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23 12歳 welcome to クラレンス王国

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


幌馬車の中が静まり返っているのは気のせいなんかじゃない…。ほんとスミマセンでした…


僕の全力『トルネード』は、全員の度肝を抜いてしまった。何だかんだで人間の僕を舐めてた獣人さんたちだったのに…、揃いも揃って尻尾…丸くない?


狂魔力、に見せかけたフルスキルフルカンストの前に人は無力だ…

だけどそんな中にあって、あのオレンジの彼、シャリムだけが相変わらず(くう)を見ている。


彼の瞳が見つめるものは何なのか…

いつの日かそれを知ることは出来るだろうか。



「それにしてもレジナルド様、凄い威力でしたね。あれが本来の『トルネード』ですか」

「馬鹿かロジェ!あんな『トルネード』があるか!あれはレジナルド様の素晴らしい力あってこそ。流石です」


「流石なのは君たちだよ。よくあの暴風に耐えてくれたね。本当に…僕は君たちを誇りに思うよ!」

「レジー様…、なんと光栄な…」

「うぅ…今後もその麗しいお言葉を頂けるよう精進します…」


いやマジで。巻き込まれて飛んでったんじゃないかと本気で心配したからね。多分馬車を守ろうとギリギリまでよせてたからシールドの範囲に入ってたんだろうけど、心底焦ったから…




ゲスマンの山を抜けここから先はクラレンス王国の山となる。そこには前回供をしてくれたあの御者たちが馬車をつけて待っている。総数七台。ん?二台増えてる…だと?


「すんません。通りすがりの難民拾って来やして…」


彼ら14名は前回決心しあぐねていたチェッリ伯爵領の村民だった。儲けもの!




ゲスマンの御者には迷惑料として少しばかり多めの代金を払っておいた。

共に自然の(?)驚異から逃れた仲間ではあるけどここでお別れだ。帰路はハゲ山。その道中はきっと楽だろう。


「さあみんな足枷は外れたね。ここからはクラレンス王国だよ。もう隠れる必要はない。御者さん、前と同じあの河原まで行ってくれる?」


「喜んで!」

「今日はエールも持ってきやしたから!」


キャンプかっ!



ゲスマンと違い空気の澄んだクラレンスの山中に彼らは興味津々だ。あんな薄暗く汚い部屋に居たんだ。思う存分森林浴を楽しんで…って、…あれ?


「獣人の山はクラレンス王国にも面してたよね?どうしてそんなもの珍しそうな…、今から行くウエストエンド近くの山に住んでなかったっけ?」


「あの辺は大昔の縄張りなんだよ。魔物の瘴気が増したからあたしのばあちゃんたちの代でねぐらを変えたんだってさ」

「そっか…、それでなんの痕跡も無かったんだ…」


「だがそのせいで我らの縄張りはゲスマンに近接し奴らの餌食にされてしまったのだ…」

「ライオンさん…」

「キングだ。俺のことはキングと呼べ」

「ライオンキング…」


「お前たちはそんな場所に住んで平気なのか?人間は獣人よりも脆弱なはずだろう?」

「あそこには僕が最大級の封印をかけたから。最大だよ。最大」


さっきの『トルネード』が記憶に新しい彼らは瞬時に得心した。



道すがら聞けば彼らの里にはまだいくらかの仲間が隠れ住んでいるという。

獣人狩りが狙うのは主に見目の良い女獣人か戦闘向きの男獣人。女は愛玩奴隷としてエッチなことをさせ、男は拳闘奴隷として死ぬまで戦わせるのだ。ローマのコロッセオの様に。


そのどちらでもない獣人、アライグマやレッサーパンダ、小型犬とかタヌキとかが残っているとは言うけれど…


「色気の足りないイヌ科ばかりじゃん」


めちゃ可愛いけどね。だから捕まったのはネコ科が多かったのか…。戦闘力も色気も…、ん?


「そう言えば熊とかはいなかったの?」

「奴らは冬眠していて難を逃れた。今頃里を守っているだろうさ」


「山の王ゴリラは…?」

「彼は…前回の獣人狩りで俺たちを守って連れていかれた。以前のキングだ。」


…なるほど。まだ生きていれば買い戻せるだろうか…。いやそれよりも…



「残った仲間もウエストエンドに連れてこよう。今あの檻に獣人奴隷は空っぽだ。温和な獣人だろうがなんだろうがきっと奴らは狩りに来る。傭兵団が…えーと、一人残らず山で失踪…した人手不足のうちに迎えに行かなくちゃ!あいつらが新しい傭兵集めるよりも先に、なるはやで!」


「ははっ!失踪か。あれが失踪とはな!ははは!」


キングは笑い上戸か…。

そんなことはどうでもいい!そうと決まればまずはやるべきは隷属印の解除!



みんなでバーベキューをしたあの河原…。食事の支度は騎士たちと村民に任せて僕は解呪に専念だ。

皇国の上級魔術師…、クラレンスを基準に考えてもけっして生易しい術では無いだろう…。だが策はある。


「ここに『聖乙女の涙』と言う解呪のアイテムがある」


「レジナルド様!それは伝説のアイテムではなかったのですか?」

「王家ですら恐らく所持していないのでは…」

「…本物を見たのは初めてだ…」


「とあるダンジョンで…う~ん…、じゃぁ一番強い騎士だけ一度連れてってあげる」



え…?みんな落ち着いて…、秘密が知りたいのは分かるけど乱闘は止めてー!



「もーこんな時に!帰ってから全員で決めてよね。あそこは生半可では周れないSSSダンジョンなんだから」


「SSS…あったんですね、SSよりも上のダンジョンが…」ゴクリ…


「未知のダンジョン…そこにレジナルド様と…」

「王家すら知らぬダンジョン…二人きり…」

「譲れない…こればかりは…」


あ~あ、SSSって聞いてブツブツ言い始めちゃったよ。腰引けたかな?でも今後あそこは嫌でも脳死周回しなくてはならなくなる。何故なら…


『身代わりの木偶人形』あれだってもう一度落としておきたいし、それより今後大量に必要なのがこの『聖乙女の涙』だ。



「えー、脱線したけどここにスゴイアイテムがある。これはどれほど強力な呪い、つまり呪印でさえも解除してくれる優れものだ。けど僕は残念ながらまだ一つしか持っていない」


「つまり一人しか自由にはなれないという事か…」

「ヴォルフ…、ううん、そうでもない。でも一度に全員は無理だ」


この『聖乙女の涙』は乙女が流した涙の量だけ解呪をする。だけど強力な呪印はたくさんの涙を要するのだ。上級魔術師の隷属を受けた彼らが一体の乙女で全員イケるとは思えない。

例え乙女が彼らの不遇にどれ程号泣しようとも…


「だからね、先に解呪する人を決めておきたい。一人は決まってる。そこの少年だ。君たちも言ったよね。人間は脆弱だから。それからまずは君たちのリーダー、そこから強い順にしようか。間に合わなかった人は少しだけ待ってて。僕頑張るから!」


「強い順…?逆ではないのか。強いものを縛っておいたほうがお前は安心だろうが」


「ヴォルフってば…。僕は君たちを怖がったりしないからいいの。強い人を自由にしてあげた方が弱い獣人さんが安心でしょ?いざとなったら守ってもらえるって。これからレッサーパンダなんかも来るんだし」


「お前…」

「少しは信用してよ。僕は絶対に酷い命令なんかしないってば!」


「ならば解呪するのはキングと…、ふっ、この俺だ!俺が常に目を光らせてやる」


…リンクってばそんなこと言っちゃって。いっつもこうやって傍にいたがるんだから。




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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