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結局、私と同じ制服を見ることなく宇宙学園駅前に着く。
降りる人たちも少なくスーツ姿の人たちが降りていくのみだ。
その降りた人も急ぐように改札のほうに向かってしまう。
ここに来る人たちは少ないのだろうか。
リニアモーターカーで毎日誰かと一緒に通うというのは望めなさそうだ。
やはり私と同じ制服姿の人を見つけられずに校門に行き着く。
宇宙学園高等部入学式と書かれた看板が横に立てかけてあり私はほっとする。
しかし本当に入学式が開かれるのだろうか?
周りには人もいなく若干の不安が付きまとう。
案内図に導かれるままに広い校内を歩いていく。
樹が等間隔で植えられており一人で歩くのは少し不思議な感じがする。
しばらく歩いた後に入学式が行われる講堂につく。
妙にきれいな建物であり無駄にでかい。
これで中に誰もいなければ軽くホラーだと思いつつ入り口をあける。
中に誰もいないことはなく、入ってすぐに声をかけられる。
「新入生の方?」
受付と書かれたテーブルの前に座る女の人がこちらを見ていた。
「はいっ」
「お名前は?」
「木下恵美です」
女の人は名簿をチェックしているらしく私の名前を見つけると横に丸をつける。
「貴方、“シンコウ”なのね」
「え、あの。それって?」
聞きなれない“シンコウ”という言葉に違和感を覚える。
「奥に進んで右手側に席が用意されているから」
女の人は奥に広がる広間を指していう。
広間には席が用意されておりかなりの人が座っている。
「急いだほうがいいわよ」
「あっ、はいっ」
先ほどの言葉の意味を聞きたかったが本当に急いだほうがよさそうだ。
私は軽く頭を下げてから広間に向かう。