149 18歳 cani help エルフの長
アルファポリス様で完結済み作品を、少しずつ手直ししながら再投稿しています。
『チートな転生農家の息子は悪の公爵を溺愛する』アルファポリスより書籍化。
あれほどカッコよく名乗りを上げたのに…、おやぁ…?エルダーってば狂魔力存じ上げない?これはちょっと、いや、かなり恥ずかしい…
「分らぬがお前には常人には無い力があると言う事だな」
「ざっくり言うとそういう事です」
「その力で私を、この地を救うと言うか…」
「イージーモードです。問題ない」
かいつまんでここからの流れを説明すると聡明なエルフの長はいともたやすく理解した。いろいろ突っ込まれずに済んでホッとしたのは言うまでもない。
「だが何故…?エルフの里などお前には関係なかろう?何故私を助けに来た」
「助けに来たって言うか…。僕は貴方たちと仲良くなりたくて。こうして気持ちを通わせて、そうして意思疎通を、その、どうぶ、いえ、あなたたちと相互理解が出来たらいいな、そう思ってここに来ました。それに横たわるあなたは今にも消え入りそうで…そんなあなたを助けるのに理由なんて必要ない!」
「私と友誼を結びたい、そう申すか」
「いけませんか?」
プライドの高いウルグレイスよりさらにプライドの高いエルフ族。
羽虫程度の人間種がハイエルフと親しく…なんて図々しいにも程がある、とでも思われているのだろうか。
「見たところお前の気配はヴェッ」
「あーストップ!死霊呼ばわりはもう充分です!僕はレジナルド。あなた方が見下す、た・だ・の・人間です。でも…、僕はあなた方を知っている。それはもう遥か彼方遠い昔から」
そう。あの小説あのゲーム、そして漫画に映画まで。
「僕の知るあなた方はいつでも強く美しく…その金の髪を風になびかせる姿は僕の憧憬を引き寄せてならない。いけませんか?あなたをもっと知りたい。そして…分かち合いたい。そう思っては…」
「レジナルド、お前は…」
エルフはいつでも僕の憧れを掻き立てた。噴火口へと向かう四人の仲間。弓矢を持ったエルフの美しく強いその姿に僕はいつでも変な声が出たものだ。オー様…
その彼らと仲良くなって、もっとエルフについて教えてもらって、そして…そして…、意思疎通の魔法を分かち合いたい。そう思ってはいけないだろうか?
「…良かろう。こうして容易く私に同調したのも何かの証。お前とは縁があるのやも知れん。お前は人間……だが強く美しい。気持ちは分かった。無事苦境を凌いだ折にはお前を受け入れてやろう」
人間…の後の空白にはモヤっとするが、まあいい。これで長の言質はとった!
さて、エルダーの体内に燻る余計な磁気をトルマリンに移動させる必要があるわけだが、うーん、どの手で行くか…
「レジナルドよ。あの青の石に気を集めるのであったな。何を躊躇う?」
「それにはエルダーから一旦磁力を抜かないとならなくて…。僕にはお話ししたよう磁力操作のスキルがありますけどエルフからってちょっと怖くて」
「ふむ…、ではこうしよう」
近づくエルダー。不穏な動き。何この手?あっ!頬に添えないで!
…この動きには覚えがある!アルバートとかアルバートとかアルバートとか!
ん!んんー!んんんー!!やっぱりー!
「ぷはっ!」
「これでよい。私を蝕む気はお前に移した。さあ、早く青の石に移すのだ。そのままでは害になろう」
「お気遣いどうも…」
「だが私の本体は力を失っておる。お前を手助けできるかどうか…」
「じゃあ僕のMPを少し分けて…あっ!」
ん!んんー!んんんー!!またー!
「ぷはっ!」
「これでよい。さあ、地脈の乱れを正しに行こうではないか」
どいつもこいつも…口移しじゃないと死ぬの?死んじゃうの?
気を取り直してここでようやく僕とエルダーは意識世界から戻り本体同士で顔を合わせた。
が…、どうやら表ではほんの数秒の出来事だったらしい。これはあれだ。精神と時の部屋…
「じゃあエルダー、僕と一緒にあの地底湖の中央まで行きましょう」
「では私の手を取り離さないようにしっかり握っていなさい」
「え?」
言うなりエルダーは地底湖の湖面を静かに歩き出した。そして彼の手を握る僕も同じく…。おお…
まるでトランポリンの上を歩くような不安定な足元。言われなくても僕は手どころか半分エルダーにしがみついてる有様。無様だ…
その足元から一歩一歩広がる波紋は幾重にも重なり、まるで湖面の花火。それ一つが大きなレリーフのようだ。
神妙な顔のヴォルフと何故か眉をひそめたシャリム。そして固唾を飲んで見守るエルフの里の住人達。これは…、失敗は許されない雰囲気…。ゴクリ…
僕は覚悟を決め響く洞窟内に精一杯声を張り上げた。
「いい?今から磁気を増加し流れを整えていくけどその過程で多少地面が揺れるかも知れない。洞窟内は自分たちで守ってね!」
「良かろう」
「ヴォルフ、シャリム、何かあったら頼んだよ」
「任せておけ」
「じゃあ行くね。『マグネティックドライブ』」
ズ、ズズ…
「地脈が動いている…何と強き力…」
「闇雲に動かしたって意味が無い。エルダー。正なる場所に導いて。あなたなら出来るはず」
僕とエルダーは手に手を取って磁場の流れを整えていく。だけどこの固い障害が…。これがこう、動けば、きっと後は一気に…!
「駄目だ…。ここに大きな妨げがある。長い年月を経て僅かばかり断層がずれたか…」
「ダメかダメじゃないか…決めるのは僕だ!ええい、まどろっこしい!パワー解放!!!」
ゴゴゴゴゴドドン!!!
「ばっ!馬鹿者!なにをするのだレジナルドよ!!!」
おっと。多少じゃないレベルで地面が揺れてしまった…。ゴメンね?
けど障害物はどかしたからゴールへの道標はもう見えた!僕はこの任務を何が何でも成功させる!ご褒美のために!
「何なのこの揺れは!」
「誰か助けて!」
「きゃぁぁ!」ドガッ「あ、あら」
「落石か…。あいつはいつもやりすぎる!おい長耳の女!そこは危険だ、ついて来い!」
「は、はい…」
「駄目じゃ!岩肌が崩れる!」
「わしら全員の力を集結しても支えられぬ!」
「今すぐ止めさせよ!」
「地面の揺れは僕が抑える。だからイソヒヨドリを止めちゃ駄目…」
「地のエルフ、お主…」
「イソヒヨドリは頼んだよって言った…」
「そうか。同胞の血を引く者よ、感謝する…」
岸のほうから何か聞こえるけど…き、聞こえない。聞こえないったらキコエナイ!
「ちぃ!おいレジナルドまだか!」ドカッ
「僕も…。魔力無くなる…あ…」パタリ
「ヴォルフ様!」
「地のエルフよ!」
あとちょっと!
「レジナルドよ。彼らの危険をこれ以上見過ごせぬ。私は岸に…」
「そうしたら僕がドボンだ!ちょっと待って、だぁぁぁぁ!よし終了!って、あ、あれ?」
突き刺さる湖岸からの白い目…。あいたたた…
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この作品はアルファポリス様で連載済みの作品を全年齢バージョンへ改稿し投稿していきますので、R18が苦手な方はあちらに行かないでくださいね(;^ω^)




