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スーパー秘書、日下部!


 今回は、格好いい主人のお話です。もつとも、そんなことがあったと知らされたのはずっと後のことです。でも、この事件がきっかけで再び主人は食品部に戻されました。私には、勤め先の近くで事故があったこと、突然の異動で食品部にもどったことしか言ってくれませんでした。


 ここは年金会館です。黄昏前のことです。

 その前を宅配便のトラックやタクシーが走って行きます。交通量はそう多くありません。いつもの午後です。


 歩道を3人の女性が仲良く歩いています。主人、須藤さんと香坂さんの3人です。3人はやや焦っているようで、早足です。

「ごめんなさいねえ。私のせいで・・」と香坂さんが言っています。

「ぎりぎりになりそうね。」

「やばいなあ。会議か終わっちゃうよ。」と主人が苦笑いしています。


 会館の前には、ずらりと並ぶ黒塗り車が並んでいます。運転手は、運転席で居眠りをしているものや、外にでて立ち話をしているものもいます。

「へぇ、もと総務だったのか。」

「今は守衛兼運転手だよ。」

「大変だな。」


 会議室の中です。理事会のようです。理事会員の社長や役員が通例の会議をおこなっています。

「それでは、この件はそういうことで・・」

「みなさん。よろしいですな。」

「結構です。」


 大型トラックが走っています。運転手が無線マイクにむかってどなってます。

「そんなことわかってら!」

 壊れんばかりにマイクを座席に叩きつけました。やや、太めの男です。

「まったくもう。会社の連中は無茶を言いやがる。」

 トラックはは緩い坂道をゆっくりと上がっています。年金会館はその峠にありました。

「ふん、どいつもこいつも! ウッ・・・・」

 運転手が突然首を大きくハンドルに突っ伏しました。大きなクラクションの音がします。


 そして、スピードの落ちたトラックはゆっくり車体を左に切り、年金会館の前に並ぶ黒塗りの車の1台にっっこみます。スピードはありませんが、大きな車体と重量は、乗用車をめきめきと押しつぶし、止まりました。クラクションも止まりました。

 自動車の運転席のガラスがはじけ飛びます。運転手は逃げよう助手席に移ろうとしましたが時はすでに遅く、つぶれた金属に挟まれて動けなくなりました。

 事故です!主人達は年金会館の前まで来ていましたが、その前で起こった事故です。


「うぁ、車がへしゃげた。事故だ。」

「人がいたような。」

「香坂さんは、事務所へ行って、110と119に電話をして!」

「はい。」

「須藤さん。どこの運転手かわかる?」

「たぶん、田島製薬かと・・」

「よし、須藤さんは、上がって報告して。」


 女性達が散ると、運転手達が集まってきました。

「うぁ、ひでぇな。」

「中のやつ大丈夫か?」

「何かすることねぇか。」

「警察と消防署には連絡しました。みなさんは、交通整理をお願いします。」

「そうだな。おい、みんな、発煙筒あるか!」


 ドアを開けようとした運転手が叫んでいます。

「だめだ。ドアがひずんで開かねぇ。」

「やばいなあ。出血しているかも・・」

 そう言うと、主人はボンネットに上がります。そして、ハイヒールでひびは入ったフロンガラスをたたきます。

「あぶねぇな。ハイヒールじゃ無理だよ。降りなよ。」

「すみませんね。」と照れくさそうにおりました。


 男はボンネットを上にあがり、立ち上がると体重をかけて、フロントガラスを蹴りました。さすがに男の力です。ガラスはこなごなに割れて、運転手が顔をだしました。


 主人はトラックに向かいます。トラックに行くと、別の運転手がトラックのドアを開けていました。

「おい、貴様!なんてことしやがるんだ。」

 しかし、反応がありません。助手席に向かって倒れたままです。

「あれ?こいつイビキをかいて寝てやがるぞ。」

(寝てる?変だな)と首かしげる主人です。

「ひてぇや。居眠り運転だせ。」

「それって、おかしいです。なぜ、起きないんですか!」


 ここは会議室です。

「クラクションのおとがしませんでしたか?」

「それに変な音が・・」


 そのとき、ドアが大きく開け放たれました。

「大変です。事故です。」と須藤さんが叫びます。

 みんな驚いて須藤さんを囲みました。

「何があった。」

「待機中、駐車していた田島製薬の送迎車にトラックが突っ込みました。」

「えーえ。110番しろ。」

「すでに、香坂さんが事務室からやっています。」


窓からのぞいていた藤本会長がいいました。

「おっ、救急車がきたようだな。交通整理もやっているみたいだ。だれの指示だ?」

「したへ降りてみましょう。」


 救急車のサイレンが聞こえました。意外と早かったようです。田島製薬の運転手も助け出されようとしていました。ガラスで切ったのか、血が滲んでいます。

「うーう、いてぇ。」

「山本、大丈夫か?」

 救急車が到着し、救急隊員が担架をもって飛び出してきました。

「こっち、こっちだ。」

 そう言われて、車から助け出さ血だらけの男に向かいますが、主人に止められました。

「ちょとまってください。こっちに重傷者います。」

「えー。」

「トラックの運転手が変なんです。一刻を争うような気がします。こっちをお願いします。」

 これにはかちんときたみたいです。

「ばかやろう!被害者の運転手が血だらけでうなってんだ。加害者の運転手が先とはどういう了見だ。」

 ずごい剣幕で怒鳴り散らします。

 いかし、主人も負けていません。

「加害者も被害者もあるか!重傷者が先だ。」といって一歩もゆずりません。

 救急隊員さんに問いかけます。

「救急隊員さん。運転中に突然意識を失い、イビキをかいて眠りこける。これって、脳梗塞じゃないですか!」

「医者じゃないんで、断言はできませんが、そんな話はきいたことがあります。」


 社長を始め須藤さんが降りてきました。

「どんな具合なの。」

「それが、トラック運転手の様子が変なんだ。脳梗塞じゃないかと思うんだが・・」

「それは大変じゃないの。1秒でも早く、病院につれていくべきよ。」

「でも・・」

 そのときです。血だらけの田島製薬の運転手の山本さんが言いました。

「死んだ叔父がそうだった。おれは大丈夫だ。後でいい。」

 この一言で決まりました。


 トラックの運転手が担架に乗せられましたが、救急隊員さんが何か躊躇して動きません。

「すみません。このひとは、どこのだれかわかりませんか?」

「えー・・」

「ちょっと待って」

 須藤さんはいきなりトラックに乗り込みます。

「あった。東洋運輸よ。送付状に書いてある。会社の電話番号もあるわ。」

「これでわかりますかね。」

「伝票内容を伝えてれば、仕事内容から運転手が調べられるはずよ。」

「なるほど」

 さすがは須藤さんです。頭が切れます。気持ちが落ち着いて、実務になると主人はかないません。

「付き添いをお願いしたいのですが」

「わかりました。僕が行きます。」

「いや、私が行くわ。ウチはまもなく上司がくるわ。社長はウチの上司がちゃんとやってくれる。司令塔が動いてはだめよ。」

「わかった。」

「あっ、それから、尾崎さんと梶尾室長もこちらに向かっているわ。連絡しといたから。」

「ありがとう。」


 また、サイレンのおとがしました。もう一台の救急車が来たようです。

「キャー。や、山本さん。」と言うのは、田島製薬社長秘書の堂下愛子です。

「山本さんというのか。山本さん、大丈夫ですか?どこか痛いところはありませんか。」

「いや、大丈夫だ。」と答えてくれます。

 救急隊員が簡単な手当をしています。

「出血が少しあるようだが、意外に意識がはっきりしていな。」

「山本さん。社長はうちの車に相乗りで何とかします。まずは病院へ。」

「堂下さん。会社には連絡したかい。」

「しました。」

「じゃ、君は救急車に乗って付き添って上げてくれ。病院が解れば連絡してくれ。それから、家族が着くまでは一緒に居て上げるんだ。」

「わかりました。」

「僕は夜までここの事務室にいるから、何かあったら電話してくれたらいい。」


 尾崎さんと梶尾室長やってきました。

「日下部さん。大丈夫、ケガはない?」

「僕はただ見てだけだから大丈夫だよ。でも、来てくれて助かったよ。」

 藤本会長を初め他社の社長もやってきます。

「会長は尾崎さんと帰っていただけますか。」

「おまえは、どうするんだ。」

「すべて終わったら電車で家へ帰ります。」

「田島製薬の井口社長、勝手なことをしましたが、堂下さんには、救急車に付き添ってもらいました。病院がわかれば連絡します。」

「そうか、山本の家族にはこちらから連絡しよう。」

「それで、お帰りの車なんですが、ウチの藤本会長と相乗りをお願いします。」

「そうだな。別にタクシーでもかまわんのだが、藤本会長、お世話になります。」


 主人だけが残るつもりでしたが、2,3名の秘書が残り手伝ってくれることになりました。夜になると、連絡拠点を東亜製薬に移し、終電ぎりぎりまで詰めていました。


 ここは、とある飲み屋です。ビールと簡単なつまみで運転手2人が一杯やっています。

「山本、無事退院できてよかったなあ。」

「いやあ。大騒ぎのわりに、軽傷でな。3日で追い出されれちゃたんだ。」

「そうかい。よかったじゃないか。」

「鹿取、おまえには、いろいろ、お世話になったよ。他にも、特にあののっぽの秘書には。」

「東亜の日下部さんか。」

「すごかったよな。男の俺たち相手に、『加害者も被害者もありません。重傷か軽傷かが問題なんです。』と啖呵をを切るんだから。」

「実際に、あいつの言うとおり、脳梗塞だったらしいぜ。」

「へぇ、危うく殺人するところだつたな。」

「それは言い過ぎだろうが、でも、トラックの運ちゃんは、命の恩人だと偉く感謝していたらしいぜ。」

「あいつは、男勝りで頼りになるよな。」

「ああ。それでよ。変な噂を聞いたんだが・・・」

「えー。ホントかよ。」


 ここは、武山薬品工業の社用車の中です。武山薬品工業の川本社長がいいました。


「今回は東亜製薬の秘書が大活躍したらしいな。」

「すごいですよ。あの男勝りののっぽ秘書にはまいりましたよ。事故直後の交通整理は、なかなか思いつかないと警察の人が感心していましたよ。」と運転手がいいます。

「あの人は非常時には強いんですよ。ヘタレなんですけどね。」と須藤さんが分析してみせます。

「そうそう、ドアが開かない見ると、フロントガラスに上って、ハイヒールでガラスを割ろうとするだからすごいよ。特に、田島製薬の山本さんを巡って、どちらを先にするかって、1歩も譲らないんだから。結果的に、彼女を言うことが正解だったけどな。男勝りと言えば、変なウワサをきいたんです。秘書は実は男だというですよ。」

「それを、だれから・・あっと。」と須藤さんは、急に顔色をかえて、口を押さえました。

「え? なんだそれは・・おまえ、何を隠している。」


 理事会終了後のことです。武山薬品工業の川本社長が、藤本会長に声をかけました。

「藤本会長、お宅の日下部秘書のことでお話があるんですが・・」

「ほお、何かな。」

「日下部さんは、男ですね。」

「どうしてそれを・・」

「やっぱり、そうでしたか。普通ならば、否定すればいいことなんですが、ちょっと、有名になりすぎましたな。トラックの運転手の奥さんが感謝感激して、病院中に触れ回っているらしいですよ。ちょっとした美談でしょ。マスコミが運転手の奥さんに取材したらしいんです。」

「なるほど、つぎは、ウチの秘書会か。早く手を打ったほうがよさそうだな。よし、早速、行動に移そう、明日、臨時総会できるか?」

「私はかまいませんが、どうするんですか。」

「あいつを元にもどす。そして、あいつは存在しなかったということで口裏をあわせてもらう。」

「なるほど、そこまでしますか。しかし、みんな、集まってくれますかな。」

「大丈夫だろ。女達がだまっていまい。」

「それだけ、信頼されているんですか。そういえば、統率のとれた行動だったらしいですな。おしい秘書を失うことになりますな。」

「ははは、そんな、エライものじゃないよ。ともかく、急ごう。」

 対応の驚くほどの早さです。さすがは、会長、エライ!しかし、こんな事をするほどの重要人物とは思えないのですが・・。ましてや、臨時総会って、そりゃ、製薬業界の震撼させる一大事が起こったわけではあるまいし・・


 ここは会長室です。

「なんですって!あいつは何も悪いことしてないでしょう。どうして・・」と梶尾室長がめずらしく怒ってます。

「わかっているさ。しかし、事は急を要する。人事部へは今日付で発令してもらった。」

「しかし・・・」

「やかましい。あいつを一番やめさせたく無いのはわしだ。」

「・・そうでした。わかりました。」

 角川さんもえらく怒り、会長も八つ当たりされ、その日は仕事にならなかったとか。


 ここは、年金会館の大会議室です。主だった社長とその秘書が集まっています。そして、中央には、藤本会長がすわっており、端には主人こと日下部美希が立っています。


「・・ということで、ウチの日下部は、もともといなかっったということにして頂きたい。屈してお願いする。」と会長自ら頭をさげています。

「か、会長!そこまでしなくても・・」と主人があわてて、駆け寄ります。


「他ならぬ、美希ちゃんのためだ。そんなこと造作もないよな。」とタケモト製薬社長がいいました。他も社長も同意します。


「もと言えば、わしが鼻の下を伸ばして、こいつを秘書にひっぱったのがことの起こりだ。すまんことをした。」

「いや、ウチのあの冷静な須藤が泣くのを初めて見ましたよ。」と言うのは武山薬品工業 社長です。

「まあ、秘書達で日下部さんの世話になったものはいないといいます。たぶん大丈夫でしょう。」

「ありがとうございます。」とうなだれる主人です。


 会議室を出ると、女性達が一斉に主人の周りに集まってきました。

「別に、死んだわけじゃあるまいし、ナイショの会はやるからね。本社にいるからいつでも会いに来て良いよ。」

「日下部さん・・・」

「あーん」

「うぇーん。」


 ここは、本社の食品部です。段ボールの箱を台車に載せて、主人がエレベーターから降りてきました。ぱりっとした黒のスーツにハイヒールの美人です。

「えへへへ、日下部です。秘書室を首になりまた。出戻りですが、よろしくお願いします。」

「そうか。今日からだったな。こっちこそ、よろしくな。」と言うのは田口部長です。

 田口主任は、本社の食品部長に昇進していました。



 ここは、薬業年金会館です。数日後のことです。2人の男女が年金会館の受付を尋ねてきました。

「週刊毎朝です。東亜製薬の秘書さんがこちらにいると聞きまして・」

「あちらにいますよ。」

 受付の指し示す方向には、ロビーで話をしている2人の女性がいます。武山薬品工業の須藤さんと東亜製薬の尾崎さんです。

「あれか?聞いてきたイメージとちがうなあ。」

「確かに、背の高いきりりとした美女とい話でしたよね。」

「ともかく、話を聞いてみるか。」


「すみせん。私は週刊毎朝の小島です。東亜製薬の方ですか。」と男は名刺を出しました。

「はい、私が東亜製薬の尾崎です。」

「あれ、あなたが東亜製薬の会長秘書ですか。」

「はい、そうです。」

「日下部という、もっと、背の高い人だと伺っていたんですが・・」

「それは、違います。私が藤本会長秘書です。社長秘書と兼任ですけど。」

「ほんとですか。」

「私は、武山薬品工業の社長秘書の須藤です。日下部さんが秘書というのは、どこから出た話ですか。東亜の秘書はここ数年、ずっと、この尾崎さんですけど。」

「先日、トラックの運転手が脳梗塞を起こして、事故を起こしたことがありましたでしょ。あの日に先頭指揮をして活躍した東亜製薬の長身の美人秘書がいたという話をききまして・・」

「東亜製薬の秘書は私ですが、ふふふ、長身の美人秘書というのはあてはまりませんね。」「その人は、凄腕で各社の秘書や運転手を手足のように使い、事故の処理に当たったと言うのです。」

「へぇ-。そんなすごい人がいたんですか。それって、須藤さんのことじゃないですか。秘書会のリーダーでしょ。」

「私はそんなことしてないわよ。みんなで、わいわいやっていただけでしょ。」

「トラックの運転手が気絶したのは、脳梗塞であることいち早く見抜き、他の運転手と激論をして、一番に病院に送ることを主張したと聞いています。」

「運転手達にも聞いてください。そんなすごい人は居なかったと思いますよ。今頃、近所の駐車場の近くにたむろしていますよ。」

「はあ。そうなんですか。」

 週刊毎朝の記者は困ってしまいました。ウワサの裏取りをやりにきたのですが、どうもおかしいようです。


 ここは駐車場近くの喫茶店です。週刊毎朝の記者が武山薬品工業の運転手の鹿取さんと田島製薬の運転手運転手の山本さんに取材しています。

「やあ、あれはすごかったよな。この鹿取がフロントガラスをぶち割って助けてくれたんだよ。」

「ありゃ。大変だっよな。山本をみんなで引っ張りだしたんだ。」

「運転手やたの秘書達に的確な指示を出した秘書がいたというですが・・」

「そんなやついたかな。みんな必死だったからな。」と首をひねる鹿取さんです。

「トラックの運転手が脳梗塞であることいち早く見抜き、あなた方と激論したという秘書がいたというですが。血だらけの運転手より、こちらが重傷だと言ったそうなんですか。」

「それは違うだろ。その血だらけの運転手はおれだ。トラックの運ちゃんがイビキをかいて寝ているときいて、そりゃ、脳梗塞じゃねえかと言ったんだ。無くなった叔父とおんなじ症状だったからな。」

「そうなんですか。ところで、日下部という人を知りませんか。」

「知っているよ。東亜ののっぽの美人だ。たしか、尾崎という秘書の友達らしい。彼女を訪ねて、たまに、ここに来ていたよ。」

「ほんとですか!」


 ここは、東亜製薬のロビーです。週刊毎朝の記者が、主人、尾崎さんと須藤さんに取材をしています。

「取材の趣旨はわかりました。僕が、東亜製薬の食品部の日下部美希です。でも、その美人秘書というのは、僕じゃ無いですね。」

「トラックの運転手の奥さんとあってますよね。」

「はい。尾崎さんとこの3人でお見舞いにいきました。この二人が秘書なんで、僕も秘書とまちがったんじゃないですか。」

「現場で陣頭指揮をした美人秘書があなたにぴったりなんですがねぇ。」

「うれしいですね。でも、事故を聞いて後から駆けつけたんで、そんなことしていないですよ。それって須藤さんのことじゃないですか。」

「警察の記録によると、事故報告者にもはあなた名前がでてくるんですよ。」

「はい、尾崎さんが会長を送って一度会社に帰ったんで、応対したのは事実です。後日、警察に行くときも、この2人に付き添って行ったのも確かです。直接、」

「そうですか。ところで、日下部さんは、男言葉を使われますが、女性ですよね。」

「男兄弟で育ったんで、がさついとよく言われます。なかなか、直せなくてね。」

「失礼しました。ありがとうございました。」


 週刊毎朝の記者は、困ってしまいました。

「大活躍をしたオカマ秘書がいたというのは、デマということか。しかし、なんか、隠しているような気がするが・・」

「話はだいたいあってますよ。あの日下部という女性のイメージに尾ひれがついた話のようですね。」

「これは没ネタか。」

「そうでもないですよ。都市伝説としてなら使えます。スーパー秘書、日下部!というのはどうです?」

「まあ、好きにしてくれ。」

 次は、この都市伝説のスーパー秘書の話です。ともかく、日下部拓也は、秘書室から食品部に人事異動になりました。また、別のシリーズの話が始まります。

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