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編集ミスで消してしまい作り直しています。
『集まったようですので式を始めたいと思います』
私の思考をさえぎるように声が響く。
『そこの新入生急ぎなさい』
キーンとマイクの不協和音が再びする。
周りには失笑する生徒もいた。
後ろを見ると、こっちにあわてて駆け寄ってくる女生徒がいる。
髪が肩まであり目の大きい可愛らしい顔立ちをしている。
「すいません」
恥ずかしそうに顔を真赤にして謝りながら空いていた私の隣に座る。
『それでは少し早いですが入学式をはじめたいと思います』
隣の女の子は間に合ったことにほっとしたのか胸をなでおろしていた。
依然顔は走ってきたせいか恥ずかしさのせいかいずれにせよ赤いままである。
私は思いきって声をかけてみる。
「二宮ともさん?」
「えっ、何で私の名前を…」
二宮さんは困惑したように私を見る。
突然、初対面の人に名前を呼ばれたらそうなるだろう。
私もそうなるだろう。
困った顔が可愛らしくからかいたくなる。
「覚えていない、私のこと」
必死に思い出そうとしているようで二宮さんはこっちをじっと見つめてくる。
「えっと、あの…」
心当たりがないようでさらに困惑した顔をする。
「そうなんだ」
少ししょんぼりしたトーンで話す。
「あの、ごめんなさい…」
ものすごく申し訳なさそうな顔をする。
もうすこし悪乗りをしてみる。
「そうなんだ…やっぱりあのことも」
私は悲しそうな顔をする。