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勇者の憂鬱

勇者の憂鬱

作者: Dec18

15歳になった“勇者”は、村の風習により外の世界へ行かなくてはならなくなった!母に見送られ、王様のもとへ行った勇者は、王様の指示のもと、世界に魔物を蔓延らせた“魔物”を倒すことに。そのために、酒場で仲間を探すことになった!

このお話は、勇者が「王様の城」から「酒場」へ行くまでの物語である…。





〜王様の城3F 階段〜


勇者

「(え、もうマジで無理なんだけど。魔王って何?え、ほんと無理だわ。いや、ほんとに。


大体、15になったら村出ないといけないなんて、はじめて聞いたんだけど。知ってたら引越してるわマジ。


大体あの母親もおかしいだろ。何普通に見送ってんだよ。15年育ててきた息子が、村の風習うんたらかんたらで、魔物に殺されるかもしれないんだぞ。何が、「いってらっしゃい…勇者!」だよ。普通止めるべきじゃん。‘町の風習>息子の命’て、どういうことだよ。…あ、だから引越さなかったのか。


やっぱりおかしいと思ったわ。「あなたのお父さんは…死んだのよ。」とか言ってさ。俺知ってんだよ。あんたと村長がデキてたの。親父泣く泣く荷物整理して出て行ってたもん。「俺も連れて行ってよ!」て言ったのに、「お前は母のところにいなくちゃいけない。勇者とはそういうものだ。大体お母さんのとこから出発するんだ。俺は、お前がピンチの時に駆けつけて、感動の再会シーンまで休憩だから。それまでの休憩だから。決して、お母さんに愛想つかされたわけじゃないから。」って置いて行きやがって。どんな親だよマジで。


絶対今頃自由に暮らしてんだろ、あの2人。あの母親なんて、俺がいないから自由に村長とピーピー出来るもんな。


………あ、だからあんなにあっさりしてたのか。)」



〜王様の城2F 階段〜


勇者

「(そもそも、城にこんだけの兵士がいるんだからさ。普通兵士が戦うべきじゃないの?


何のための兵士だよ。市民を守らなきゃ。だから、国はダメなんだよ。税金はそのためじゃないの?いや、まだ俺子どもだからわかんないけどさぁ。そうだよ、俺子どもだよ。何で大人が平然と子どもを危険なところに送り込むのさ。


大体、この身体見てわかんないかな。身長145、体重40。ちょーチビガリ体型だぞ。贈り物とか言ってもらった皮製の鎧も、サイズ全くあってないよ。ぶかぶかじゃん。剣も重たすぎて振るえそうにないし。


大体、王様も若干笑ってたじゃん。あいつ絶対思ってたよ。「あ、こいつ無理だわ。」って。無理だよ。見りゃ分かるだろ。履歴書に書く特技‘読書’のやつがどうやって魔王倒すんだよ。薪割りのアルバイト面接で、「君さぁ〜…これは特技じゃなくて、趣味だよね。読書が得意って聞いたことないよ。」て言われて、はじめて皆が普通に文字読めることを知った人間だよ、俺。


…もう帰りたい。いや、家じゃなくていいから、出たくない。)」



〜王様の城1F 門〜


勇者

「(あ〜まただ。この扉重すぎんだよマジで。開けられないって。あーもう嫌だ。門兵も変な目で見てるよ〜。「え、開けられないの?え、マジで?」みたいになってんじゃん。帰りたい、いやほんと帰りたい。)」


門兵

「…あ、開けますね。」


勇者

「…どうも。」



〜城下町 大通り〜


勇者

「(あ〜キツイ。キツイわ。門兵めっちゃ呆れてたし。そらそうだよなぁ。門一つ開けられないのに、どうやって魔王倒すんだよ。


町の人も変な目で見てくるし。絶対思ってるよ。「え、あれで勇者…?」て目だよ。だから、嫌だったんだよこの兜。「勇者よ、これは代々伝えられた伝説の兜じゃ。勇者にのみ装備できるのじゃ。」て言ってたけどさ。


めっちゃ錆びてんだよこれ。もう鉄の臭いするくらいに。内側結構禿げてるしさ。正直邪魔なんだよ。


あー見えてきたわ。酒場見えてきた。あー腹痛くなってきた。頭も痛くなってきたわ。あー…着いちゃったよ。)」



〜酒場〜


勇者

「す、すいませ〜ん…。」


主人

「ん?な、そ、その兜は…!ゆ、勇者様か!」


勇者

「え、えぇまぁ。」


主人

「そうかそうか。ということは、仲間をお探しで?」


勇者

「はい…。」


主人

「ふむ。どんな仲間を…


勇者

「強い人!強い人お願いします!」


主人

「…あ、あいわかった!」

「おーい戦士!お呼びだぞ!」


勇者

「(戦士!これは強いぞ絶対!)」


???

「呼んだか、主人よ。」


主人

「おう、戦士。勇者様の力になってやってくれ!」


???

「ほう、勇者とな!これは光栄だ。私は戦士の…!!」


勇者

「………。」


主人

「ん?どうした、2人とも。」


勇者

「………何やってんの、親父。」


「……どうも、父です。戦士、やってます。」


勇者

「……確かに、ある意味ピンチだわ。」



『完』

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