68 15歳 night of 宴会
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
「そういう訳だからさ、今夜の特訓は中止で。って言うか、良かったら来る?隠れて見るだけでいいなら」
「いやよ、それじゃ変態みたいじゃないの!」
「それじゃ変態じゃないみたいじゃないの」バシッ!「痛っ」
何だろうか…、ニコは中身年上のわりに、見た目が少女だからか妹としゃべってるような気がしてくるんだよね。あ、言っとくけど妹は腐ってないから!多分。え?違うよね?ちが…、で、でもきっとそう!
だってオスカーみたいな彼氏が欲しいとか言ってたし!アルバートを連れて歩きたいとも言ってたし…。あれ?セザールと美術館に行きたいとも言ってたな。…ローランドに勉強教えてもらいたいとも…、気が多いなっ!
とにかく事情を聞いたニコはアッサリしたものだ。
「お局にバレても面倒だから今日は良いわ。自主練しとく」
「うん、ごめんね」
「でもさ礼二君、そういう事ならパーカーにも目を光らせといたほうがいいわよ」
「へっ?どういう事?パーカーは学院の寮じゃない…」
「あのね、ゲームのシナリオ飛ばしまくってたなら気付いてないかもしれないけど、パーカーの口癖なのよ。『お母様がおっしゃった~』ってやつ」
「エバが何って…?」
「パーカーが学院でやらかす悪事はほとんどが母親の真似ってことよ。こずるそうな教授に袖の下渡して成績に色付けてもらうのも、序列が下の人間には徹底して非道な所も、それから…いい?人の弱みを握っては自分の思い通りに言う事聞かせるところもね。「お母様がおっしゃったとおりだ、さすがお母様だ」ってね。今は寮って言ったって年の三分の一はランカスターにいるんでしょ?子供のころからだって色々見てるだろうし…。パーカーが麻薬の事を全く知らないと思えないわ」
「気をつけるに越したことは無いって事か。分かった。ありがとうニコ。やっぱり記憶持ちが居ると頼りになるなぁ」
僕が飛ばし気味だった本編部分をニコが補い、ニコが課金に頼って端折ってたクエスト部分を僕が補う、足りないものを補い合う、実に良いコンビネーションじゃないか。
今後も僕の知らないシナリオ部分が必要になるかも知れない。こうなったら一日も早くここに来て欲しい。
半年後か…、いや、特訓期間が短縮できれば四か月でイケるか?あー!その後また移動に半月かかるじゃん!だぁぁぁぁ!
「うん。やっぱり馬車鉄道を間に合わせよう」
アルバートたちが王都に戻って社交界でここがどれほど素晴らしかったか宣伝するまでどうせ成果は出てこない。だったらそれまでのスキマ時間に線路を敷いてしまおう。
そんな算段をしながらウィルをお供に宴会会場である共同食堂まで来るとそこにはすでにオスカーが居た。
「こっちだレジー!こっち来いよ!」
「オスカー、早いね」
「レジー!お前の席はいつもの場所だ!悪いな坊ちゃん、レジーには定位置がある。俺の隣って言うな」
「何だと?そんなのいつ誰が決めた!…それから坊ちゃんって言うな!俺はオスカーだ!オスカーって呼べ!」
おっ!オスカーが「近衛隊長ホレイショ・ブランフォードの息子だ!」って言わなくなってる!
ここにきてからの成長ぶりには目を見張るものがあるなぁ…ジーン…これもバイヤードのおかげか…
けど…
「悪いけど二人とも、僕は今日キングのたてがみを堪能するっていう使命があってね。二人で飲みなよ」
ふっふっふっ、今日の僕は右手にライオン♂左手にトラ♂、目の前にはチーター♂って言う…、獣人じゃなければ成し得ない、四方を肉食獣に囲まれるという、あ、後ろトイプーだけど、とにかく暴挙に出るつもりなのだ。
何故なら今日は鬼のディフェンス、ヴォルフがランカスターに行ってて居ないから。
あ、因みにうちの熊さんはもうすこし童謡寄りだから。なにしろ好物どんぐりだし。
「さ、最強トリオ…、ふぉぉぉぉ!…カッコいい…」
「ははは、満足かレジー?」
「そりゃもう、このたてがみといい、二人の顔の文様と言い…へー、文様部分だけ毛になってる…触ってもいい?」
「いいぞ。さあ今のうちに触れ。ヴォルフが居るとうるさいからな」
「ホントにあいつは嫉妬深い奴だ」
「楽しそうだね」そうかけられた声は宵闇にあって尚も優雅なセザールだ。隣にはヴィラの専属メイドであるクラリスがまるで従者の様に付き従っている。
「後で殿下とローランドも来るそうだよ」
「えっ!」
嘘だろ?あの二人が獣人に混ざって飲めや騒げやだと…?どうして知って…、さてはオスカーだな!なんでもかんでも言うんじゃありません!
「仕方ない、上座を作るか…。ちょっとそこ空けて」
だけどやってきたアルバートは上座に留まらず、ご機嫌でヒョウ♀やカラカル♀やサーバル♀に囲まれている。ナニコレ…?
「この国のキングの息子だろう?もてなすよう言ったのだ」
「キング、なにその気配り…でも彼まだ未成年だから気持ちだけもらっとくね」
あっ、そう言えば…
「ねぇオスカー、ローランド。学院に戻ってからなんだけど…」
僕はすっかり打ち解けた(?)二人にニコから言われたことを伝えていく。
パーカーはエバの劣化版みたいなもの、もしかしたら麻薬についても何かを知っているかもしれない。気をつけて見ていて欲しい、と言う事を。
「そういう事ならセザールも含め全員で眼を光らせておこう」
「で?何かあったらどうすればいい?王都で解決すればいいのか?」
仕方ない…。話がこうまで入り組んだ以上、何某かの連絡ツールは必要だろう。
「テッテレー!『糸電話』!オスカーにはこれを渡しておく」
「何だこれ?」
説明しよう。これはSSクラスの時空間ダンジョン、そう、『ワープゲート』や『マジックバック』なんかも手に入れた『時のダンジョン』の中級で落ちる連絡用アイテムである。
同じ魔法属性の者同士が受話器から10センチくらい繋がったコードに魔力を通すと相手と話せるっていう、電話の無いこの世界では取って置きの優れモノだ。蛇足だが呼び出し音は黒電話のベル音である。
言っておくがSSとかSSSクラスのダンジョンに来るものなど殆ど居ない。
居たとして中級より上を命を落とさず踏破できる者など…、つまりこれらのアイテムは実質僕が独り占めしている状態である。ドヤァッ!
ワナワナ…「何故オスカーなのだ!学院内のことなら生徒会役員である私に言うのが当然じゃないのか!」
「…代表で渡しただけじゃん。誰でも使えばいいよ。なんかローランドって水属性超えて氷だよね。油断すると凍傷になる。いっそ氷属性極めたら?」
「私の属性を知っていたのか…」
「…あ…、はい」
まぁ…ゲームでね。
「ならレジーは何属性なんだ。炎も水もってお前…、まさか土と風も…」
「…てへ☆」
「マジかよ…」
「じゃぁ僕とも話せるんだ。嬉しいな」
「属性風ってセザールにピッタリだよね。たおやかで」
「では光属性の私だけが君と話せないのか…、実に残念だ」
「いやーほんとに残念ダナー。アルバートともお話しできたら良かったのニナー」
後ろから感じるウィルの視線。ウィルとコリンは僕が嘘ついた時の癖よく知ってるんだよね…
けど本能が叫ぶんだよ。アルバートには通話可能なこと知られちゃいけないって…ね…
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




