65 15歳 at 未開のダンジョン
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
心ばかりのお詫びとしてローランドとパーヴェルを屋敷のディナーへと招待することにした。
シュバルツも居るからある意味ちょうどいい。日頃の労をねぎらっておこうかと思う。
それにしても…、パーヴェルと居るローランドは終始穏やかかつ知的で、時折少年らしさを覗かせたりなんかして…、もしかしたらこれが本編『恋バト』時のローランドなのかもしれない…
さて、そんなこんなで夕食も終わりシュバルツ兄弟がローランドを送っていった訳だが…
ここは王都の下町教会、修道院内の一室である。
「ニコ、ここも良いけどむしろウエストエンドに来てくれない?実践こみで教えなきゃ分かんないでしょ」
「望むところよ」
「あれ?乗り気?」
「ウエストエンドにはシャリムが居るじゃない。会わせてくれるんでしょ?」
「まあね。アシスタントも必要だし…」
「ほら!早く行くわよ!」
そんなやりとりを経て今現在ニコは僕の部屋だ。
『ワープゲート』どころか『近道の鍵』まで手に入れていると言ったら呆れてたけどね。
「シャリムを呼び出す前に聞かせてくれない?ウィルとコリンってゲームには出てきてないの?渋い執事は後ろに控えてるって言ってたよね?」
「ウィルとコリン…、えっ!あの二人もしかして生きてるの⁉」
「生きてるの?って…、まさか……い、生きてないの?」
「だってあの二人こそが『恋バト』本編でランカスターの嫡男を闇落ちさせるきっかけだもの。知らないの?」
「あー、なんかあったような…、ほら、僕本編のシナリオ部分は流してたから…」
「まあでもしょうがないか。極悪令息パーカーと継母エバの会話部分にサラっと出てきただけだから」
「読まなくても困らない部分でしょ?じゃぁ間違いなくスゴイ勢いでタップしてる」
ニコが言うには、ランカスター邸へ引き取られた庶子のコリンと兄ウィルの二人。彼らは本邸の一室に軟禁されていたランカスターの嫡男へ食事を運ぶ役目だったらしい。
本編内の嫡男が交流を持った初めての相手、それがこの二人だ。
特に同い年のウィルは唯一友達とも呼べる存在で…、その二人がエヴァの苛烈な折檻によって幼い命を散らした時、嫡男の心はポッキリ折れたのだとか。
「後はレジー君も知ってるでしょ?彼は世界に心を閉ざしたままエヴァに食い物にされて、攻略に来た聖女によって漸く救われるってわけ」
「攻略って…、身も蓋もないな…」
「とにかく、それが隠しルートの背景よ」
ってことは僕はウィルとコリンの生存も守ったのか…。あ、危な…っ!
「ねぇねぇ、ウィルってどんな子?」
「トイプー。ヴォルフの舎弟。ちょっと待ってて、シャリム連れて来る。あっ!ここから絶対出ないでよ!年頃の当主の部屋にうら若き乙女が居るってバレたら大騒ぎになるから!」
「そうよね。ふしだらって大問題よね」
「いいや!ジェイコブ辺りがお世継ぎーって騒ぎそう。そのまま話まとまりそうだから生涯未婚の女神官になるまでジェイコブには絶対秘密ね!」
「そ、そう…」
中身大人のニコに不安はない。相当危機回避能力には長けてそうだし、事故以外。あ、ここ笑うところね。
「お待たせ。ニコ、彼がシャリムだよ」
「イソヒヨドリ…、これ…なに?」
「きゃぁぁぁぁ!シャリm、もがっ!」
「シー!静かに!」
煩悩駄々洩れかっ!
「女…、イソヒヨドリ、どういう事…?」ユラリ…
「あー、あのねぇ、彼女は今度このウエストエンドへ女神官として着任予定の女性で…、シャリムのファンなんだって。会いたいって言うから」
「ふぁん?何?分からない…」
「いやあぁぁん!生シャリムとランカスター公が…、あっ、あっ、あのあたしのことは気にしないで!あたしは二人がそうやって話してるだけで満足だから。でも出来たらもう少し距離が近いと嬉しいかも」
剣呑なシャリムの醸し出す空気が能天気な腐のオーラに上書きされる。すごいなニコ…
「礼二君、シャリムに抱きついてみない?」
「何!」
こ、こいつはっ!
だがしかし…、いまここでレアキャラである聖女のご機嫌を損ねる訳にはいかない!
神殿を建て、『試練』を受け、正式に女神官として国王と大神官より着任令を受けるまではいつ気が変わるとも知れないのだ…
「…ふぅん…。僕とイソヒヨドリの…?いい趣味だね…。でも敵じゃない…」
ぎょぎょっ!シャリムってばこんな一瞬で何が分かったって?
す、すごいな。…前から思ってたけど何この異様な勘の良さ。
「あれ?もう目覚めてるんだ。なら話は早いわね。あたしはこのルートで行くから!分かる?」
「分かった…」
「ニコ…、なんの話?」
「ううん、なんでもない」
「イソヒヨドリには関係ない」
よ、よくわからないうちに打ち解けたみたいだ…。気難しいシャリムにニコを会わせるのには不安があったけど杞憂に終わったようだ。
と、まぁ、こんな感じで軽く人気の無い未発見のダンジョンに場所を移して、と言ってもダンジョン内には入って無いけど、とにかくニコに実演交えて裏技指導。さすが腐ってもゲーマー。あいや、聖女。覚えが早い。
「いい?ここはこんな感じで左からくるから三秒溜めて右の岩陰に煙が上がったタイミングで『聖なる鉄槌』を振り下ろす。メモった?」
「オッケー。これがマップ2-1と。えーと4-4まであるんだっけ?」
「そうそう。合計16戦ね。己の治癒力と浄化力でセルフケアしながらクリアー報酬とレベルアップを同時進行するって言うね」
「クリアーすると聖女の称号を手に入れるためのマップが手に入るんだったわよね?」
「うん。けどそれは聖魔力をゲットしてないと落ちない報酬だから。つまりここでは聖魔力の持ち主であるニコにしか見えないマップって事ね。だから余計なこと言わなくていい。あ、因みに僕は暗記してるけど」
「そうでしょうよ」
「じゃぁ次は邪神に捕まった時の解除の仕方やるから見ててね。シャリム手伝って」
「…イソヒヨドリを捕まえればいいの…?」
「うんそう。あっ!シャリム!ちょ、やめ、くすぐったい!変なとこさわ、あははは!」
な、なんかモヤが絡みついて、み、身動きが…。なんだこれっ!ええい!強制解除!
「だー!!」ブチブチッ!「ニコ!変な魔法飛ばすのヤメテよね!分かってるんだからね!そのニヤニヤした顔みれば!」
「あたしは何も…、あっ!あーあー、ゴメン。あたしあたし、ちょっとふざけた」
油断も隙もないんだから!
なんだかんだで4-4までの攻略ポイントを伝授した後、彼女をいったん王都の部屋まで送ると僕はシャリムに向き直った。
シャリムはヴォルフと一緒にランカスターを探ってたはず。ならシャリムもランカスターの異変は知っているはずだ。
「確認したいんだけどランカスターで今何が起こってるの?」
「ゲスマンの屋敷に居たあの女とよく似たイヤな女が…」
「エバ、父の後添えね」
「ヘンな薬を手にしてた…」
「ヘンな薬…?」
「それを飲むとみんな寝なくなる…元気になる…」
「強壮剤…?…違う。まさか…」
「そのまさかだ。レジナルド、あれは禁忌の麻薬、『クーザ』だ」
窓から現れたのは獣化中のヴォルフ。孤高の白狼、僕の頼れる相棒!
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




