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69 15歳 on the 線路 

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


さて、三週間の滞在期間。


アルバートは領内を隈なく視察しながら、その合間を縫ってローランドとテニスしたりセザールも交えてゴルフをしたりと、時間の許す限りアクティビティを楽しんでいた。


でも一番気に入っていたのはウエストエンドの豊かな自然を一望できる、断崖に設えた絶景の露天風呂だろうか…。

思うに、プール…露天…とやたら半裸率の高い彼にはもしかしたら元準主役としてのファンサ精神が刻まれているのかもしれない。



そしてローランドと言えばあの屋敷での夕食から残りの数日をほとんど裁判所で過ごしていた。


真面目なシュバルツには学ぶところが多いのだろうし、何より物静かなパーヴェルとは馬が合うみたいだ。

裁判所で見かける彼は、まるで乙女ゲームの登場人物のようにいつも微笑んでい…あ、登場人物だったわ。


なんにせよ僕が地の底まで落としたここの印象をパーヴェルが挽回…。パーヴェルには後日お礼を言っておこうと思う。



セザールは領民達とすっかり打ち解け魔法学院卒業後の進路に向け着々と布石を打っている。

だけどアーニーとの間に友情が芽生えていたのにはオスカーとも顔を見合わせて驚いてしまった。真逆の二人なのにねぇ…


「フェアに行こう」とか「俺は譲らねぇ」とか言ってたから建築関係で何か競ってたりするんだろうか…?でも笑ってたから多分問題ないんだろう。


彼からは馬車鉄道の完成をせっつかれている。

出来たら休みのたびに来たいと言われているから期待に応えなくてはならない…。プレッシャーが天元突破だ。



残るオスカーだが…、彼はここにきてからの日々を半分以上ダンジョンで過ごしていた。

朝来てダンジョン、午後に引き上げ更に兵舎でだべっ…反省会をしてからうちの屋敷で早めの夕食を一緒に食べて、夕方アルバートたちと合流してまた軽く夕食をとる、といった具合だ。


おかげで彼はたった1か月で随分身体を大きくしたし(縦だよ?)今ではまるでうちの家族かのように馴染んでしまった。

それはそれでいいのだが、オスカーに広告塔としての役割は何ひとつ期待できないな…



でも何だかんだで概ね全員満足していただけたんじゃないだろうか。

一番期待通りの楽しみ方をしたのがアルバートだっていうのがまた…




「レジナルド、これでしばらく会えないかと思うと実に淋しいな。お別れのハグをしても?」

「…ハグしたいのは山々なんですが僕今肋骨を痛めてまして…、イテテ…、握手でよろしいですか?」

「仕方ないね。華奢な身体だ。無理はしないで欲しい…」ギュウゥゥゥ、チユッ

「!」


彼らを見送るヴィラの玄関、最後までよく分からなかったのがこのアルバートだ。

手の甲にチューとかさぁ…、そーゆーのは聖女にすればいいのに。ま、聖女逃亡しちゃったけど。


「その…、またすぐお会い出来そうです。エバの件で…」


「女神官の件も含めて全て任せておきたまえ。だからレジナルド、王都へ来たときは私と」

「さあ殿下出発です。ローランドが待ちわびてますよ。すぐ馬車にお乗りください。ええ今すぐ」


ナイスセザール!

とにかくこうしてウエストエンドには平穏が戻ってきた。ああ…実に濃い三週間だった。




それからの日々は目まぐるしく過ぎるばかり。忙しすぎてブラックどころか漆黒の毎日。

鉄道に関してリミットがタイトすぎてほとんど僕の頑張りだからね?


まずは二週間。昼間は街道幅を広げて線路を道路わき左右に敷いて、同時進行で夜間ニコのレベル上げ鬼特訓につきあって、それが落ち着いてからは車輌を作って、あーそうそう、神殿の外枠も作ったしね。



その後ニコが遂に『試練』へと入った頃、ようやく最初の車両、客車が出来上がった。貨物車は大したことないから問題は寝台車と食堂車だ。


その食堂車…、いろいろ検討したうえ食料は魔法で凍らせた完成品を日数分積み込む方式にした。レトルト…とでも言っておこうか。車内では温めるだけの仕様だ。


王都側の食料の手配はハミルトンの叔父様にお願いしたが、こまごました備品類の手配は兄弟商人ジョンとバートに任せることにした。

実店舗があった方が何かと便利だろう。彼らは僕のバックアップにより王都に小さな店を構えることになった。降ってわいた幸運に大喜びされたのは言うまでもない。



そして寝台車。実は獣人さんたちにも協力してもらってロックバードの羽を大量に手に入れたんだよね。あ、もちろん抜け毛の方ね。

ロックバードとは魔鳥の一種。恐ろしく怪力で大きいけれどあまり攻撃的ではない魔獣である。ベルト地帯の封印沿いではこの抜け羽が割とよく落ちているのだ。

その羽は軽く保温性と通気性に優れ、質の良い睡眠を約束してくれること請け合いである。

そうして用意したのはこの国では王族の贅沢品とされる…その名も羽毛布団(上位互換品)だ!


こうして何とか形になった馬車鉄道。後は一回走らせてみなければ不都合は分からない。



さて、その試運転に名乗りを上げてくれたのはなんと!

…もう一人の大臣、右大臣家の御嫡男、ブラッドリー・オルグレン侯爵子息だ。

法務院と双璧を為し内側から国の安全に目を光らせる公安院にお勤めのエリート官僚ね。


ご子息とは言っても年の頃二十五程の落ち着いた青年。あ、これはクラウスから聞いた話ね。

とにかく目下のところ右大臣を狙うローランド最大のライバルが彼である。


蛇足だが恐らく筆頭公爵家であるカニンガム家が左で三番手のオルグレン家が右、と言うのが余計にカニンガム侯の劣等感を煽るんだろうな。



「かなり車体大きくなっちゃったなー」

「ですがこれらの車両は僅かに浮いておりますので見た目ほど馬への負担はないのですよ。むしろ減ったぐらいです」


そう僕を安心させてくれるのはランカスター別邸に居た頃からの付き合い、ベテラン御者のトムじいさんだ。彼の見立てなら問題無いだろう。


なので、前に特等寝台車および特等客車、食堂車の3両編成を4頭立て、後ろに二段ベッドの一般寝台車そして一般客車2両編成を2頭立て、最後尾に貨物車を1頭立て、で様子を見ることにした。


お馬さんの休憩ポイントイコール駅になるのだが、これらはもともと街道沿いに数カ所、早馬の休憩用に用意されていた飼葉置き場をそのまま整備して流用している。


因みに馬用ポーションは御者が持つ。この馬用ポーションありきでこの世界の早馬は交代無く進めるわけだ。ポーション万歳!


運行は当面十日に一本。様子を見ていずれは馬を増やし隔日で偶数日上り奇数日下りの、完全予約制一日一本運行にする予定だ。

だけど貨物だけでも常時動けば、これはこの国の流通システムを大きく変えるターニングポイントになるだろう。


乗車賃はお安くない。

けど、封鎖石と街灯により夜でも明るく安全なウエストエンド製の美しい街道。

そこを夜間も休まず移動が可能になった事で、中一日の宿泊さえ不要となり片道十五日の日程が四日に短縮した事を思えばかかる経費はダンチで減るはずである。



「さあ、僕達も一度これに乗ってブラッドリー氏を迎えに行くよ。ウィル、クラウス、特別部隊のマクシミリアン。それから…」


ゴクリ…


「リナルド、ロジェ、付いて来て」


「よし!」

「やった!」


ぷぷ…、みんなこんなに楽しみにして…、騎士たちって意外と…鉄オタ?





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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