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56 15歳 crossing アルバート

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


弱音など一言たりとも吐かせるものか!

いいからさっさと帰って王都でこのウエストエンドの歩く広告塔となるがいい!


…となれば少しはプレゼンが必要かな…?



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愁いを含んだ瞳で大空を見つめるレジナルド…


なのに彼は苦労など感じないと強がるのだ。これらは全て未来の為、己のすべきことなのだと、そう眩しそうに空を見上げて…


「真っ暗な森を独りで…、どれほど願いをささげた事か…」


そうとも。彼はいつでも独りだった。

彼の手を引く母には先立たれ、彼を厭う父親はどこからか後添いを連れ込んでいる。

社交界に出向く事は出来ず屋敷を離れることも出来ず、お付きの使用人だけを話し相手に彼は幼少期を過ごしてきた。


その彼が捧げる願い…、胸が締め付けられる…



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「重圧…ありませんよ。ええ全く。僕は自分の夢を叶えるためにここまで頑張って来たんです。狂魔力…なんて言い訳でしかありません。全てはいつだって自分次第です」



そう本当に。

狂魔力なんて不自然を自然と言い張り誤魔化すための便利な言い訳でしかない。全ては上限解放されたレベル次第だ。



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「!」


横っ面を張られた気分だ…!


言い訳…、そうか。彼は狂魔力を言い訳にして己の運命さだめから逃げ出したりはしないと、そう言うのだな。どう生きるか…。それは自分次第なのだと…



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「見て下さいこの街を!スゴイと思いませんか?僕は僕だけの街が欲しかった。生まれた時からずっとです。そしてようやく手に入れた。頼りになる領民もいっぱい増えた。しいて言うならそれが背負ったものかな?…のように簡単に壊せないから…、けどそれを重圧と思ったことはありません。実際…外から見てた時よりこうして触れ合って顔を見て話せる今の方がずっと楽しい!」


画面越しに街を作ってた時よりずっと…ね。

視聴者はいろんな感想をくれたりはするけど共同作業者じゃないからね。ここに暮らす彼らとは違う。

もちろんそこに多大なる責任は感じるよ?ゲームのように上手くいかないから壊して作り直し、って訳にはいかないからね。

けど、こうしてみんなで街の発展を手に手をとって一緒に喜べる、それは何より嬉しいことだ。



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切々と訴える哀しい想い。「僕だけの街が欲しかった」それは誰も彼を厭うことない場所が欲しかったと言う意味に他ならない。

「…のように簡単に壊せないから…」言いよどんだ言葉は代々の継承者のような真似はしたくないと言う意味だろう…。心優しき人だ…


外から眺めるしか出来なかった他者との触れ合い…、それを手に入れた彼のあの無邪気な笑顔が目に焼き付いて離れない…。そして彼が手に出来なかった()()を持つ私を見上げる、どことなく歪んだあの笑顔も…。



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「ねぇ殿下。何かを背負えるというのは幸せなことですよね。だって彼らが居なければここは街として成り立たないんだから。僕が領主で居られるのは領民が居るから。僕が今作ってるのは張りぼてじゃない!ね、そうでしょ?」

「…君の言う通りだ…」


「…人は城、人は石垣、人は堀…」


「何だいそれは…?」


「僕の大好きな言葉ですよ。そしてね、この言葉はこう続くんです。情けは味方、仇は敵なり。分かりますか?ここを護るのも彼らならここを壊すのも彼ら。だからこそ彼らの住むここを良い場所にしなければならない…それが僕の背負うものです。ここをもっと栄えさせて、彼らをもっと豊かにして、いろんな施設を充実させて、それから文化を向上させて…」


「途方もなく大変なことだ…」


「だけど全部思ったように出来るんですよ?自分の好きなように!理想の街が一から作れる、こんな楽しいことってありますか!僕はここを仁の街にするって決めたんです。ねぇセザール、僕そう言ったよね!」


「確かにそう言っていたね…」

「仁の街…か…」


ゲーム内の街とは違う。ここには自由意志を持った住人が居る。

彼らが当たり前に思いやりを持てるそんな街…、それが僕の目指す街だ。

そのためにならプレッシャーなんて心地良い刺激、言うなれば指圧!明日への活力みたいなものじゃないか!



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「レジナルド…。私は…、私は皆の期待が高まるたびに同じだけ不安を感じてきた。果たして私にこの国を背負って立つことは出来るのかと。城下へ降りるたび湧き上がる歓呼、あれらは私がこの国をさらなる安穏と繁栄へ導くと信じてのものだ。だが私にそれが本当に可能なのか…、皆が満足できる国へと導いていくことが果たして私に…」



私の目から見て、王であられる父上は国を治めるに十分相応しいお方だ。それでも国は幾つもの問題を抱えている。有能な父の側近たちがあれほど脇を固めていてもそういった事は起こり得るのだ。


ならば私ごときが皆を幻滅させることなく国を治めていけるだろうか…、日夜押し寄せる不安。それらを紛らすかのように私は学院を抜け出し何度となく下町へと足を向けた。


そこでの私は家柄の良い学生でしかない。身分を踏まえながらも王子であれば決して聞くことのない歯に衣消せぬ言葉、なんの期待も込められない只人を見る目、それらに私は安らいだのだ。


だが同時に見えるものもある…


彼らが何故次代の王に期待をかけるか…、そうとも。彼らは王国の火種にいつでも不安を抱えているのだ。たとえ今は良くとも来年は?そしてその翌年は?


相反する二つの感情。この重責から逃げ出してしまいたい。だが彼らのため国務の中枢へ身を投じたいとも。


そんな私の混乱する想いを理解し共有してくれるのが将来の側近、幼馴染のローランド。

彼の勧めに従いこのウエストエンドへ保養と言う名の視察に出向いたのはほんの気まぐれ。外界から隔絶された地。何かの気晴らしになれば…と。



だがそこに居たのは得も言われぬ美しさと残酷な運命を背負った少年、狂魔力の継承者、レジナルド・ランカスターだ。


この二週間彼の姿を追い続けた。領民へ見せる顔、そして私にだけ閉ざされた心。その真意を今初めて彼は口にしたのだ。


ああ…、私は何と驕り高ぶった愚か者であったのか…


「何かを背負えるというのは幸せなことですよね。だって彼らが居なければここは街として成り立たないんだから。僕が領主で居られるのは領民が居るから。ね、そうでしょ?」


そんな風に思えるのは彼が何も手に出来なかったからだ。

彼は公爵家の嫡男として…、いや、それどころか彼はわずかとはいえ王家の血を引く者でありながら、なのに全てを諦めるしかなかった。狂魔力の継承者が故に!


ああ!全てを与えられ享受できる私が何という腑抜けたことを!

私が王子でいられるのは王国民が居るからではないか!


「理想の街が一から作れる、こんな楽しいことってありますか!」


少し頬を染めながら無邪気に発せられた彼の言葉が胸に刺さる…



「…果たして私に出来るのか、と。だが今ここに誓おう。もう惑わない。進むべき道が見えたのでね。君がここに仁の街を作ると言うなら私は仁の国を作って見せよう。そのために私は何をすべきか…。ローランド、共に考えてくれるだろうか?」


「もちろんですアルバート!」


「感謝するレジナルド。君はまさに私の〝ラビエル”だ。ここに来たのは天啓であった」



----------------------------


お、おう…





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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