プロローグ
「なんだろう、これ? 」
学校から帰宅後、母親に夕食のおつかい頼まれていた。
スーパーでの買い物を済ませ、自転車かごに買い物袋を入れて、ポケットからスマートフォンを取り出すと、差出人不明のメールが届いていた。
今時、友人や知人との連絡のやり取りにメールなんてほとんど使わず、連絡にはインスタンスメッセンジャーと呼ばれるアプリを使う人が多い。インスタンスメッセンジャーとはリアルタイムでコミュニケーションが可能なチャットのようなアプリのことであり、有名な物にLINEやカカオトークといったものがある。
知人や友人との主な連絡手段はLINEであり、スマフォに届くメールには企業からのキャンペーン情報といったものばかりである。
少し不気味に思いながらも、差出人不明のメールを開くと、本文には見たこともないURLだけが記載されている。興味本位で好奇心からなのかそのURLをクリックしてしまう。
「え……なによこれ!?……」
思わず目を疑ってしまう。
あまりの衝撃にスマフォを落としそうになり、両手でスマフォを強く握る。
URLをクリックした先のWEBサイト、そこには自身のプライベート画像がサイト一面に並んでいたのだ。ページの上部から下部にかけて、恐らく100枚近くはギッシリと並んでいる。自分の部屋の天井、寝る前にスマフォを眺める顔、スマフォをタッチした時の指など、ありとあらゆるプライベートな画像がページを覆い尽していた。
恐怖心で膝の震えが止まらず倒れこんでしまう。自転車かごに乗っていた買い物袋からは、食材がこぼれ落ちる。
それを近くで見ていたおばさんが心配そうに駆け寄る。
「あなた、大丈夫!?」
――誰がこんなことを……なぜ私なの?