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155 18歳 go to ドワーフ国

アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。


『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。


「ジェイコブ、準備は出来てる?」


「出来てはおりますが…、その前に一度エルフの山へいらしてください。副支配人がそう申しております」

「副支配人が?」


「いつもの、でございます」

「ああ、エルダーか」



東の山に出現した伝説の妖精であるエルフの出没スポット。

それはウエストエンドどころかクラレンス、ウルグレイスまでをも含めて、彼らの度肝を抜くセンセーショナルな事態となった。


エルフの彼らはヴィラの宿泊客と案外楽しそうにやっている。基本的にエルフは大らかで陽気なのだ。…ご機嫌さえ損ねなければね。


だがここの宿泊客たちは『審判の門』により既に選抜の上調教済み。間違っても粗相はしないだろう。

宿泊客はエルフの為にヴィーガン食のフルコース(別料金)を常に用意し、彼らに振舞いもてなしている。いわゆる供物…みたいな?


そんな中、エルダーは決して古木からは離れない。

若いエルフと違ってヴィラの客前に出ることは無いが、こうして月に一~二度僕との面会にやって来る。


なので古木の脇には切り株のテーブルと椅子を二脚用意した。彼の為だけの特別セットだ。


「じゃあちょっと行ってくる。アーニーとヴォルフは夜に来るから居間で待っててもらって」

「ところで坊ちゃま、何故ドワーフ国へ向かうのに夜の出発なのですかな?」


「あそこはエルフの里と同じで真裏に近いからね。時差があるんだよ」

「時差…でございますか」


地球は丸い、と言う概念がまだ薄いこの世界では時差…、と言うのも今一ピンとこないのだろう。


「こっちが昼だとあっちが夜。こっちが夜だと?」

「あちらが昼でございますか」


「そういう事。エルフの隠れ里は幻術で昼夜関係なかったけどね、ドワーフ国は山深い場所とは言え一応普通の国だから。到着時間に気をつけないと」



日が暮れたらいよいよドワーフの国への旅が始まる。今回は二週間から三週間ほど滞在する予定である。


エルフの里では思いがけずのんびりすることになってしまった。が…、ドワーフは偏屈で頑固、エルフとは違う意味で難しいと聞く。平たく言うと…陰k、いいややめておこう。なんにしてもそれほど歓迎されると思えない。


なので淡々とビジネスライクに事を進めるつもりだ。それはそれでやりやすいかもしれない。


そんな事を考えながら、東の山に向かって馬を進める僕の前にはニコニコと微笑むパウルが居た。


「あ…、ごきげんようレジナルド様。先日クーデンホーフに出向かれたとか」

「旅の事前準備にね」


「あの、兄を…、兄を末永くお願いしますねレジナルド様」


ギョ!


「何で知ってんの…」

「カールが馬を飛ばして報告に」


「素早いね…」


シュバルツの求婚からまだ数日だって言うのに…


「えーと、とりあえずしばらく不在にするから詳しくは帰ってからね。それまでは内緒で」

「ふふ。分かりました。気を付けて行ってらしてくださいませ。お帰りお待ちしております。お義兄様」


はうっ!

花の綻ぶ可憐な笑顔。ローランドを義弟と呼ぶまであと少し…





「これ、よそ事を考えながら歩くでない」

「あっ、ようこそエルダー。はいこれお土産」


気が付くと僕は既に東の山中にいた。


「何だこれは」

「イチジクの種だよ。なんとゲスマンの山で手に入れて。こっちには流通してなかったんだけど」

「美味いのか?」


「大人の甘さで美味しい。実はこれ美容と健康にいいからここの目玉にしたかったんだけど…どうしても生育するのにうちでは湿度が足りなくて。でも高温多湿、エルフの里にはピッタリだから。これね、聖なる果実、とか薬果、とか言われてるらしいんだよ」


前世の母情報である。


「そうか。ではありがたくいただこう。それで何を考えていた」


「えっと…明日からの事。二週間ほど留守にするからね」

「そろそろドワーフの里へ行くのか」

「そう。楽しみだよ。山に囲まれた秘境なんでしょ?」


「あそこは山とは言っても岩場の多い鉱山である。道中気をつけよ」

「分かってる」


「では厄除けだ」

「え…?ん…」


あれ以来エルダーはここに来るたび僕にキスをする。誤解しないで欲しい。キス…と言っては語弊がある。これは言って見れば一種の気功。


彼は可愛がる、と言った言葉通りに玄孫みたいな僕を思いっきり可愛がっていて、こうして時々貴重なハイエルフの気を分けてくれるのだ。


するとどうだろう。それはもう身体の隅々がホメオパシーにより癒され、体力は回復し、髪は艶サラ、肌はツルツル、おかげというかなんというか、自分でも分かるくらいにここのところ僕のキュン魔力は三割増しだ。


ただ彼の譲渡は必ず口移しで行われる。それだけが不本意である…


「これでよい。では気を付けていくが良い。奴らは気難しい。我らのようにはいかぬやも知れん」

「心配してくれるの?ありがとう、でも大丈夫。僕にはヴォルフもアーニーも居るから」

「アーニーとやらも混ざり者か?」

「普通の人間だよ。間違いなく。絶対!」


混ざり者はもういい!


「彼は職人だからドワーフと気が合うと思う」

「では一度会わせるがよい」

「戻ったら連れてくるよ」

「うむ。見極めてやろうぞ」


保護者かな?


そんなたわいもない時間を一時間ほど過ごした後、ではまた二週間後…、そう言ってエルダーはエルフの里へと戻っていった。





「さあ夜が更けた。ヴォルフ、アーニー、ドワーフの国へ行く時間だよ」


「やれやれ、次から次へと忙しいことだ」

「俺は楽しみだぜ。初めての外国がドワーフの国か…」


アーニーにとっては初めての旅。『ワープゲート』を前にそりゃもう彼はワクワクと…、ん?


「お待ちください坊ちゃま!」

「ジェイコブ!どうしたの息せき切って!」


「今…、たった今クーデンホーフ領から使いが参りましたが、坊ちゃま、シュバルツ殿の件ご説明を」


ドンッ「アーニー!勝手に『ワープゲート』入っちゃダメだって。あっ!ヴォルフ引っ張らないで!あーあーああーーー行ってきますジェイコブーーー」



さあドワーフの国へ出発だ!




毎日更新を目指しています。

お星さまをぽちっとしていただけると大変大変嬉しいです。作者の励みでございます(;^ω^)


この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)

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