左子と宇宙人魚と神様
会話というのも、変な話である。
はたから見れば、左子が人の形をした怪異に、一方的に話しかけているように見える。
宇宙人魚は喋らない。笑い声もしない。そもそも呼吸器も声帯も持っていない。
空気のない宇宙で生きているのだから。
『私たち宇宙人魚はね、あなた達の言葉で言えば、魂だけで生きているの』
でも、さっきからそこにいるし、ビーフジャーキーだって食べたじゃないか。
『イデアの圏族は、肉体を持たない。けれど、私はうっかりキュキに触れてしまったから、肉体を手に入れてしまったの』
さっきも出てきたぞこの単語。
『あれ? 左子ちゃんはそういうのに関わらずに生きてきた系? もしかして、知らずにおいて方がよいかしら?』
「ここまで来たら、詳しい説明をお願いします」
『そーね、こんな破壊前線の中心に住んでいるなら。たぶん、あなたはこれからこういうものにたくさん関わっていくだろうから。説明するわね。妖怪や妖精、それに神様や私たちみたいな化けものはね、皆宇宙から来るの』
「……、そういう設定なんですね」
『まー、そう思って。私たちはね、『宇宙神』たる『月の外側にある娘』ア・イデアにより生み出された精神生命体。肉体を持たず、死ぬこともない。熱量では作り出せない膨大なエネルギーを使って、私たちの科学法則を以って生きている。広い広い宇宙を生きるには、スケールの大きな能力と命が必要だから、偉大なるイデアの力を十全に使い、生きてゆく。決して地球には近づかないように。もし、地球の引力に触れてしまったら、地球の法則、つまり、『地球神』たる『重力を紡ぐ男』ジューショ・クア・キュキの決めたルール、いつか必ず死ぬ肉体をもってしまうから。私はね、ちょっとエピソードはしょるけれど、ある悪い奴に追いかけられて地球圏すれすれを逃げているときに、うっかり重力に引っかかって、物質化してしまったの。で、そのまんま墜落。死にかけてたところを、うみねこ町もののけ倶楽部に助けてもらったってところ』
「すみません、いろいろ訊きたいこと盛りだくさんなのですが、まずうみねこ町もののけ倶楽部について教えてください。嫌な予感はばりばりしますが」
『あら? あなたが部長じゃないの?』
「私が部長なのはうみねこ高校化学部です!」




