163 18歳 for 良い事
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
月に数度のやり取りを経て、およそ三か月後、なんと遂にカメラのプトトタイプが出来上がった。
運んで来たのは僕の紹介でドワーフ兄弟に雇われた宅配のペリカン獣人さん。彼らは最近このウエストエンドにやって来た鳥の獣人で、大変希少な鳥人である。
その背に翼を持つ彼らは大空高く舞い上がる。が、空を飛ぶと言う事は狙われやすいと言う事で、その翼を狙う悪漢から逃れるために彼らは世界の果て、あのエルフの里近くで人目を避け暮らしていたのだとか。
その平和が崩れたのはあのあたり一帯を襲った大規模な磁気変動のせい。その異変は彼らの方向感覚に異常をもたらし、そのため止む無く彼らは新天地を求め旅立つことになったのだとか。
あれ?背中に汗が…
ま、まぁ最終的にここへ来たのは正解だよ正解!こことクーデンホーフ間の領内上空ならどれだけ飛んでも安全だからね。てへ☆
ってことで…
「んー、どれどれ。おおっ!」
最低限の機能ではあるが…出来てる…、ちゃんとカメラになってるよ!それもその場で印画紙に焼き付けるチェキ方式じゃないか!
「思った通りだ…。いやーさすがビフさん。いい仕事するなぁ…」
「ここの魔石は質が良いって興奮してましたよ」
現在彼らはビフさんが僕からのスペシャルオーダーを、ビルさんがナイフや斧と言った日常のものをと各々受け持ち、自慢の腕を振るっている。
日常品とは言えドワーフ印の特注品。一般鍛冶用品とは一味違う。
彼の手によって作成されるナイフは切れ味良し!デザイン、フィット感共に最高品質であり、ついでに斧なんかは一撃で大木を倒す威力の付与付きだ。これらは今後、クーデンホーフ領のシンボルとなること間違いなし。
因みにダマスカス模様の美しい最初の一品はシュバルツにより僕への守り刀として献上された。彼らしい…
「いやー、これは一眼レフまであと少しじゃない?」
「何の話よ礼二くん」
うっかり口にした独り言に反応したのは、定期的に屋敷の礼拝室へやって来る女神官ニコさまだ。
「これ見てよ」
「やだ!チェキじゃない!礼二くん、これ…発売日はいつかしら…」
「試作品としてもらったんだけどね。もう一台頼んであげようか?ほかならぬニコだし」
「さすが盟友よね。お願いするわ」
「今からチェキで遊びに行こうと思ってるんだけど…どうする?」
「行かいでか」
久しぶりの文明の利器に僕とニコはテンション爆上げのまま領内を駆けまわった。
僕は獣人を、ニコはイケメンを、思い思いチェキに収めていく。
「ニコ殿、これは一体…」
「何ですかこれ?」
「ロジェさんダノワさん、これはチェキって言ってね、ホラ、こうして被写体の姿が浮かび上がるの」
「これはすごい…」
「あ、そうだわ。良いこと思いついた。実は今度ランカスター孤児院建て替えの寄付集めをする予定なんだけど…」
「もちろん力になりますが…?」
「何かご用命でも?」
「金貨一枚でご当主様と並んでチェキが撮れる寄付集め会を来週末開くことがたった今決まりました。告知しておいてもらえるかしら」
「そっ!」
「なっ!」
「はー参った参った。うっかり仔パンダに捕まっちゃったよ。もうタイヘン」
「礼二くん鼻の下」
「失礼…、あれ?ロジェとダノワは?」
「あたしからの用事で宿舎へ戻ったわ。それから礼二くん、ちょっとご相談が…」
まったく!
ニコってばホント僕の人権何だと思ってるんだろう…。まあ今回は寄付金集めのためだって言うから協力するけど…
ニコの発案した寄付金集めのチェキ会。それは二部構成で行われる。
一部は当主である僕と並んでチェキを撮る、いわゆる普通のツーショットチェキ会。問題は二部だ。
「僕とあの三人のチェキって…意味不明なんだけど…。本人は入らなくていいの?」
「馬鹿言わないで!いいからいつもの三人にも来るよう言っといて!」
「だから何で?」
「…あ、えーと、あ、そうそう。あの三人は礼二くんの忠実な僕として王都ではすっかり認知されてるのよ」
ああ!例のゲスマンテロの時か。そりゃまあ王家を守った功労者だし?でも僕って…ぷぷ…
「女性方が主君とあの三人が並んだ姿を撮りたがるのは間違いないわ」
「そういうことね。はいはい」
「まあ孤児院の寄付集めって言えばアーニーは来るわよね。シャリム君もあたしが呼べば多分素直に来るだろうし…問題はヴォルフよね。いい?頼んだわよ!」
「はいはい」
「礼二くん、ハイは一回」
「…はい…」
お母さんか!
そしてやって来た翌週末。僕の表情筋は今にも限界を迎えそうだ…。
「ねぇ…ニコ、まだ終わんない?」
「あと数人。それで一部は終わりだから一回休憩入れるわね。二部は一気に行くから時間かからないわよ。頑張って!」
「へーい…」
大部分は宿泊客とあろうことかうちの騎士たち。
「気の毒な子供たちのため」と言われればそうなのか、とも思うけど…二度三度とやってくる同じ顔ぶれ…釈然としない。
この日のために尋常じゃない量のフィルムを発注されたドワーフ兄弟もいい迷惑だろうに。
「あれ?クロヒョウさん!?」
「記念に一枚な。ほら金貨だ」チャリン
「チーターさんも来てくれたの?」
「親の無い子供のためと聞いたからな」チャリン
衝立向こうのヴォルフから威圧オーラを感じる…が、ものともしない二人は流石だ。
わざわざこの日のために予約を取って来てくれた東の宝石商とも一枚パシャリ。さあ一部のラスト!
「ア…、アルバート!!!何故ここに!」
「君が面白い試みをしていると聞いてね…。急いで列車に駆け込んだのだよ」
「い、いやこれは僕じゃなくニコが…」
珍しく負の波動をまき散らすアルバート…
「ちょっと礼二くん。飴が足りてないんじゃない?」コソッ
「そ、そうかもね…」コソッ
笑顔でこちらに近づくアルバート。その目の奥は少しも笑っていない気がする…
「孤児院のための寄付金集めなのだろう?ならば貧民政策に奔走する私が協力することに何の問題がある」
「無いですけど……ワカリマシタ。じゃあ一枚…。あ、ニコ、太っ腹な殿下は金貨5枚寄付だって」
「毎度あり」チャリンチャリン「では殿下。ご希望のポーズはいかがなさいます?」
「決まっている。浮気性のレジーがいくら側夫を持とうが私は正式な夫となる婚約者だ」
嫌味ったらしい…何が言いたいのか…
「レジー、唇にキスを。もちろん君からだ」
「…」
いや良いっちゃ良いんだけど…。ニコの前か…。くっ!ニヤニヤすんな!
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




