47 15歳 from 王都
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
漸く高級店舗テナントの店子が決定した。
貴重で珍重、高品質かつ高価格帯のそれらは気軽に手が出せるようなものではない。
だが、それぐらいで腰が引けるようなゲストなど、このウエストエンドにはお呼びでない。
ガチ大富豪の楽園…、それがヴィラ・ド・ラビエル…
だからこそ、店子はこのウエストエンドにふさわしくないとの烙印が押されれば直ちに退去となる、そう言う契約だ。
それはゲストへのサービス、商品品質に限らず、領民への振舞いなども含まれる。
サービスを提供する側受ける側、ウエストエンドが歓迎するのは徳の高い人物だけだ。それは影響力のあるゲストであれば特に強く求められる。
真の貴人として何が相応しい振舞か…、庶民、獣人族を見下すような思い上がった者などここでサービスを受ける資格はない。
他者への敬意を息をするように払える者、ノブレス・オブリージュの根を理解する、そういった品性を持ち合わせた一流の人物だけが一流のもてなし、一流の空間を享受出来得るのだ。
そして記念すべき第一号の宿泊ゲスト、レセプションの招待客は意外にも先方からの、それも絶対に断れない筋からのオファーによって決定した。
この僕が絶対に断れないオファー…、そんなの一つしかない。…つまり…王家だ。
王家の、それも第一王子殿下が是非招待を、とねじ込んできたのだ。
また面倒な…
受け取った書簡の要約はこうだ。
王都でもこの二年話題に上ることの多い噂のウエストエンド、その唯一無二にして過去に例を見ない、比類なき保養地の開業にまさか王家が呼ばれないなんてこと無いよね~?これは強制じゃないよ?お伺いだよ?
との体を取った、まごう事無き強制である。ムカつくな。
だが相手にとって不足は無し。国のトップが太鼓判を押せばそれはいわゆる『王室ご用達』。後は言わなくても分かるよね?
それにゲームを知る僕には嫌と言うほど分っている。
王太子殿下、つまり乙女ゲーの攻略者でもある王子とその側近たちとは、当たり前だけど育成前であっても乙女ゲーにあるまじきゲスではなかった。つまりここに招待する基準はクリアーしてるってこと。
なら目一杯もてなして、何ならヘビーユーザーにでもなってもらってせいぜい鬼リピしてもらうとしますか。
王都からのルートは南の街道。
両サイドにプラタナスを植樹し自然で出来たコリドールは、夏には新緑を、秋には赤や黄色が眼を楽しませる特別仕様。
無償で全部整備したんだから沿道の当主にもなんなら王家にだって、すごーーーく感謝してもらっても罰は当たらないと思うんだけど、どうかな?
今回やって来るのは王子とその親衛隊で計四名。全員もれなくゲームのメインキャラね。
王子と親衛隊と言ってもまだまだ子供。全員十五歳の学生たちだ。
SSRキャラであった僕は彼らと同学年に当たる。…と言っても僕は本編にノータッチ。だって入学が許されてないからね。
いやー、そうか…いよいよ乙女ゲーの開始か…。感慨深い…
そうか…パーカーも学生寮に入ったってことか。
僕には何ひとつ関係ないんだけどね。ま、それは置いといて…
第一王子アルバート・クラレンス殿下、左大臣の息子であるローランド・カニンガム侯爵子息、近衛隊長の息子オスカー・ブランドフォード伯爵子息、そしてウルグレイス神王国からの留学生セザール・ド・デュトワ、ウルグレイス国の侯爵家三男。
何も一度に来なくていいのに…、もうちょっとこう小出しに…って言う訳にはいかないだろうけど。
何だかんだゲームによって、最低限とは言えキャラの背景を知ってる僕には案外チョロイ気がする。
なーに、たった三週間の滞在期間だ。少し長いが彼らの顔をドル箱に見立てて気合で乗り切るしかない!
「レジー様これはここで良いですか?」
「ウィル、君まで駆り出してゴメンね。そうそう。王子殿下には一番大きい部屋にウェルカムドリンクとフルーツを用意して」
「レジー、言われたようにあのデカい岩撤去したぜ。あれでいいのか」
「ばっちり!どうしてもバランスに納得いかなくって。助かるよ」
「レジナルド様、使用人は全員配置についております」
「いつ到着されても問題ございませんわ」
「カール、コーエン夫人、ここまでよく皆を教育してくれたね。君たちの頑張りは僕が一番分かってる。僕は君たちを誇りに思うよ」
「まぁ…なんと嬉しいことを…」
「レジナルド様…感無量でございます」
「坊ちゃま、王子殿下を乗せた馬車群が領門を超えたようですぞ」
「クラウス。先導隊は?」
「一番の美丈夫、アストルフォを筆頭に20名程随行しております」
「さあ全員用意は良いね。お出迎えだ!」
十五台ほど続く馬車群が全て門をくぐり、ここから彼らの過ごす時間は現世と切り離される。
ずらりと並ぶ使用人のアーチを抜けると正面、今日ばかりは僕直々のお出迎えである。
「ようこそお出で下さいました。アルバート第一王子殿下、そしてそのご友人方。どうぞこのヴィラ・ド・ラビエルにて幽玄の時間をお過ごしください」
「…君があの噂のレジナルド・ランカスター…」
えー?王城でどんな噂だったの?やだなぁ…左大臣の仕業?碌なもんじゃない。
「殿下。私はハミルトンの侯爵位を継いでおります。どうかレジナルド・ハミルトンと」
「なんと美しい…」
んー?ああ、この景色が?
「そうでしょう?何も無い荒野から二年の月日をかけてここまでにしてきたのです。どうか隅から隅まで見学していって下さいね」
「案内は君が?」
「え?ええまぁ。お望みなら…」
これが第一王子殿下、アルバートか。メイン攻略対象者らしく、眩いほどキラキラしている。看板に偽りなしだ。
「殿下、アルバート!狂魔力の継承者に案内を頼むなどと…、何かあったらどうする気だ」
「ローランド、水晶での測定でも魔力の制御は確認されている。失礼ではないか」
「分かっている。だが君は王太子だ。用心するに越したことは無いだろう」
おっと、これが石頭、王子の右腕で左大臣の息子、ローランドね。うんうん、確かにこんなキャラだった。
「すまないね。彼は悪い人ではないんだが狂魔力に関しては少し神経質でね」
「理解していますよ。気にしていません。あなたはセザール…でしたね?彼の家系に起きた悲劇は私も聞いています。お気遣いどうも」
「いや…。それにしても何もかもが素晴らしいね。惚れ惚れするよ」
繊細セザールは気配り上手っと。
「もういいだろ。それより早く部屋に案内してくれないか。いくら整備された街道とは言え長い馬車旅で疲れたよ、俺は」
「オスカー…。ふふ」
「な、なんだよ」
「いえ。おっしゃる通りですね。ではこちらへ」
ゲームのメインキャラたちが目の前を動き回る…。これはこれで…いいな!ゲーム、って感じでウキウキする。
ゲーム序盤にでてくるキャラ紹介にあった通りだ。
美形で聡明、特に欠点も無いけど王太子のプレッシャーを内に秘めた第一王子アルバート。
王子の側近候補として道端の石ころまで取り除く、やや過保護な石頭ローランド。
明朗快活、やや自由過ぎるきらいのある剣の腕が自慢のガキ大将オスカー。
そして…、一見チャラ男に見えるが気遣いに長け芸術センスに秀でた繊細くんセザール。
色んな思惑を含んだ八つの眼。先行きが不安だ…
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




