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18 12歳 to ゲスマン皇国

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「じゃぁ仕事を割り振って行くよ。みんな集まってー!」


道中のヒールと三度の食事で体力気力を取り戻しつつある彼ら。

このウエストエンドに戸惑いながらも、住民の笑顔と不思議な活気に思いの他早く馴染んでいった。


僕が留守にしていた一か月強。

みんなの頑張りでここには木造のログハウスみたいな建物、レンガで作られた小型のブロックハウスが区画ごとに分けられ規則正しく並んでいる。

これは騎士たちが魔法で木材の切り出し、レンガの生成などを手助けした賜物であり、おかげで思ったよりピッチが早い。上々の仕上がりだ。


主からの称賛は明日の活力なんだろう。

次から次へとその仕事ぶりをアピールにやって来る若騎士たちにほっこりする。

言葉を惜しんで良いことなんか一つもない。僕は自分のボキャブラリーの限界まで彼らを誉めそやしておいた。

それを聞いた彼らは顔を赤くそめ、目の輝きはギンギンと増し、一段と誇りに満ち満ちていた。


その努力の結晶である家屋。

それらは家族、友人単位で一軒づつ割り振り、彼らは既に各戸で暮らしているが、必要なものはまだ山ほどある。


最初に訪れたキャラバンからはジェイコブがごっそり大人買いをしている。

そのかげで商機を感じた商人たちが次から次へと訪れるのに助かっているが…支払い明細を見てびっくりしたよね。


「一組だけ適正価格に適正の上乗せで明細を出した兄弟の行商が居ましたが…」

「それ以外は過剰請求ってことね。分かった。その兄弟は良くしてやって。後は追々切って」


どいつもこいつも…

ぼったくりにもほどがある!今に見てろよ!



「じゃぁね、農作業に従事する人、建築に従事する人、手作業に従事する人を分けようか」


そうして農作業をするものには農地区画の脇に集落を、建築に従事する者は運河沿いの向こう側に家を、手作業に従事する者にはその運河の反対、こちら側に固まってもらった。


これらは今後、町の基本となる集まりだ。

農業地区、開発地区、商業地区、因みに官公庁は今のところお屋敷だ。


そしてさっきから運河運河と言っているのは拡張した用水路のこと。

あの用水路はさらに伸ばして、そのドン突きを南北に延ばしてある。この用水路を上空から見たら漢字の〝土”になっているだろう。

この南北に延ばした運河の最終目標はベルギーのブルージュである。


僕が最初に作った大きなブロックハウスと釜土のある建物は臨時の宿舎と食堂となった。

まだまだ個別に調理の出来る段階じゃないからね。

でもいつの間にか調理の手は、うちのメイドさんから入植者の女性陣へと代わっている。いいね。自助努力は大切なことだ。


開発地区から少し離れた場所には大きな焼き窯を作った。ここでは食器やレンガを焼いたり、冬に備えて炭焼きをしてもらう予定だ。


すると陶工には足の動かないグレッグさんが名乗り出た。「座り仕事なら俺にも出来る」そう言って彼は元気に粘土をこねている。

その補助を願い出たのはスラムでも彼の世話をしていた一人の女性。微笑ましいな。ここにきてからすっかり良い雰囲気だ。


それから片腕の無いムーアさんには朝の六時から夜の二十時まで一時間おきに鐘を鳴らすお役目を引き受けてもらった。

時間の概念はとても大切だからね。


そしてアーニーは…



若くて体力も力もある彼は開発地区のリーダーだ。


スラムから連れてきた元病人の男性や比較的育った子供たちと一緒に、今は開発地区で木材を建築資材へと加工している。

発展中のこのウエストエンドで建材はいくらあっても常に足りない。彼らは大忙しだ。

もちろん今は騎士たちが魔法の補助と監督係で側にいるけどね。人手が増えたらその時はすべて人力に…なるのかな?


「アーニー!どう?ここには慣れた?」

「慣れたけどよ、あんだけ木が並んでちゃ手が足りねぇ。切り出しても切り出しても終わりがねぇ」


要するに人手の問題か…。うーん、こればかりは。


「ごめんね。何とかするからもう少し待っててくれる?あ、そうだ。住居は狭くない?でも子供たちが君と離れたくないって言うから…」

「別に。今はあれで十分だ。けどジー辺りがもうちっとデカくなったら俺は隣の空き家に移り住む。いいだろ?」

「そうだね。じゃぁ空けておくよ」

「そうしたら顔出せよ。お前は俺の飼い主なんだろ?」


「飼い主って…」

「馬鹿言わないでくださいね!レジー様はとぉぉぉってもお忙しいんです!野良猫の相手なんてしてられませんから!あっちいけ!」


「うるせーよ、ワンコロ」

「ワ!…レジー様、こいつ僕のことをワンコロって…ワンコロって…」


「ぷ…」


笑っちゃダメだ笑っちゃ…ウィルがワンコロ…ぷぷ…ピッタリすぎて…


とにかくハッキリしてるのはまだまだ人的資源が全然足りないって事。



彼らが入植してすでに二か月くらいの月日が過ぎた。

まだまだ文化的…とまで言えないにしても衣食住は徐々に整いつつある。

後からきた難民の中には手先の器用な者もいて、木材を組み立てて簡素な家具を作ったり麻糸を編んで小物を作ったりし始めている。


「もともとこういったことが好きだったんでさぁ。子供の頃は父親と一緒になって色んなものを作ったもんですがね…。今のトネッリ伯になってからはそんな余裕もなくて…」

「私も…。編み物をするなんて何年ぶりでしょうかねぇ…。ああ…ここへ来て良かった…」


彼らはウエストエンドへの移住を、どうせ死ぬなら一か八かと、そんな気持ちで決めてくれたのだ。


でも僕は四騎士のあの清廉な佇まいがそれを後押ししたんじゃないかと思ってる。あのキリリとして360度どこからみても正義の騎士!みたいな姿はそれだけで信頼に足るものだ。


もう一回東へ行ってみるか…、そんな風に考えてた矢先、あの善良な行商兄弟、ジョンとバートが何やら耳寄りな情報を運んできた。


「トネッリとチェッリの内乱地区から南に二山超えたゲスマン皇国ですが、あそこには皇帝の許可のもと奴隷商があるんですよ。と言っても大部分は従属印を刻まれた犯罪奴隷か食うに困って自ら奴隷に身を落とした労働奴隷ですけどね」


ゲスマン皇国…、確かゲームのメインクエストに出てきた名前だな。

なんかやたらと好戦的で色々と粗野な国だったような…

そうそう!パーカーが情報売って寝返ったのがこの国だったんじゃなかったっけ?


「ふ~ん。でもその労働奴隷の人達は自分で尊厳と住処や食事を引き換えにしてそこに居るんでしょ?」


ちょっと僕の好みじゃないなぁ…

ウエストエンドの住人条件は〝夢と希望を抱いていること”、だ。


「彼らはそうです。国の認める奴隷商は贅沢言わなきゃそれなりの待遇ですからね。問題はそれ以外の奴隷です」

「それ以外…」


ジョンが言うには、犯罪奴隷の中には冤罪などで嵌められて奴隷落ちした者や親に売られた者とかもいるんだとか。そしてもっと最悪なのは…


国の認可を受けない違法な奴隷商。


「彼らが扱うのは攫って来た獣人たちです。獣人を捕らえては隷属印を刻んで珍しい見世物として売りとばしているのですよ。気の毒な話です。耳や尾がある以外我々と何ら変わらないというのに…」


はぁぁぁぁん!!!


だから西の山中に何の痕跡も無かったのか!おかしいと思ったよ、あそこは獣人の縄張りと隣接してるのに…。ムキー!許せない!


あのモフモフでフカフカな耳や尻尾を持つ偉大なる存在、獣人。その彼らを酷い目に合わせるなんて、たとえお天道様が許してもケモナーの権化、この僕が許さない!


「ジェイコブ!」

「はっ!」


「獣人族を助けに行く!準備を!」

「直ちに!」




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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