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28 13歳 day of ウエストエンド

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


その日もいつもと変わらないありきたりな一日が始まる…予定だった。


朝日を浴びながら気持ちよく目覚めてコリンの運んできたお水で顔を洗い、ウィルの手により手早くササっと着替えを済ませ、珍しく朝食を共にしようと三階から降りてきたシャリムと合流し、僕より先にコンサバトリーでくつろいでいたヴォルフの横を通って椅子に腰かけると…



「おめでとうございますレジナルド様!」

「この一年もレジー様にとって素晴らしい年になりますよう」

「わたくしたちメイド一同、心から願っておりますわ」


「ジェイコブこれは…」

「おや?お忘れでしたかレジナルド様。今日は十三の誕生日でございます」

「あっ!」


山高く積まれたメイドや騎士たちからのプレゼント…。気が付いたら僕は十三歳になっていた。


心の籠った手作りの品がこんなにもたくさん…ジーン…

誕生日の事なんてすっかり忘れてた。なにしろ日々忙しかったから。

街の開発もだけど、それ以上に毎夜の日課、SSSダンジョンの鬼周回が…


ああ、だから珍しくシャリムがこんな朝っぱらから降りてきたのか。ヴォルフは通常営業だけど。


「ちょ!ちょっと!シャリム!何当たり前みたいな顔してレジー様の隣に座ってるんですか!そこ退いて!こっち、こっちに座って!」


「イソヒヨドリが良いって言った」

「レジー様はお優しいから…、で、でも君使用人なんだからダメ」

「駄目じゃない」ジロリ


「ひっ!っヴ、ヴォルフさん…」

「止めろシャリム」


スゴイ子分感…

シャリムの動かない瞳がウィルは怖いみたいだ。あの目でじっと見られるといつもヴォルフの後ろに隠れる。


それにしてもイソヒヨドリって…別にいいけど。


「そうか。レジナルドは十三か。まだまだひよっ子だな」

「ヴォルフは若く見えるけどもう五十近いんだっけ?獣人は寿命が人間の倍なんだよね?」

「ふっ、脆弱な人間種とは違うからな」


そうは言うけどヴォルフも獣人の中では若造だからね。


「あの…レジー様。これを」

「ウィルこれは?」

「僕とコリンで編んだ手袋です。右手は僕が、左手はコリンが」

「わぁ、ありがとう!」

「いえ。この手袋みたいにレジー様の身の回りはこれからも僕たち二人が両腕となってお世話いたしますからね」

「ふふ。頼りにしてるよ」


ウィルの忠誠心は日々天元突破している。それを反面教師にコリンが着々とクールになりつつあるのがまたなんとも微笑ましい。


ここのところコリンは「兄さんの挙動がおかしくなったらすぐ僕に言ってくださいね」などと、実にしっかりしてきて、余計に「とっくにおかしいよ」とは言えなかった。まぁ、特に困ってないから良いんだけど。


「イソヒヨドリ、僕も…」

「シャリムまで…あっ!これ黒水晶じゃない?どうやって見つけたの?」


「夜…山に入った。月の光で光ってたから…。イソヒヨドリにあげる」

「シャリム、ヤマネコのビンクスが夜の山でフラフラするなと怒ってたぞ。何かあったらどうする」

「問題ない。闇は僕の友達だから…。イソヒヨドリ、この石は僕の代わり。いつも持ってて」


「きれいだね。キラキラしてる。じゃぁペンダントにでもしようかな。ありがとう」


シャリムはいつも言うんだ。闇夜と明るい昼間、それを繋ぐ明け方に広がるラベンダー色の空。それが僕だって。だから自分にはいつでも僕が必要なんだって。僕が彼と青空を繋ぐ架け橋なんだって。


そりゃぁ僕の髪はラベンダー色だけど大袈裟だと思うんだよね。きっとシャリムは一人でだって明るい大空へ飛びたてるはずなのに。


でもそれで彼が安心するなら側に居るくらいのこと何の問題にもならないけど。



「相変わらずシャリムはマーキングが激しいな」

「マーキング…、やな言い方だなぁ。止めてよね。シャリムの心の傷は深いんだよ。好きにさせてあげよう」

「お前が良いならそれでいいが…。それより今日は街にも出てやれ。黒猫が張り切ってたからな。お前を驚かせるって」


「ヴォルフ…、サプライズが台無しだよ…」



クラッシャーのヴォルフは朝食後どこかへ出かけていった。

獣型になれる彼は、ゲスマンから渡ってきた山の獣たちに情報を貰いながらゴリラのドンキーさんを探してくれているのだ。

一応ヴォルフにも高位のシールドは纏わせ済みだ。万が一の心配は無いだろうけど、国境だけは超えないよう、それはもう強く言い聞かせてある。


…聞いてくれるかは分からないけどね。


でも、「ヴォルフに何かあったら僕暴走しちゃうかも…」って言ったら慌ててたからきっと聞いてくれると思うんだ。



さて、やってきたのは開発地区。本日は休業日。と言うか、僕のお祝いをするために休業日にしたみたいだ。


目の前には子供たちの住む二階建ての集合住宅。

大きな箱を小さな部屋で区切った、水回りとダイニングが共同スタイルのそれは前世の学生マンションみたいな作りだ。

ここに居るのは働き手になる十二歳以上の男の子たち18人。


スラムの孤児でも女の子や幼い子たちは、東から来た移民の夫婦やスラムから来た大人たちが引き取って面倒を見ている。

そしてゲスマンから来た幼い子供はなんと!獣人さんが少しづつ面倒を見てくれているのだ!

相互扶助って美しいよね。


自助努力は大切だけど同じくらい互助も共助も大切なことだ。それで足りない部分はもちろん公助の出番、つまり僕の役目。毎日が責任重大だ。


とは言え…、サプライズの事前情報を得てしまったのは僕の責任じゃないよね…

いいや!こんなところで子供たちをガッカリさせたりしたら領主としての名折れ!僕は立派に驚いて見せる!


「おはようみんな~、えっ?わぁ~、びっくり~!なになに、アーニーこれどうしたの~?」

「レジー、お前まさか…」


お願い…、これで勘弁して…


精一杯飾り付けたお祝いの部屋。それはとても温かなもの。彼らの気持ち、それが嬉しい。


他の方々なんかもお料理を持って入れ代わり立ち代わりやってきたりして、日が暮れるまでワイワイと飲んだり食べたり。


「今日はオオカミが居ないから安心して近づけますなぁ」

「なんで?ヴォルフは狼だけど人に危害なんか加えないよ?」


「危害は加えなくてもお前に近づくと威圧はしてくんだよ。くそオオカミめ…」

「アーニーってばそんなこと言わないの。ヴォルフはアーニーのこと、骨があるって褒めてたよ」

「そういうとこもムカつくんだよ!」


昼間っからエールを口にしたアーニーはほろ酔い気分でいつになく饒舌だ。

僕の隣で気分よく話してたと思ったら…いつの間にか膝に頭を乗せて寝ているじゃないか。


「こいつ…、レジー様の膝になんてことを!」

「レジナルド様、すぐに退かしますのでお待ちください」


「いいよ。このままにしてあげて。アーニーは毎日力仕事で大変なんだから」


僕の青写真を現実にするため毎日くたくたになるまで頑張ってくれてるアーニー。

その姿に、大人の働き手だってもう十分彼をリーダーだって認めてる。


いつもニャーニャーと文句の多いアーニー。でも大事な大事な、僕の相棒アイルー。

彼の為なら膝くらい。アイルー、いつだってこの膝は君のものだよ。


その背後で「あー昨日はごっそり木を切り倒して大変でしたー!」とか、「いやぁ土石の運搬は重かったなー!」とか聞こえてきたけど僕は知ってるからね。


騎士の君たちは魔法が使えるじゃないか…



毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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