162 18歳 let's party ダウンタウン
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
「ここがわしらの工房か!」
「こりゃ凄い!だがわしらが頷かねばどうする気だったのだ」
「そうしたらここを使って領内で育成…とか?」
「馬鹿を言え!わしらと同じことが出来るものか!」
「僕もそう思います。だから探して訊ねたんですよ。こうしてご縁が出来て何よりです。ね、シュバルツ」
「ああ。ドワーフ殿の特殊技術は誰にも模倣など出来まい。こうして来ていただけたこと心より光栄に思う」
「それより聞いた?ドワーフのご先祖が…」
「ああ…。我らエトゥーリアの始祖だとは…言葉にし尽せぬ感動。どうだろう?ぜひ一度食事など共にしたいのだが」
「うむ」
「その招待、受けようぞ」
硬派なドワーフとシュバルツの高い親和性…。思った通りだ。
工房の改善点を話し合うという、ドワーフ兄弟、そしてアーニーを残し屋敷に戻る僕とシュバルツ。
アーニーはこのまま、工房に隣接させたドワーフの家に宿泊するらしい。
そして今頃屋敷にはパウルが来ているはず。実はささやかながらお祝いの晩餐をするんだとか。
まあクラレンス王国王太子であるアルバートの手前、この王国内で大々的に側夫の祝い…って訳にはいかないからね。
ささやかな祝いの晩餐を終えると嬉しそうに、そしていつもより少しおしゃべりなパウルは早々に寝室へと引き上げた。
そしてドワーフ国から帰ったばかりの僕も…気を利かせたシュバルツにより早々部屋へと案内されている。ホントありがたい。
お酒も入り少しばかり饒舌なシュバルツ。こんなシュバルツを見るのは初めてだったりする。つられて僕もなんとなくいい気分。
「貴方と婚縁を繋いだことに一番喜んでいるのはパウルかも知れない。あの子にとってあなたは真実死の淵に現れた天使なのだから。見ただろう?あの弾けんばかりの笑顔を」
「ローランドも居ないのにあんな顔するなんてね…光栄だよ」
「…今回私を奮い立たせたのは主に彼からの助言だ。感謝をせねば…」
「えっ…?」
あのローランドが助言だって?なるほど…
……犯人はお前かーーー!!!
そもそも助言も何も、左大臣の息子であり、アルバートに一番近しいローランドはエトゥーリアの動向、現状だってなんならシュバルツよりも詳しいはずだ!
あの国、しいては社交界がこのクラレンスに砂をかけるとは考えられないことくらい分かっているだろうに、よくもヌケヌケと…
はっ!
思い出されるのはオスカーの言葉。あの時オスカーは何て言った?
父親の態度を軟化させるため、パウルに王太子妃の第二夫君の弟…、という訳の分からない僕との縁戚関係を手に入れようと画策しているとか何とか…
ロ、ローランドォー!!!
第一印象がすべてとは思わない。が、案外侮ってもいけないと僕は心に刻み込んだ。
どうしたって馬の合わない相手は要るものだ。まあ、それでも良い友人だと思ってるよ!
頭を抱えた昨夜から一転、それでも爽やかな目覚めを迎えるのが僕の長所だ。
後はシュバルツに託してようやくのんびりできるかな~…と思ったら、帰路、御者のトムさんから告げられたのは嬉しい報告。
「ドンキーさんがついに嫁を貰いまして」
「ええっ!!!それホント!?」
「ホントですよ」
「アーニー知ってた?」
「あん?いいや」
「子供が出来たのが分かって慌てて式を挙げたんですよ。丁度坊ちゃまがドワーフの国へ行ってる間に」
「お式…」
「ガキ…」
「神殿の女神官様が『天使の泉』まで来て祝詞をあげましてね、サル獣人に囲まれて…それだけですよ。まあ簡単に」
「まあ簡単に」…で、良い訳ない。これは祝宴を開かなくては!
なにしろドンキーさんは一族を庇い、真っ先に捕まり長い間樹海で隷属させられた苦労人。誰よりも幸せになって頂きたい人なのだ。
「アーニー」
「おう」
僕とアーニーは阿吽の呼吸で祝宴の開催を決定した。
「全くお前は落ち着かん奴だな…」
「ヴォルフ…、だって前キングのドンキーさんなんだよ。全獣人あげて祝っても良いくらいだと思うけど?」
「まあ…、ライオンキングも喜んでいたから構わんが…」
あれから五日。今僕たちはダウンタウンにある食堂前のいつもの広場から、南北の運河沿いに並ぶマーケットまでを全開放して祝宴を準備しているところだ。
ヴィラのゲスト…、は流石に来ないだろうけど、その従者や使用人には「ご自由にご参加下さい」と伝えてある。
因みに飲食はフリーだがお祝いの言葉が参加費だ。
「俺の為にこれほど立派な宴を…レジー様感謝する」
「感謝は良いけど…奥さんは?」
「おいマーサ」
「はいあなた」
おおー!異種族婚!
ドンキーさんの奥さんはエトゥーリアからやって来た未亡人…。わーお…いつの間に。
「力強くて頼もしいところに惚れました。戦場で死んだ亭主もそうだったんですよ。泣き暮らす私にこの人は黙って側に居てくれて…優しい人です。」
「代わりになれるとも思わんが…、俺で良ければ彼女を守ってやりたい。そう思ってな」
「あつっ!熱いよ!ねえヴォルフ、いま真夏だっけ?」
「春だな。初夏にもならん」
「ですよね~」
広場でのパーティーは日が暮れてからが本番だ。仔ドンキーの名付け親になることを約束してヴォルフとマーケットを見て歩くことにする。ずいぶん賑やかになったなぁ…
ん?あれは…?チョコンと姿勢良く立つ細長い…
「君たちは…?」
「最近来ました。ミーアキャットの三姉妹です」
「よろしくね。おや?あっちのは?」
「プレーリードッグの三兄弟ですね」
「これまたイイ感じ…」
…猫じゃないキャットと犬じゃないドッグ。かわいいけど紛らわしいな。
「おいレジー。新入りならそこにも居るぞ」
「ネコ、いや、もさもさしてずんぐり…、はい、マヌルいただきましたー。ごちそうさま。モフって良いですか」
「やめとけ。そいつは見た目に反し気性が荒い」
「ちえっ!んん?背中が重い…背後霊…?」
「ナマケモノ夫婦に最近生まれた赤ん坊だ」
「すいませんレジー様、うちの子ってば…」
「おーヨシヨシ…うっ!デフォルトで笑顔…カッ!カワ…」
ああ…ドワーフの村でささくれた心が見る見るうちに癒されていく…
僕の楽園。それが獣人比率の上がり続ける領土、ウエストエンドである。
毎日更新を目指しています。
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




