山羊は重力に逆らう
掲載日:2026/09/01
重力と恐怖を蹴り落とし、垂直の壁を毅然と登る山羊。その気高き姿は、平坦な道で躊躇う私たちの心に鋭く問いかけます。
心の重圧に怯えながらも、己の立つ場所を自ら決めるために一歩を踏み出す——すべての挑戦者に捧げる詩です
断崖のすき間に爪をかけ
風の吹くまま 空へ登る
山羊は重力に逆らう
誰も見向きもしない垂直の壁を
当然のように 踏みしめながら
わたしは平らな道でつまずき
見えない重さに背を丸める
沈む夕日に引きずられるように
ただ影の長さを数えている
重さに抗い 天を目指して
爪先に全神経を研ぎ澄まし
山羊は重力に逆らう
落ちる恐怖を足下に蹴り落とし
ただ一枚の岩肌を信じて
わたしは安全な場所にとどまり
落ちる前の幻影に怯えている
踏み出すことを躊躇う足元に
地球の引っ張る力がまとわりつく
それでもふと 見上げる視線の先で
空の縁に立つ気高き影
山羊は重力に逆らう
己の立つ場所を 己で決めるために
わたしも靴ひもを締め直し
重たい一歩を 崖へと踏み出す
垂直の壁に挑む山羊の逞しさと、一歩を踏み出した主人公の決意を描きました。重圧に押しつぶされそうな時、この詩があなたの靴ひもを締め直す小さな勇気になれば幸いです。




