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53 15歳 in 強化のダンジョン

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「…ここが強化のダンジョン…」


「オスカーも分かってるだろうけどここは上位ランクを狙う冒険者や傭兵なんかがレベルアップのために来るダンジョンだからね」


初級から始まり中級、上級ときて、最後は最難関コースが待っている。因みに最難関コースは英雄クラス、…最低でも団長レベルが四人は居ないと五秒であの世行きってね。


ま、僕は週三で脳死周回してるけど。


「初級コースですらグリーンダンジョンみたいな安全性は皆無だから覚悟して。レベルを上げるためのダンジョンだからね。手加減は無しだ」

「望むところだ!まぁ見てろ!」


「…そう言う事だからここにある防具や防御のアイテム、好きなの選んで身につけて」

「ポーションはもらう。防具は不要だ。そんな弱気な恰好出来ると思うか?」

「あ~あ~、そんな無造作に突っ込んで…」


割れても知らないよ?


「オスカー様、これは弱気とかそう言う問題ではありません。一人の不手際は全員の足を引っ張ることになる。防具を身につけられるがいい」

「お前…名前は?」

「ウエストエンド騎士団のバイヤールです」

「バイヤール、俺の父は王国聖騎士団、近衛隊長のホレイショだ。ホレイショ・ブランフォード。その息子である俺に防具で身を固めろと?」


「ええ」


ずいぶん負けん気強いことだ。

オスカーは気安い良い奴だが、こと剣にかけては天より高いプライドを持っている。それは近衛隊長である父親へのリスペクトがそうさせるのだろう。


「ほっときなってバイヤール。それも含めて勉強だから。バイヤール、オレガリオ、二人には負担掛けるけどごめんね」


「いいえ!レジー様の期待に応えるためでしたら!レジー様の安全は私にお任せください!」


…オスカーを頼むって言ってるでしょうがっ!

相変わらずオレガリオは忠誠心高めだなぁ。落ち着いたバイヤールとは実に対照的。これがランカスター第一と第二の違い…なのか?


「それにしても『強化のダンジョン』に出入りできるこんな便利なアイテムをお持ちとは…」

「えへ☆さ、さぁ行くよ!」


突っ込みは無しの方向で!





「オスカー!後ろ!」

「分かってるって!ちょろいぜ!」


あ~あ~、初級くらいで張り切っちゃって。


それにしても…


先ず初級コースとは言ったものの、正直ここまでの腕前とは思わなかった。得意になるだけのことはあるよね。

けど、目の前の敵しか見えてないんじゃまだまだだね。二人との連携が全然取れてないじゃないか。

こういう部分こそがオスカーに欠けてる部分なんだよね。もう少しだけ行動に対する結果を考えられると良いんだけど…


「なぁ、初級コースじゃ物足りないって。中級に連れてけよ!」

「ダメだよ。オスカーにはまだ早い。う~ん、あと十年くらいは早いかもね」

「何だと!」

「自分を客観視できないうちは中級になんか行ったら命を落とす。少なくとも君の周りに居る人がね」


「どういう意味だよ…」


それを分からせたいんだよ!


「…じゃぁいい、一人で行く!止めるなよ!」

「お、お待ちください!オスカー様!」


「オスカー様!バイヤール!いいんですかレジー様?」

「仕方ないね。後を追おうか」


なーんてね。ここまで全て想定内だ。

確か本編のメインクエストにそんなのがあったはず。オスカーがみんなの制止を振り切って身の程知らずなダンジョンに挑戦するって言うとこから始まるクエストが…

あれはたしかメンバー全員力を合わせて苦難に立ち向かうクエストだったかな?友情値を上げるクエストだったような…違ったかな?


とにかく、この状況ならあのやんちゃ坊主は絶対に中級に向かうと思ったんだよね。

あの鼻っ柱を折るにはこれが一番手っ取り早い。

少々の危険は否めないけど、そこはほら、信頼だよ。バイヤールとオレガリオへの。




「…なんだオークじゃないか。中級って言ってもこんなものか…、はっ!たかが数頭ごとき俺の敵じゃない!」

「馬鹿が!それはブラックオーク!上位種だ!不用意に近づくんじゃない!」


「関係ない!これは父上から頂いたミスリルの剣だ!見てろ!」




大きく反響する斬撃の音。

その時僕が見たのは二つに折れた剣を手に動きを止めたオスカーとそれを庇い前に出たバイヤードの姿。


「お、折れた…、俺の剣が…」

「だから言っただろうが!下がれ!」


「舐めるなよ…なら魔法だ!オークは魔法攻撃に弱いはず!『ファイアーアロー!』」


オスカーばっ…!そんななまくらファイヤーアローが効くもんか!


「ダメだ巨大化する!オレガリオ、バイヤードをカバーだ!」

「はっ!」


言わんこっちゃない。オスカーの火の矢を受けたブラックオークは逆キレをかましバイヤードに襲い掛かった。

そのバイヤードはオスカーをこちらに投げ飛ばし駆け付けたオレガリオと戦闘に入る。うん、綺麗な連携だ!


「…っ!そ、そんな…」

「おっと、流れオークか。瞬殺!」


ふっ、つまらぬものを斬ってしまった…


「お、俺はどうすれば…」


自慢の件を失い呆然とするオスカー。けど大丈夫!想定内だ!


「オスカー!防具も無い君はじっとしてて!オレガリオ!後続が群れで来るよ!」


「お任せください!」

「早いのが一体上がってくる!」

「問題ない!」

「バイヤード!そのアタックで一旦引いて!」


「お、おい!なんでバイヤードを引かせるんだよ!」

「あそこに居るとオレガリオが魔法を放つ邪魔になるんだよっ!」


イケイケ上等のオスカーにはわからないのだろう。余裕のあるバイヤードを引かせる意味が。


「オスカー、戦闘は一人でしてるんじゃない。周りが見え無きゃ足を引っ張るだけだ。バイヤード!」

「はっ!」

「オスカーを頼んだ!」


よーし今度は僕のターン!

で、ここポイントね。


「……を……して…」


ポジションを入れ替える瞬間、僕がしたのはバイヤードへの小さな耳打ち…




「いいオレガリオ?発動するのはファイヤーストームだよ。そうしたら僕が底上げする」

「なるほど、二人の共同作業ですね!では!『ファイアーストーム!』」


「なんかおかし…、まあいい。『ブラスト!』」


これはあれだ。風を送って炎を大きくするってやつだね。キャンプで種火をつける時にもフーフーするでしょ?あれだよあれ。


ちょっとばかり威力がレベチだけど。


「相変わらず見事なものですね」

「オレガリオのファイヤーストームが上出来だからだよ」


超強力火炎放射器状態の炎はあっという間にブラックオークの群れを焼き豚の集団にしてしまった。でも全然美味しそうじゃない。残念。


「まぁいいや。バイヤードそっちに逃げたのは?」

「三体ほど」


「おおっ!アイスニードルか。すごい威力だね」

「いえ、レジナルド様ほどでは…」

「…レジナルド、バイヤードが俺を庇って切られた。ポーションをくれないか…」


「あれ?持って来てなかったっけ?」

「…飛ばされた時全部割れた…」


「だからポケットは止めろってあれほど…ま、いいや。『ヒール』」


バツの悪そうな顔から安堵の表情へと。このわかりやすさは嫌いじゃないよ、オスカー。


「バイヤード、オスカーを守りながらよくやってくれたね」

「任務ですので」


クールだねぇ…

さて、そんな事より本日のお題だ。


「オスカー多くは言わないよ。でも色々学習出来たかな?」


「…ああ…」


「いい?オスカーが強いのはみんな分かってる。だけど戦いの中で一人が勝手に動けばどんな強い隊でも窮地に陥る。普段だってそう。君が勝手をすればそれで困る人がいる。だから冷静に自分自身を知らなきゃいけないし周りを見ることを覚えなくちゃ」


真剣な面持ちで聞き入る彼はふてくされてなければ拗ねてもいない。うん。これならきっと大丈夫だ。


「責任をとるって簡単なことじゃないんだ。そういう事を理解したらオスカーはもっと強くなれる。弱点があることなんて当たり前だし力を合わせて戦う事は逃げじゃない。ウエストエンドがここまで来たのだって、みんなで力を合わせたからなんだよ。僕の狂魔力なんてただのおまけ。それ以上でも以下でもない」


「レジー…」


…誰が愛称で呼んでいいって言った?まったく、どさくさに紛れて…




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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