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25 12歳 I'm home ウエストエンド

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


さて、キングとヴォルフ、二人の解呪をさくっと終え、ここからは愉快なバーベキューが賑やかに繰り広げられる。


狭い檻に詰め込まれていた獣人の彼ら。先にシャワーをって思わなくもない。

でもみんなお腹が空いて死にそうだって言うもんだから…その言葉が今朝までの状況がどれほど過酷だったかを表わしている。


クラレンス王国は他国に先駆け獣人との融和を目指している。だからと言って誰も彼もが亜人種に友好的なわけじゃない。

実際このクラレンスでだって、迫害されないまでも酷い言葉を投げつけるやつはまだまだ大勢いる。

だからこそ彼らは山中で静かに暮らしていたのだ。


その彼ら獣人族が、気が付けばいつの今にか東の難民たちと意気投合しているじゃないか。

エールの力も借りてだろうが、命の危険を伴う困難、からの解放、それは彼らの距離をグッと縮めたようだ。


そうそう。やっぱこうじゃなきゃ。


子供たちにもようやく事態が呑み込めてきたのだろう。薬師の方々と一緒に笑顔でお肉をほおばっている。


そして僕の右側にはシャリムが居て左側にはヴォルフが居る。そして背後に控える四人の騎士。

なんかプレッシャーを感じる…


「ロジェたちも座って食べたら?そんなに見られてたら食べにくいよ」


「いえレジー様。我々のことはお構いなく」

「なにもレジナルド様が取りわけなくとも…」

「隣になど俺でも座ったこと無いのに…」

「ヴォルフ!お前近づきすぎだ!」


「…レジナルド、今度獣化中に背中へ乗せてやろうか」

「ええっ!ホントに?嬉しいっ!どうしたの急に?」

「別に…、ふっ」


「ぐっ…」

「レジー様!なら俺の背中にも!」

「馬鹿かお前は!」


何を張り合ってるんだろう?


けど主との近しさを競うのは臣下にとって当たり前じゃないか。もしかしたらこれは口喧嘩が出来る程度に打ち解けた、っていう事かな?男同士のスキンシップなんてこんなもんだよね。


まぁ狼って言ってもイヌ科だし、ヴォルフはほっといても大丈夫か。


問題は…


「食べてるシャリム?」

「うん…」

「美味しい?」

「…」


こっちだ。


「いっぱい食べてね。君はもっと太らなくっちゃ。食事が終わったらみんなでシャワー浴びようね。あそこは不衛生だったから」


〝シャワー”の言葉にキョトンとするシャリム。シャワーを知らないんだろうか?それなら…


「あそこ臭かったから僕も浴びちゃおっかな。あれ?どうしたのみんな?」


「いえ別に…」

「なんでもないです」

「…ヤッタ…」

「イキテテヨカッタ…」



ロジェの降らせる雨は炎の騎士マラジーとの複合技で温水になっている。サイコー!


僕はマジックバックからコモンダンジョンのコモンアイテム『牛乳石鹸』を取り出してシャリムの髪を洗ってゆく。


この石鹸はどんな頑固な汚れでも必ず落としてくれるという…単なる実用品だ。

実はウエストエンドの屋敷にもかなりの数をストックしてありメイドたちから大変喜ばれている。


奴隷商で一度は洗われたと言う彼だが、それでも落としきれなかったであろうこびりついた十五年の汚れ。

それが流れて行くにつれ綺麗な赤みがかった茶色の髪が蘇る。あは、髪の色までクーと同じだ。

 

「気持ちいい?」

「…気持ちいい…」

「シャツも脱いじゃって。背中も洗ってあげる」

「でも…」

「いいからいいから」


うっすら浅黒い彼の肌。それは『牛乳石鹸』によって玉の肌へと生まれ変わった。


「じゃあ今度は僕も…つっ!石鹸が眼に!」

「どら見せて見ろ。仕方ない舐めてやる」ベロッ


「ヴォルフちょっと!あ、うわっ!」



…ロジェってば加減を間違えたかな?いきなりスコールみたいな豪雨になったんだけど…


「す、すみませんレジナルド様…」

「良いよ。おかげで石鹸も全部流れたし。ダノワ。風頂戴ー!」


温風で全身が温まったからだろか?その場にいるみんなの顔は赤く染まっていた。



さて、キングとは一旦お別れとなる。

ここは獣人の里近く。彼は里へ戻り残った獣人を引き連れ昔のねぐらへと戻ってくる予定だ。


「いい?奴らが来る前に里を空っぽにしないと駄目だよ。生活に必要なものがあれば向こうで僕が揃えるから人を集めたらすぐに里を出て。どうせ奴らはハミルトンの国境までは超えられないんだから。ましてやウエストエンドになんか…、分かった?」


「ああ了解した。お前の好意を無駄にはしない」


「一応キングには高位のシールドをかけておく。じゃぁ気を付けて。待ってるからねー!」



こうして59人マイナス1名の58人は一路ウエストエンドへ。



流石に二度目ともなると御者も領門を超えお屋敷前まで送ってくれる。この人数じゃいちいち乗り換えも面倒だもん、助かったよ。


「ウィル!迎えに出てくれたの?」


「レジー様!うぅ…よ、よくぞご無事で…。あの野蛮なゲスマン皇国でどんな危険に身を置いているかと思うともう心配で心配で…」

「ありがとう。でも何にも問題ないよ。えっと…山がはげたくらい…。ウィルは心配性だなぁ」

「だって1か月と8日と9時間20分も居なかったんですよ!心配するに決まってるじゃないですか!」


ウィルがどんどん細かくなっていく…。測量とかさせてるせいかな?


「遅えよ!いつまで留守にしてんだ!ガキどもみんな淋しがってんだからな!」

「アーニー…、もしかして君も淋しかったの?」

「ばっ、バカ言え!」


「ウソウソ、遅くなってごめんね。それよりアーニー、この子達お願いできる?ウィルと手分けして仮宿舎まで連れて行って。僕も後で顔出すから」


「ワンコロと何しろって?」

「何で野良猫なんかと…」


気が合ってるんだか合わないんだか…


「なんだよこいつら。どうしたんだ」

「この子達は奴隷商に居た子供たちだよ。口減らしや借金のかたに売られたんだ。スラムの子と境遇は同じ。だからアーニーにお願いするの。僕は君を信頼してるから」


「奴隷商…そうか…」

「野蛮な国…」


アーニーはそれ以上何も言わなかった。同じく神妙な顔をしたウィルと一緒に子供たちを誘導し…、アーニー?


「お前の横にいるそいつはなんだよ」

「あ、えっと」

「何手ぇ繋いでんだよ!」

「いいじゃん別に」

「良くねえよ!」


目ざとくシャリムに気付いたアーニーはいちいち文句が多い。


「シャリムも似たような境遇でね…でももっとひどくて…。訳アリだから屋敷に連れてくよ」

「ところでどうしてレジー様の馬に騎乗してたんです?」

「帰路の途中からシャリムが僕から離れなくなっちゃって…」


「へ、へぇー…」ピクピク…

「んじゃ、そっちの白い犬は?」


「俺を犬呼ばわりだと?どちらが上か分からせてやろうか」

「なっ!」

「アーニー、ヴォルフは狼だよ。ケンカしないで仲良くしてね」

「出来ねぇよ」


さて。彼らにはどこで何をしてもらおうか。


「クラウス!」

「はっ!」

「とりあえず獣人族と難民の方々は騎士団に任せたよ。いつもの三つ」

「衣食住ですな」


「ジェイコブ!」

「はっ!」

「薬師の先生方を頼んだよ」

「畏まりました」


薬師の先生たちには専用の建物を建てそこに薬局を開いてもらう計画だ。ここは随時拡張予定。

なにしろ薬師は薬師であって医者じゃない。お医者様を手に入れ次第、ここは病院へと進化させるつもりでいる。


その後四日ほど遅れてキングと残った獣人50名程がこのウエストエンドへ合流した。


くまさんは大きいし、レッサーパンダやアライグマの可愛さには天にも昇る気持ちだ。僕のケモナー魂が爆発したのは言うまでもない。


彼らを合わせてかなりの数になった獣人の方々だけどね。

山に住みたいものは山中に小屋を建て、平地に住みたいものは各々好きなエリアに家を与えた。

力の強いものは主に開発地区に、そうでないものは商業地区、一部農業地区に、だいたいそんな分布かな。


そして山住まいの獣人は今後狩猟と山のパトロールが仕事となる。獣人との共存。ケモナーたる僕の夢見た暮らしだ。


後はアレを建てて、あそこをあーして、そこをこーして…あー!やることがいっぱい!



…領民175名超…




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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