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159 18歳 Second phase ドワーフの国

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


翌朝目が覚めるとビフさんは相変わらずコワ~い顔で僕のメモ書きを凝視していた。


ちょっとした朝食を用意してくれたビルさんに感謝し、僕もマジックバックからとっておきのビーフジャーキーを取り出し彼らに渡す。


「あっ!俺のジャーキー…」

「お礼ににね」


「これは美味いな!」


「それよりお前、その鞄は…」

「おっ!さすがビフさんお目が高い。その通り。マジックバックです」


「そ、それをどうした!? あれは我らでさえ製作は困難を極めるのだぞ!」

「市場には僅かな数しか出回っていないはずだ!」


「自前ですよ。ダンジョンで落としてきました」

「何!そ、それはどこのダンジョン…」


「さあ食事も終わった事だし、行こうか」


後ろから「場所を教えんかー!」と叫び続けるビフさんを丸太小屋に残し、ビルさんの案内で村を目指して出発した僕達。


急勾配を登り切った先からは、薄暗い山道にも木漏れ日を浴びて春の花々が芽吹き始めている。


ヴォルフに乗った僕、ヤクに乗ったアーニー、ビルさんが乗るのは普通よりもさらに短足なロバ。

もともと無口な種族のドワーフであるビルさん。とは言ってもそれなりに打ち解けた僕らはたわいもない会話を楽しみながらハイキング気分で森林浴を楽しんでいた。清々しいマイナスイオン…


そうしてようやく山を下りると、更に今度は山のふもと沿いに工房の立ち並ぶ道をどんどん進んでいく。

大中小の様々な工房。そしてどの煙突からもモクモクと煙が立ち上っている。



「こ、ここがドワーフの国…」

「ほう…。なかなかのものだ」

「けど工房以外何にもねぇな」


いきなり現れた余所者とオオカミと…ヤクの一団が気になるのか、村人が次から次へと工房から出て来ては胡散臭げに見るけど決して誰も近づかない。


「視線が全身に刺さって痛い」

「お前慣れてんだろ?」

「種類が違う」


ここは山脈と山脈に挟まれた盆地とは言えかなりの高地。恐らく冬場なら雪で歩を進めることは出来なかっただろう。今だって春だというのにかなり肌寒い。

けど今感じる悪寒はそれとは別のもの。敵か味方か、見定めようとする用心深さがそこにはある。



「ついたぞ。そこが集会所だ。村長を連れてくるから少し待ってろ」


はぐれ者のビフとビルは随分興味深く話を聞いてくれたけど…あの様子じゃ前途多難…かな?



村長と呼ばれた見るからに高齢なドワーフは白髪の髭を撫でながら二言三言、ビルさんに文句を言った。


余所者を安易に入れるな、要するにそういう事だが、ビフさんの乱暴な所業を聞いた彼は「あれはどうしようもない奴だ…」と仕方なく僕の話を聞くことにしたようだ。

「ドワーフが言葉も通じぬ野蛮な民と思われてはかなわん」とは村長の弁。これぞまさに怪我の光明。



「ううむ…、この紙切れ一枚でこの様な複雑極まりない品を作れとは…、無理に決まっておるわい」


「ええっ!どうしてですか?ビフさんは不可能じゃないって…」


メモ書きを見るが早いか村長はすぐにその紙を僕に突き返した。



「ビフのいう事なんぞを鵜呑みにすると痛い目を見るぞ。」

「そんなことは…」


「あれはいつもそうだ。思い付きで大口をたたいては他の職人に無理難題を吹っ掛けよる。それが出来ぬと今度は頭ごなしに罵倒しおって…一体何様のつもりじゃ!」


「すまん村長…。だがあれでも腕だけは確かなのだ。なんとか許してやってくれんか」

「許してはおらんが認めてはおる。だからこそ石も分けてやるし出来上がった品も売ってやっておるではないか」

「そうだが…、村に戻ってはならんか?」


「二度と揉め事を起さんと誓えるか?魔石も何もかも独り占めしおって…」

「あの時のことか…。ビフは身分証に浮かび上がる映像の精度を上げたかっただけなのだ。だが結果として映像は鮮明になった。そうだろう?」


えっ?関所のあれってここに発注してたんだ。驚きの事実。


「それでもじゃ!いくら腕が良くてもあれでは輪を乱すばかり。せめて最低限の節度は弁えさせよ。話はそれからだの。とっととそいつらを連れて山小屋に戻るのじゃな」



理解されない天才。そんな言葉が思い浮かんだ。

だけど…、あの様子を見るにビフさんが改心するとは到底思えない。彼らが村に合流できる日はまだまだ先になるだろう。


と、そこに割り込んだのは妙にビフさんと意気投合していたアーニーである。


「おいじじい。ふざけてんじゃねぇぞ。ロクに見もしねぇで何言ってやがんだ!断るにしたってそれなりの誠意ってもんがあるだろうが!こっちがどれ程遠くから来てるのか分かってんのか!」


「どこから来ようが知った事か。それはお前らの都合だろうが。いいか。わしらはお前らなんぞの依頼を受けんでも十分すぎるほどの金を得ておる。暮らしに困ってはおらん!」


「そうだよアーニー。失礼な事言っちゃダメ!彼らに依頼を受ける義理は無いんだから」


そもそも遠いったって『ワープゲート』で一瞬だったじゃん…


「おい村長。駄目だ無駄だはお前の一存だろう。当人が望んでも拒否するつもりか」


あっ!ヴォルフまで!


「オオカミ何を…」


「他の職人に直接交渉させろ」


「何を馬鹿な…、いやそうだのう…。では表のヤクと引き換えでどうじゃ?ちょうど村の羊が老衰で死んだところでの。ヤクならば代わりにもってこいじゃて。しばらくここに泊まらせてやるから好きにせい」


「はあ?俺のヤ、」

「どーぞどーぞ!うちのヤクがお役に立つなら丁度良かった!」


「ではその間に交渉するがいい。誰も頷かんと思うがの」

「坊主、紹介はわしがしてやろう」


「十分です。ありがとう村長。ありがとうビルさん。あの…少し村の中見てまわったりしてもいいですか?山とか谷とか…、…工房とか」


「…騒ぐでないぞ。職人の邪魔もしてはならん。良いな!」



取り敢えず…第二関門…突破?







毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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