152 18歳 in 執務室
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
最近この〝ヴィラ・ド・ラビエル”は近年まれにみる、向こう一年予約がとれないほどの盛況ぶりだ。
その理由はいくつかある。
まず一つは王太子の婚約者となった僕と既知を得る為にやって来るクラレンスの富裕層たち。
普通なら簡単に言葉も交わせないほど高貴な僕と、このウエストエンドでなら挨拶どころか運が良ければお話しする機会も得られるものだから、みんな我も我もとこぞって予約を入れるのである。って言っても僕は割と不在がちなんだけどね。ごめんね☆
そのため彼らはヴィラよりも『プレミアムリゾート・ラビエル』を利用し、ワンチャン狙って何度も足を運ぶヘビーユーザーになろうとしている。
因みに日頃の行いが悪いとそもそも『審判の門』をくぐれないときて、貴族たちはよりいっそう慈善活動に余念がないし、そして財を持つ富豪たちは近ごろ獣人の雇い入れに前向きなんだとか。
これぞ『ヴィラ・ド・ラビエル』の趣意そのもの!狙いバッチリ!
そして二つ目、単純に年に一度くらいの頻度で保養にやって来る、ヴィラを気に入ったクラレンスの王侯貴族リピーター。
もちろん宿泊先はヴィラである。
そしてそして、ここからが今回の成果である三つ目、それは美容サプリに端を発した裕福なウルグレイスからのお客様。
彼、彼女らは長く続いた戦争を終え今とても娯楽に飢えている。まるでこの十数年の憂さを晴らすかのように保養へとやって来るのだ。
美容目当てでやってくる奥様同士のグループも多い。
長期滞在の彼女たちはプレミアムリゾートでの滞在が中心。そのため女性専用館を拡張することになったのは嬉しい悲鳴だ。あ、悲鳴を上げたのはアーニーね。
そして最後、四つ目が同じウルグレイスからでも目的違い、伝説の妖精エルフを一目、とやって来る王侯貴族中心のVIPたち。
彼らは国の始祖の始祖でもあるエルフを神と同一視して崇めている。そのエルフに会えるかも知れないと聞いて、それはもう何が何でもと来訪を希望しているのだ。
もちろんコテージ一つ一つがエルフ出没ポイントである、東の山に面したヴィラにご滞在だ。
宿泊料は半端なく高いが、エルフの気分次第で一緒に滝で水遊びが出来たりするミラクルタイム付き。妥当な価格である。
するとウルグレイスの貴族に負けてなるかとクラレンスの貴族が予約を取り、それを見てまたウルグレイスの貴族が予約を…以下無限ループ…。ありがたや。
それを皮切りにアッパータウンには商機に目ざとい希望者が殺到し(厳正なオーディション有り)、ダウンタウンでさえもどんどん店が増え、南北の運河沿いはどんどん軒が伸びて、そのうち北のクーデンホーフにまで到達しそうな勢いである。あの…、話盛ってないよ?
そうなるとそれに伴う移住者も増え、つられて入植希望の自由農民も増えるわで…
ようやくこのウエストエンドも領民4000人を射程圏内に納め、うち、宿泊業務、観光業務に携わる領民の数は10分の一を占めている。
ああそうそう、教育を受けた公務員(つまり貴族家の二男以下ね)も順調に増えてるよ。その節はご心配をおかけしました。
さて、僕にはもう一つの業務がある。その名も接待。誰をって?そりゃぁ…あ、電話だ。
「もしもしレジー、私の貧民政策に対する報告は聞いてくれたかい?」
「聞いてますよ。孤児と独居老人対して基金を設立しお金を支給するってやつですよね。あれれ?おかしいな…僕は傷病者もって言いませんでしたっけ?」
「あ、ああ。だがそれはローランドとも相談して無料で治療を受けられる治療院の管轄でうけも」
「では治療後の社会復帰までの骨子を完成させてからもう一度ご連絡くださいね」
「わ、わかった。でもその前に一度会」
「あっ、誰かが呼んでる!ではそういう事で。アルバート頑張って!」ガチャ、ツーツーツー…
危なかった…
アルバートの口からその言葉を言わせてはならない。その言葉とは…〝い・い・こ・と”
…なんだよ良いことって!自分で言ったんだけど…
「坊ちゃま。アーニーが迎えに来ておりますが」
「今行くよ」
「今のは殿下でございますな?」
「そうだね。」
「お会いにならないのですかな?」
「そうだね」
「ではせめて一筆送って差し上げては?男なぞ恋文一つでいくらでも耐えられましょうに。暴走されてはことでございます」
「…ジェイコブ意外と古風だよね…」
でも手紙で済むなら安いものである。飴も与えろ、これはヴォルフからもニコからも真顔で言われているアドバイスだ。
僕はいつでもひと手間を惜しんだりしない。
いつだって誠意をもって人には接する、それが投げ銭により実況を支えてくれた常連さんから僕が学んだ大切な精神。
カリカリ「…会えない時間が愛を育てます。友達と恋人の境を決めた以上泣くのも平気になって下さい。レジナルド…と。これでいいかな?ジェイコブ後は送っておいて」
「畏まりました」
さて次の仕事だ。
エルダーからヒントをもらったドワーフの国。そのドワーフの国へ供をするのは安定のヴォルフ、そしてなんとアーニーを伴う予定でいる。
鍛冶師のドワーフ(ほとんど錬金術師に近いけど)には職人であるアーニーを連れて行った方が、もしも専門的な話になった時齟齬が無いと思うんだよね。
その後の計画もあるし、直接アーニーに話聞いてもらったほうが手っ取り早い。
最近では副監督である元エトゥーリア兵のザックさんと、棟梁の一人である、高い所の作業が得意なキツネザル獣人のジュリアンさん、この二人に現場を任せられるようになってきたおかげで、こうしてアーニーをチョイチョイ連れ出せるってわけ。
ウエストエンド東部開発において、騎士を除いた領民内で一番の功労者が多分アーニーである。
なのでドワーフ国への旅は慰安旅行の意味も兼ねていたりする。
今までの労をまとめて労う…そんな感謝の気持ちを込めて。
その事前準備で行くべき場所がクーデンホーフ領、シュバルツのところだ。
ドワーフの国はエトゥーリアの向こう。何か知ってるかも…って思ってね。
「良いのホントに?馬車じゃなくて」
「馬の方がはえぇだろ?こっちで良い」
「それよりレジー様、今日はヴォルフに騎乗しないのですか?」
「ヴォルフにはドワーフ国へ行く準備をお願いしててね」
「ですがその馬は少々小さくありませんか?」
「この子は小型だけど俊足だよ。さあ、リマール、ロジェ、アーニーも。誰が一番先に到着するか…競争だよっ!それっ!」ピシッ
「あっ!きたねぇぞ!」
「負けませんよ!」
「そういう事なら!」
勝負とは常に先手必勝!ズルじゃないよ?
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




