞窟に住まうドワーフ

 羽ある小人フェアリー

 そして彼らを束ねる妖精王。



 そして。

 精霊と、竜族と、妖精を束ねる『幻竜』


 『幻』は『現』であり『源』である。


 全ての創造主といわれる幻竜。

 が、真偽は不明。

 幻竜は語らないから。


 だが。


 幻竜の力なくしては、彼らがこの地へ来れなかったのは事実。


 彼らはみな、幻竜の作り上げた次元トンネルをくぐり抜けてこの惑星(ほし)にやってきたのだ。


 地球を、人とのかかわりを、捨てて。

 自分たちだけの世界を築くために。


 地球より少しだけ小さな惑星(ほし)

 大陸が2つしかない海洋惑星。

 赤と白の、二つの衛星(つき)を持つ惑星(ほし)


 ここで彼らは人がいない世界を謳歌した。





 しかし。


 『人』は宇宙(そら)を越える術を身につけた。


 最初は、無人探査船だった。


 無人探査船はこの惑星(ほし)に降り立つと、惑星(ほし)の状況を地球へ知らせた。


 精霊たちは気にしなかった。


 竜族もしかり。


 嫌な予感に駆られたのは妖精たちだった。


 エルフやドワーフたちは、無人探査船を壊そうとした。


 だが、近づくことすらできなかった。


 探査船全体に、流れる『気』が、接近を阻むと、彼らは言った。


 それは人が『磁気』と呼ぶものであると、物知りが呟いた。





 やがて。

 探査船よりもずっと大きな船がやってきた。


 『移民船』だった。


 乗っていた『植民団』は、無人探査船の周囲に小屋を作った。

 畑を作り、麦を植えた。

 囲いを作り、この惑星(ほし)に元々住んでいた動物たちを飼い馴らし始めた。


 彼らは、この惑星(ほし)を『フリーム』と呼んだ。


 北欧神話に造詣の深い団員の一人が、夜の女神ノートの馬、(フリーム)たてがみ(ファクシ)からそう名付けた。


 到着したその時、周囲一面に霜が降りていたから。



 そんな彼らを。

 人ならざる者たちは、見ているだけだった。


 他の惑星(ほし)に行こうという声もあった。

 地球からこの惑星(ほし)に来た時のように。



 しかし精霊王は首を横に振った。

 今、再び、新たなる地へ旅立つだけの力は無いのだと。


 次元トンネルを作り上げるには大量のエネルギーが必要なのだと。


 そして幻竜さまは今、使い果たされたエネルギーを蓄えるため、長い長い眠りの時に入っておられると。


 かくして。

 人ならざる者たちは、再び影に潜むこととなった。

 地球にいた時と同じように。





 それから。

 500回以上季節が巡りし今もなお。

 幻竜は眠り続けている。

 人ならざる者たちの嘆きの聞こえぬ場所で。

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