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4 7歳

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


何度も狙われてめんどくさくなった僕は、母が出産まで魔力トラブルに備えて使用していた、敷地の真反対にある別邸へと引っ越しを敢行した。

それに異を唱えられる者などここには居ない。


この別邸にはハミルトン家が寄こした使用人だけが常駐している。

実に快適かつ効率よく、時折挟まれる嫌味やみみっちい暗殺の真似事をちょっとした暮らしの刺激にしながら何事もなく過ぎていく安穏の日々。

実に優雅だ…


そして自力によるレベル上げも頭打ちの中、ついに僕は七歳の誕生日を迎えた。


七歳の誕生日…ついにこの日が…


待ちに待った七歳の誕生日。

どうしてこんなに待ち遠しかったかと言うと、この日から僕は領外へ出ることが許されるからだ。


狂魔力を内包する僕にはその行動に一定の制約がある。

その一つが魔力が安定する七歳までは領外に出られないという事。実際は三歳になる頃にはとっくに安定してたけどね。


そしてもう一つ。僕の学習は領内で行われ、十五歳から貴族なら必ず入学しなければならないはずの魔法学院には入学出来ないという事。


この魔法学院こそが、聖女候補とイケメンたちが恋とバトルを繰り広げる『恋バト』の舞台!

だが狂魔力を危険視されている僕に入学資格はない…。ハブられた…。けどそれこそおあつらえ向き!


僕には密かに計画している野望がある。そのためには魔法学院なんか行ってる暇はない。


レベルなら自分で上がられるし、ゲームをやり込んだ(本編以外)僕は魔法一覧もすべて覚えているし、フルカンストフルコンプになれば、戦闘すら目を瞑っても勝てるほど不可能はほぼ無くなるのだ、どっちみち。


そして最後の一つは…、魔力の最盛期となる二十歳を過ぎたらやっぱり領内から出られないという事。


つまり僕に許された自由は、七歳から二十歳までの十三年しかない。だからこそ僕は、その間に狂魔力を完璧に制御出来ていることを王の前で証明して、何が何でも本物の自由を手に入れなければならない…。何としても!



「グレッグおじ様、誕生日のお祝いですが、僕ハミルトン領の南東にある別荘に行きたいのですが」


その日僕は、誕生日の祝いに駆け付けた叔父様に可愛らしいおねだりをしていた。


「レジー、君はあの別荘の事を知っていたのかい?もしやイザベラから?」


イザベラというのは二年前に亡くなった母の名だ。

五年間の親子期間に顔を合わせたのはぎゅっと濃縮して大体半年分くらいか。

悲しくないといえば噓になるけど号泣するほどでもない。それが正直な気持ちだ。


でもね叔父様、あの別荘のことは彼女に聞いたんじゃないんだよ。ゲームに出てきたんだよ。名前だけだけど…



僕がレベルをカンストするためには絶対最初に行きたい場所。それが『願いの祠』だ。

そしてその祠はハミルトン領の南東にある雑木林を東へ一時間ほど進んだ、隣領、オルコット伯爵領との境目にある天然洞窟の中。

洞窟はどちらの領にも属さない。つまり富士山と一緒だ。その所有権は祠の大元、神殿にある。


『願いの祠』はゲーム内での重要な課金ポイント。

ここでミニゲームをクリアするとランダムでアイテムが落ちるわけだが…、ここがポイント。課金が無いとレア泥確率0.06程度の鬼仕様だが、課金によってその確率は劇的に跳ね上がる。

そのうえ課金の積み上げによってその確率も積み上がる。


つまりここは札束で叩けば、いや、金貨でぶん殴ればレアアイテムが容易に手に入る場所ってわけだ。宝箱一杯の金貨が必要だけどね。


そしてその課金要求の文章はこうだ。


『願いの祠の入り口には献金箱が設置してあります。献金していきますか?神は敬虔な貴方をきっと救済なさるでしょう』


守銭奴な神様だな…でも献金箱があるならそこに金貨を詰めればいい…


そしてイエスをポチると今度は


『いくら献金しますか?』


A・神の慈悲 

B・神の恩恵 

C・神の寵愛 


ホントに守銭奴な神様だな…でもそれなら金貨をどっちゃり詰めこめばいい…


Aから順に課金額は上がっていき、当然泥率も上昇する。つまり神の寵愛コースを続けて行けばいつかはアレが落ちるはず…


そう!僕が何が何でも手に入れたい超便利アイテム、希望のダンジョンへ自由に転移できるようになる『近道の鍵』が!


ハミルトン侯爵に生まれといて良かったよ。

おかげでこの日の為にチマチマ溜めてきた資金は途方もなく潤沢だ。少なくとも献金ごときでビクともしない程度には。



そうしてやってきたハミルトン侯爵領の南東にある豪奢な別荘。

この日の為に用意したのが大量のHP回復ポーションである。

ここのミニゲーには体力意外必要無い。何しろここは重課金者製造ポイントなのだ。難易度は高すぎない。つまり…撒き餌だな。


後は黒のシャツに黒のパンツ、黒の帽子でラベンダー色の髪色を隠して闇夜を待てば…七年ぶりにあのゲームに挑む日が来た!



はー、しかし…魔法で時間短縮が可能とは言え、それでも往復三時間。ロスだよね…でも仕方ない。


真夜中の林を抜けるのは尋常じゃない怖さだ。僕が本物の七才だったらちびっちゃうよ?


ゼェゼェ言いながら到着したのは林の奥に突如あらわれた真っ暗な洞窟。

周囲の鬱蒼とした状態から、長い間人の出入りが無いのであろうことが伝わってくる。


「う~ん…、誰も来ないのか?勿体ない…こんないい場所なのに…」


何も見えない洞窟の中は少し気味が悪い…。けど大丈夫。少し進むと地面は特殊なコケに覆われていて、そこに足を踏み入れると光る仕様だから。


さて、この洞窟の奥に祠がある訳だが、その前にミニゲーをクリアしないとたどり着けない。


ここのゲームはいわゆる落ちゲー、洞窟の上部から落ちてくるスライムをくっつけて消滅させていく割と簡単なゲームだ。

でもリアルだとどうなるか…。普通の戦闘ならスライムとは中にある核を壊してやっつけるのだが…


実際やってみて分かった。

ここでのスライム退治はゲームと同じだ。同じ色同士をこう、ぎゅぅぅぅっと圧着すると勝手に消滅していく仕様。

何も知らないで普通に戦ってると、切られたスライムはむしろ増殖し、そうして増殖したスライムと上から振って来るスライムがどんどん積み上がって…洞窟は埋め尽くされ、やがて窒息する。

地面に散らばる白骨が…ここで何が起きたかを物語っている…ゾゾゾ…


なるほど。そりゃあ冒険者も来ないわけだ。


リアルぷ〇ぷよ、うん、いける。



ぷ〇ぷよを攻略し洞窟を抜け、小さな献金箱に金貨を入れたら祠の中央からぶら下がる鐘を鳴らす。

この鐘こそがガチャの合図だ。さあ何が出るかな…?


これを別荘に宿泊中の三日間、HPを回復しながらひたすら毎夜繰り返すのだが、前夜に入れた献金が次の日にはすっかり消えているのには驚いた。

回収に来ている気配はないからそういう仕様なんだろう。


そうして延べ時間にして十数時間の労力と大きなリュック一杯パンパンに詰め込んだ金貨を全て使い切った時…ようやく出ましたお待ちかね。


レベル爆上げに必要な、これが無いとはじまらないくらい重要なアイテム


『近道の鍵』をついに手に入れた…!





毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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