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第三十八巡世界 地球防衛軍第8回定例会議

 とある、ファミレス。


 10人の男女が隅の席を囲んでいた。


 一人は、男装、赤髪の大女。

  二号天使 異能回収担当 『戦女神』ファインドランダム

 

 一人は、同じ衣装で、黒髪の少女。

  三号天使 異能配布担当 『剣女神』ハイドランダム

 

 一人は、緑色のくたびれたマントに身を包んだ、旅人風の男

  四号天使 特異点探索担当 『機械使徒』デア・メルクヴュルディヒ


 一人は、ダークスーツに、東南アジアの精霊でも真似た奇異なデザインの仮面をかぶった男。

  五号天使 『夜』維持管理担当 『午後五時元帥』ファイブ


 一人は、傍らに無駄に大きなラジカセを侍らす筋骨隆々な爺様。

  六号天使 『最後の審判』証拠品収集担当 『時の翁』時の翁


 一人は、ノースリーブから露わになった両腕、足、頬。見える皮膚を全て包帯に包んだ女(?)

  七号天使 『運命』製造ライン管理担当 『運命維持管理責任者』車輪堂しゃりんどうぬえ


 一人は、席に体がおさまらず、仕方ないので外のテラスで一人チョコパフェを食べる無口な男

  八号天使 寿命管理部門担当 『岩窟王』テロメア



 一人は、みているだけで眼が痛くなるような、ドギツイ紫色のロリータファッションに身を包んだ、みた限り幼い娘。

  九号天使 零号異界維持管理担当 『過日の魔王』女帝陛下


 一人は、ただそこに座っているだけで、呼吸しているのかさえ疑いたくなるほどに、動かない。

  十号天使 世界廃滅処理担当 『切り札』永遠愚行





  地球神・重力を紡ぐ男ジューショ・クア・キュキが、自らの分身として、人に加護を与えるために遣わした十体の極点。


 そして、彼らを束ねる、キュキの意思を代行するものにして、地球の過去から未来まで全てをを収めたアカシックレコードを書き換える異能を持つ男。


 一号天使 『地球』最高執行責任者(COO) 『限りなく遠き者』スカイウォーカー・アンサーズ



 彼は今、自分の目の前の席でうまそうにスパゲッティを食べる少女に文句を言った。



「おい、シロネコ。なんか思いっきり変な方向に話が向かってるぞ!」


 天使の長に文句を言われた少女、白川実子は、心外と言った表情で反論する。


「そんなこと言われても、私のせいじゃないよ。次郎ちゃんが何回も歴史改竄のために動いたからね、少しずつ、物語の本筋さえ狂い始めたとしても、おかしくはないよ。長い時を生きすぎたからね。たぶん、私とあんたら天使が協議して世界破滅を防ぐためにこんな事態を引き起こしたことも、忘れちゃったんだろうね」

「くそう、俺達ほど人類愛に満ちた存在なんてないのに、悪党みたいな書き方してあるじゃねーか、この月影招神帳(37刷発行)」


 少女はけらけら笑う。

 ぶすりと、言った擬音のよく似合うふてくされづらで、地球最高位に立つ男が口を開く。

「しかし、ここまで俺達の真意と違う方向に話が進むと、気が気ではない。予定された『四つの大災害』と『飛来体』以外にも、もっと強く介入すべきじゃないか?」

「やめときなよ、余計こじれるから。次郎ちゃんもカーゴも、今じゃ天使陣営は人類の敵くらいに思ってる。誤解を解くには、4巡くらい遅すぎた」

「俺達、お前が思ってるよりずっと万能だぞ?」

「あんたらが思ってるより、人間の魂は傷つきやすいんだよ。いまさら、真実を伝えたって、辛くなるだけだよ。だから、私だってこうやってこっちに帰ってきても……顔も合わせられない」

「むぅ。ままならんな」

「そもそも、人間程度の進化具合で十一号天使(対宇宙担当)を生み出そうなんてのが、皮算用だったんだと思うけれど」

「そんな文句は内の御屋形に行ってくれ。俺は止めたんだが、人間が滅びるのはみるに堪えられないから、進化させる。とか。あほかと思ったわ」

「その結果が、今のこの惨事か。あんたんとこの神様、優しいのか、冷たいのかわからんよね」



「……、俺が人間のお前に訊くのもおかしな話だが……。勝算はあるか? 正直、俺達としてはお手上げだ。それこそ地球に存在する異能を、今この瞬間にすべて消滅させるのがいいんじゃないかとさえ思う。そこに座っている『永遠愚行』の戦闘力なら、可能だぞ?」

「それじゃあ、キュキの望む人の進化は止まってしまう」

「異能がなければ、人は成長できないのか? それほど命はつまらないものとは思えない」

「時間がない。私とあんたがみることのできる、アカシックレコードがあと10年程度で途切れてるってことは、その時にはイデアの娘達は軍勢を整えて地球に侵攻しているってことだろ? なら、それまでに人間を戦える存在にしなければならないってことだ」

「ぶっちゃけ、俺達天使でもことたりるんじゃないのか?」

「あんたら、キュキの分身だろ? ルールイデアとキュキの協定では、お互いの分身体が直接介入することは許されない……、ってなんでさっきから私が否定意見ばっかり出してるんだろうね。私は人を救いたいのに」


 料理を食べ終わる。


 食器を片づけにきた店員に、デザートを注文する。


 明らかに見た目のおかしい十人ほどの集団 (その内飯を食ってるのは少女一人である)に震える声で応対するバイト娘を見送り、シロネコは結論を口にした。



「今度の物語では、私達の想像を超える者達が生まれるかもしれない」

「ほう、あいつらに期待しているのか」

「月本市をめぐる計画では、大分予想とは別の方向に話が進んでしまった。もっとゆるふわな出来事を期待していたのだけれど。今あの町で生きる子達は、私が生きていた頃とは、まったくキャラが変わっていった。それも、いい方向にだ。歴史の修正をずっとずっとがんばってくれた次郎ちゃんの努力は、無駄じゃなかった」

「ならば、生まれるか。魔王でも、獣でもない者が」

「かもしれない。けれど、その時は私ら上位者もただじゃ済まないかもしれないよ」

「いいさ、世界が滅ぶより、ずっといい」

「……」

「何だ?」

「あんたは、変わらないね」

「そりゃ、ま。天使だからな」


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