【もののけ三銃士】
この世とは違う理屈が働く異界が存在する。それは月本市の勢力下にあるこの町では常識であった。
しかし、宇宙から飛来した七対の巨大な人型機械の襲来によって、遥か天蓋、宇宙にも、人智を超えたものがあり、そして、それは時として飛来してくることを、人々は目の当たりにした。
人の希望だったデルタリオンが自壊し、次に同じ事態が起きた時、対抗手段はあるのか?
そのために、準備する必要があった。
それらと戦うための手段と、話し合うための手段を。
たった一人で部活動を運営している、うみねこ高校化学部部長 島左子は、新入部員を入れなければ廃部となる科学部のために奔走していた。
空回りしながらの勧誘活動ながらも、なんとか三人の一年生を取り込むことに成功した。
しかし、この三人というのが曲者で、この町有数の金持ちの御曹司だの、廃村から流れてきた拝み屋の跡取りだの、とかく黒い交際の話題が絶えない美少女だのと、キャラの濃い連中であった。
逆に取り込まれてしまったんじゃないのかと不安になったが、困ったことに、三人は三人とも左子のことが好きらしく、地味で目立たないマイナーサークルであったはずの化学部は、存在するだけで有名な奇妙な団体扱いとなってしまった。
しかし、さらに困惑することに、この三人が三人とも、話してみると普通の後輩であった。ちょっと人とは違うところがあって、浮いてしまうところもあるけれど、とても素直で、一緒にいるのが苦しくない。
彼らにも、彼らの悩みがあった。それを、真摯に聞けるのは、左子だけだった。
左子は、決めた。自分は、この子達の理解者になろう。
ここを、私達四人の居心地にいい場所にしょう、と。
たとえ、空から宇宙人魚が降ってきて、彼女を宇宙に還すために走り回る羽目になっても。
たとえ、宇宙戦闘民族の生き残りから逃げ回り、あまつさえ決闘せねばならぬとしても。
たとえ、獣に化ける力を持った異能者の存在を知り、変身人間チーター女に食べられそうになったとしても。
たとえ、電磁波を食べる月の兎が町中に放たれて、それを捕まえなければならなくなっても。
たとえ、十年前の卒業生が残した、四種の殺人妖怪に狙われても。
たとえ、化学部の一年生三人が、伝説の『もののけ三銃士』の名を引き継ぎ、この町にふりそそぐ『おかしなこと』を解決するために走り回ることになっても。
あまつさえ、左子がその頭目として祭り上げられるようになったとしても。
左子はへこたれない。ちょっと、泣きそうになるけど。




